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張りを感じたらペパーミント。正しい「おなら対策」5選

正しい「おなら対策」5選

おならが出るのは、腸がきちんと動いている証拠。ただ、臭いがきつい、量が多い、おなかが張るなど、おならにまつわる悩みを抱える人も多いだろう。そこで、今回は正しいおなら対策を紹介。我慢できないシーンで重宝するとっておきのアイテムも。

対策① 多様なものを食べておならの多様性を保つ

ダイバーシティ(多様性)が大事なのは、社会や会社ばかりではない。

腸内環境でも重視したいのは、ダイバーシティ。バラエティ豊かな腸内細菌が、適材適所でのびのび活躍できるのがベスト。その方が変化への適応力が高く、健康を保ちやすい。

そこで注目したいのが、おならのダイバーシティ。おならの大半は空気だとしても、その量と臭いは腸内細菌の仕事ぶりを表している。

「だとしたら、おならの量や臭いはいつも同じではなく、変化があるのが理想。それは腸内細菌の多様性を反映していると考えられます」(大腸、肛門機能の専門医である神山剛一先生)

便のチェックは、腸内環境をモニタリングする貴重なチャンス。同様におならのモニタリングもお忘れなく。

クサいおならばかりが続いたり、おならの量が極端に増減したままフリーズしてしまったら、食生活を見直すチャンス。偏りを正し、多彩な食品をバランスよく食べて、おならのダイバーシティを保とう。

対策② イモや豆などを食べ過ぎない

イモ類や豆類は、腸内環境を整えるのに有益な食材

腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖が多く、腸の活動を促すが、おならが多くて悩んでいるなら、イモ類や豆類の食べ過ぎは控えるのが賢明。腸内細菌が作るおならは少ないとはいえ、彼らがあまりに元気になりすぎると、その分だけおなら量は増えやすい。

事実、食物繊維もオリゴ糖も多い豆類には、こんな逸話がある。コックピットという閉鎖空間で戦うパイロットには、おならが大問題になる時代があった。

現代のように、地上と同レベルまで与圧されていなかった頃、高高度の低圧環境では気体は膨張するため、おならが腸内に溜まると、パイロットは耐えられないほどの腹痛に悩まされたのだ。このため、1940年代、第二次世界大戦初頭のイギリス空軍では、搭乗前の食事からベイクドビーンズ(白インゲン豆をトマトソースで煮込んだ定番食)を外したと伝わる。

対策③ 腸の緊張を取り、お腹の張りを止めるなら、ペパーミントがいい

おならでお腹が張って辛いという訴えをよく耳にする。でも、それはどうやら誤解みたい。

「お腹が張って仕方ないと訴える患者さんの腸管を詳しく診てみても、ガスが溜まっているケースは滅多にありません。お腹の張りを感じる人の多くは腸管が緊張して硬くなり、狭くなっているため、少量のガスでも張りが強く感じられるのです」

お腹の不快な張りをキャンセルするには、どうすればいいのか。神山先生のお薦めはペパーミント

「腸管は、平滑筋という筋肉で作られています。ペパーミントに含まれるメントールの香りには、平滑筋を弛緩させる働きがあり、腸管の緊張をほぐしてくれるのです」

ペパーミントティーを飲んだり、同じくメントールが多いハッカの精油を湯船に垂らして入ったりするのが有効。ただ同じ“ミント”でも、スペアミントにはメントールはほとんど含まれていない。悪しからず。

対策④ 下剤でおならをムリして出さない

すでに触れたように、お腹の張りの大半は、だいたい腸管の緊張によるもの。それなのに、おならのガスが犯人に違いないと勝手に判断し、下剤(便秘薬)で便とともにおならをムリして出そうとするのはNG。

そもそも下剤には、大きく刺激性非刺激性(機械的下剤)がある。

前者は、大腸を刺激して蠕動運動を促し、排便を誘導しようとするもの。後者は水分を引き寄せて便を柔らかくしたり、有効成分自体が膨張したりして、便を機械的(物理的)に押し出そうとする狙いがある。

いずれにしても下剤に頼りすぎると自ら排便する力が少しずつダウン。用法用量を守らずに使い続けると、便秘になる恐れもある。

ことに危ないのは、刺激性タイプの下剤。頻繁に使っていると、大腸が慣れ切ってしまい、多少の刺激では活動が促されにくくなり、結果として便秘が起こりやすくなるのだ。

強いお腹の張りが続くようなら、安易に下剤に頼らず、消化器科で専門医に診てもらおう。

対策⑤ 活性炭入りのクッションでクサいおならは減る

おならは人前ではなく、トイレでするもの。でも、リモート会議などでどうしても自席を離れられないときに限り、おならが我慢できなくなる場面もあるだろう。そんなときに重宝するのが、おならの臭いと音を消してくれるクッション。ネット通販などで、隠れた人気商品になっている。

おなら対策でクッションを買うなら活性炭入りがお薦め。なぜなら、立派なエビデンスがあるからだ。

8人の健常者の肛門に、おならの悪臭の成分の一つである硫黄含有ガスを注入。活性炭を入れたクッションに坐ってもらい、ガスの流出をどのくらい減らせるかを検証した研究がある。すると、活性炭入りクッションは、ガスの流出を劇的に減らせたのだ(グラフ参照)。

おならの ガス流出 グラフ

Suarez FL et al., Gut 1998; 43: 100-104

8人の健常者に合計58回ガスを注入。硫化水素、メタンチオール、ジメチルスルフィドのガスの周囲への流出量を測ったところ、活性炭入りのクッションで大幅にガスの流出が防げた。

活性炭には無数の孔が開いており、臭いの成分を引き込んで吸着、閉じ込めてしまう作用があり、優れた消臭効果を発揮してくれるのだ。ありがたや。

取材・文/井上健二 取材協力/神山剛一(日暮里健診プラザ 予防医学管理センター副センター長)、ビオフェルミン製薬 編集/阿部優子

初出『Tarzan』No.864・2023年9月7日発売

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