「強度・負荷」をどう変化させる?:解説ピリオダイゼーション②

カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。今回は、競技パフォーマンスの長期的な向上を狙ったトレーニング計画「ピリオダイゼーション」の全貌を解明していこう。

取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.868・2023年11月2日発売

プログラムデザイン ピリオダイゼーション

問1. ピリオダイゼーションの準備期で採用される強度と負荷は?

  1. 低強度―多量
  2. 高強度―少量

ピリオダイゼーションとは、トレーニングの内容を計画的に変化させるプログラムデザインの戦略。特に競技を行ううえでは、大会や試合のスケジュールに合わせた重要度に応じる調整が不可欠だ。

そのためには期間を区切り“低強度・多量・競技に非特異的”なトレーニングから“高強度・少量・競技に特異的”な活動へと移行させ、オーバートレーニングの予防とパフォーマンスの最適化を目指すことが求められる。

そこで伝統的なピリオダイゼーションモデルでは、プログラム全体を「準備期」「第1移行期」「試合期」「第2移行期」という4つの期に分類。

このうち最も初期にあたる「準備期」で重視するのは、低強度・多量から始め、より高強度のトレーニングに耐えられるようにコンディションの基礎レベルを引き上げることにある。

例えば具体的には、ゆっくり・長距離で行うLSDランニングやLSDスイム、瞬発力を高める低強度のプライオメトリックス、また低~中負荷・高回数の筋トレなど。よって問いの答えは①低強度―多量。

なお、特に筋トレにおいては準備期をさらに3段階に分割し、強度と量をより細かく調整したモデルもある。これについては次回の本連載で詳しく解説しよう。

プログラムデザイン ピリオダイゼーション

出典/ストレングストレーニング&コンディショニング ― NSCA決定版(第3版)

初心者レベルにおけるピリオダイゼーションモデルのイメージ。ただし上級レベルでは日頃から限界に近いトレーニングを行うため、適応の余地が少ない。そのため強度・量は初期から常に高値で行うのが一般的だ。

問2. 同じく、移行期のトレーニングで採用される強度と負荷は?

  1. 低強度―少量
  2. 高強度―多量

ピリオダイゼーションの「準備期」と「試合期」の間で、多量のトレーニングから高強度のトレーニングへ移行する前の“小休止”となるのが「第1移行期」だ。

多くは試合期前の1週間で、低強度または少量、あるいは低強度かつ少量のトレーニングを行う。

続く「試合期」で目指すのは、トレーニング強度をさらに増大させ、同時にその量はさらに減少させて筋力とパワーをピークに高めること。一方で、戦術やテクニックに費やす練習時間を飛躍的に増加させる時期でもある。

ただし我々がピークの状態をキープできる期間は、約3週間と限定的。そこで長期にわたって複数の主要な大会(試合)が分散する場合は、中程度の強度・量による維持プログラムでレベルを保つことが必要となる。

最後に、試合期と次のマクロサイクル(=プログラム全期間)との間で回復期間にあたるのが1~4週間続く「第2移行期」。「積極的休養」とも呼ばれ、長い試合期やピーキング後でもあるため過度なトレーニングはNGだ。

またリハビリのほか、身体的・精神的な休養を必要とする時期でもあり、レクリエーション的に楽しめたり、競技に非特異的なトレーニングを低強度・少量で行うことがポイントに。

またこの後、さらなる積極的休養として1週間程度の完全なオフを設ける場合もある。上記をまとめると、第1・第2移行期で共通する問いの答えは①低強度―少量。