本物のロミロミを知る:ターザン的オアフ島ガイド
【ターザン的オアフ島ガイド】ではハワイ・オアフ島のフィットネスな魅力を紹介。ハワイのパワーがあってこそ体験できる伝統的なロミロミ。マッサージ店で受けるリラクセーションとは別物で、極上の手技で癒やすのは、肉体だけにあらず。ロミロミの本質を継承する、2人のヒーラーの元を訪れた。
取材・文/間宮寧子 写真/安田光優 コーディネイト/工藤まや
初出『Tarzan』No.868・2023年11月2日発売
コマーシャルなロミロミでは決して味わえない体験
古くからハワイに伝わる癒やしの手段、ロミロミ。ワイキキを歩けば多くのマッサージ店の看板にその言葉を見かけるが、商業的な場所で“本物”に出会うのは難しいだろう。
今回訪ねたのが、伝統に基づいたロミロミを施す、ヒーラーのケフラニさんとカポノさん。ともに自宅で施術を行っている。2人が口を揃えて言うのが、「神聖な場所で施術をするのがとても大切」ということ。
「伝統的なロミロミは、肉体的疲労を取ることや、リラックスすることが目的ではないんです。手を媒介して大地や神のエネルギーを注入し、カラダと心はもちろんのこと、その人の家族や先祖、子孫までを癒やす。施術直後だけでなく、その人がずっと幸せでいられるように、精神・肉体・心という3本の柱を整えます。
ハワイでは誰のカラダにも神様がいると信じられています。ロミロミはその神様へのお供え物でもある。それゆえ、清められた場所でやるべきだと考えています」(カポノさん)
施術はまず、水でカラダを清め、チャントという祈りを唱えるところから始まる。毒素除去や浄化を目的に、ポハクという石やハワイアンソルトなど、自然が生んだ道具を使うのも特徴だ。
ひとりひとりの状態を鋭い洞察力で見極め、力強いタッチと優しいタッチを使い分け、その人に適した施術をしていく。
「手で触れることでスピリチュアルな気を伝えていくロミロミは、時に感情を揺さぶることもあり、施術を受けて涙を流す人も少なくありません。それはとてもいい兆候で、カラダの中に詰まっていたストレスやトラウマが流れ出た証拠。そうして浄化されると、新しい自分が入ってくるものです」(ケフラニさん)
ハワイの人たちは現代医療がない時代から不調があればロミロミに頼ってきた。スピリチュアルな側面は強いが、身構える必要はない。
門を叩けばヒーラーは笑顔で迎えてくれる。穏やかな空気の中で受ける極上の施術。受ける価値は大いにある。
ケフラニ・ワード(Kehulani Ward)
ハワイのエネルギーを注入する、生まれ持った癒やしの手
出会った瞬間から心を開きたくなる、温かな笑顔が印象的なケフラニさん。子供の頃に人のカラダに触れる夢を何度も見て、自身のやるべきことはロミロミだと確信し、ヒーラーの道に進んだそう。
ロミロミの秘儀を広く世に伝えたクム、アンティ・マーガレット・マチャドの弟子に学び、人を癒やすためには持てるだけの知識を持とう、という考えからタイ古式やスウェディッシュマッサージ、リフレクソロジーの技術も身につけている。
施術前にコミュニケーションをとる中でその人に必要な手技を見極めていくのだが、オイルや、パアカイと呼ばれるターメリックを混ぜたハワイアンソルトを使う施術がケフラニさんのロミロミの基本。
腕を使う流れるようなストロークが心地よく、そこにホットストーンの温もりも加わると、きっと誰もがうとうとしてしまうだろう。
INFORMATION
1時間100ドル〜。予約はkehulanilomilomi@gmail.com。住所は予約時に確認を。
カポノ・ソウザ(Kapono Souza)
精神・肉体・心を整える伝統的ロミロミの伝道者
クム・ロミロミ。昔のハワイでは家族間でロミロミを施すことが普通で、カポノさんの祖母も、毎日カラダに触れてくれたのだとか。それがヒーラーになるきっかけに。
口頭伝承で伝わってきたロミロミには、決まった型があるわけではない。カポノさんは、伝統的格闘術“ルア”にも精通、その要素も取り入れる。施術を始める際、まず立ち姿から全身の状態を見る。
ポハクと呼ばれる大きな石は、ロミロミの代表的な道具。スポンジのようにカラダの毒素を吸ってくれると考えられ、内臓を正しい位置に動かすのにも使うのだとか。
メディカルマッサージの資格も持っているカポノさん。腰痛などの不調も相談してみるといい。
INFORMATION
1時間200ドル〜。予約はWEBサイトから。住所は予約時に確認を。