ランチューバー・ゆう先生に試してもらったランの解像度を上げるギア
GPSウォッチやアプリなど、便利なガジェットを使っているランナーは多いはず。それらは距離やペース、ピッチなどが計測できるわけだが、近年はさらに、ランナー自身では客観視しにくいフォームを解析できるデバイスが登場。フォームの弱点が把握できれば、走りはどんどんレベルアップする。ランニング系YouTuber、通称ランチューバー・ゆう先生に「ランの解像度を上げるギア」2点を試してもらった。
取材・文/黒田創 撮影/石原敦志
初出『Tarzan』No.866・2023年10月5日発売
ゆう先生
試してくれた人
ランチューバー。JRTAトレーナー、理学療法士の資格を持ち、埼玉・和光で〈整体院 祐〉を開業。YouTube『ランニング整体師ゆう先生』は登録者数3.5万人。カラダの使い方やトレーニング、食事、ギアなどの観点からランナーの悩みを解決する方法を発信。
わずか7.5g!フォームに関する13のデータを把握
理学療法士の資格を持つランチューバー、ゆう先生に最初に試してもらったのは《HUAWEI S-TAG》。円形のセンサーで直径は500円玉とほぼ同サイズ。重量は約7.5gだ。
「同様のギアは過去にも試しましたが、これは相当軽いです。走っている最中もまったく気になりません」
このセンサーを〈HUAWEI〉のアプリ『HUAWEI Health』とペアリングし、シューズまたはウェアの腰部に取り付けると、フォームに関するさまざまなデータが取れる。
HUAWEI《S-TAG》
加速度センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー内蔵。IP68防塵防水。ランニングでの使用(週5日、1日1時間ラン)で約30日間継続稼働。サイズ26×26×10.6mm。足部クリップ、腰部クリップ同梱。9,680円。WEBサイト
シューズの場合、「平均ピッチ」「平均ストライド」「平均接地時間」「平均接地滞空時間比」「平均背屈度」「平均スイング角度」「平均着地衝撃」「平均垂直負荷率」など。
腰部に取り付けると「平均GCTバランス」「平均上下動」が計測できる。今回は腰に装着した。
「GCTバランスは左右の足の接地時間で、どちらの足が長く地面についているかを表します。特に初心者の場合、疲れが溜まるとこのバランスが崩れて尻や腿の筋肉にダメージを与えるので、左右50%を目指したいところ。
上下動は垂直振動の振れ幅。ペースを上げるとこの値が大きくなりがちで、バウンドするようなケガのリスクの高いフォームになっている可能性が高い。なるべく低い値を目指しましょう。
走るときサッと腰に着けるだけでもこれらが把握できるのは嬉しいですね」
さらに、同社のスマートウォッチと組み合わせるとより詳細なデータが取れる。まずはセンサーを購入して、デイリーランで気軽に使いたい。
シューズの中にデバイスをIN。フォームを的確に分析
どこから見てもスタイリッシュな〈ORPHE〉のシューズ。
実はこれ、ランニングギアとしても超ハイテク。左右のソールに1つずつセンサーデバイスをセットすると、あらゆる足の動きが計測できるのだ。
ORPHE《EASYRUN SHIBUYA 3.0+ORPHE CORE 3.0》
シューズ《EASYRUN SHIBUYA 3.0》11,000円。ORPHE COREに対応。ウォーキングからランまでストレスなく履ける。センサーデバイス《ORPHE CORE 3.0》1個13,750円。足の動きを詳細かつリアルタイムに分析。WEBサイト
「シューズは今流行りの厚底ではなく、安定性を重視した作り。今回はやや速めのキロ4分半ペースで約15km走りましたが、スムーズに走れました。ウォーキングはもちろん、普段使いのランニングシューズとしても機能は十分だと感じました」
ピッチやストライド、着地時の衝撃力、プロネーション角度など、シューズならではのフォーム関連データが取得でき、それらは接続したアプリ『ORPHE TRACK Run』で詳しく見ることができる。
「感心したのがプロネーション角度のデータ。僕は右脚がO脚気味で、着地のタイミングで踵が外側に倒れ込みがちなのですが、数値にもはっきり表れていました。
特に初心者はプロネーションの癖が脚のケガにつながるケースがあるので、このギアを使って把握できれば、早期改善につながるのではないでしょうか。
また足を蹴り上げた際の踵の高さや接地時間なども細かい数値が出ますし、グラフでも表記されます。さらには各項目を5段階で評価。コメントも付くので、初心者でもフォームの欠点や改善点が理解しやすいです」
シューズにセンサーデバイスがある状態だと、通信時にアウトソール部分が青く光るのも遊び心を感じさせる。街歩き&ランにどんどん活用したい一足である。