時代はここまで変化した! “腸”にまつわる最新トピック
続々と腸にまつわる驚きの事実が明らかになってきているが、その研究は日進月歩、まだまだ話題は尽きない。ここでは腸の健康に役立つさまざまな商品やニュースをご紹介。次世代食物繊維に腸活サブスク、ペットの腸活など…なかには「え?ホント?」と思わず声が出そうなトピックも!?
取材・文/黒田 創、門上奈央、廣松正浩、Mika Yoshida & David G. Imber 撮影/谷 尚樹 イラストレーション/石山好宏 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.864・2023年9月7日発売
① 次世代食物繊維あらわる!
近年注目を集めるのが“グアー豆食物繊維”ことグアーガム分解物。
「インド北部やパキスタンなどで生育するグアー豆が原料で、その胚乳に含まれる高粘度なグアーガムを抽出し、飲みやすく分解した水溶性食物繊維がグアーガム分解物です。そもそもインドではグアー豆は古くから家庭料理に使われ、近年は栄養価の高さから“高級食材”になりつつあるそうです」(太陽化学ニュートリション事業部の安部綾さん)
他の水溶性食物繊維との大きな違いは糖鎖の構造。それにより分解できる菌が異なり代謝物も違ってくる。
他の水溶性食物繊維と比べ、グアーガム分解物の大きな特徴は短鎖脂肪酸の産生量の多さ。短鎖脂肪酸は大腸上皮細胞の中でも最も重要なエネルギー源で、腸の蠕動運動を促すほか、有害菌の抑制や、水分やナトリウムの吸収促進などの役割を担う。腸内環境改善の強力な味方だ。
「グアーガム分解物は短鎖脂肪酸を多く産生し、腸内の有用菌を増やします。また他の食物繊維に比べて発酵速度が緩やかで、膨満感や腹痛が起こりにくいです。下痢や便秘の改善効果は実証済みで、医療現場や介護施設などでも活用されています」
溶けやすい粉末タイプ。ヨーグルトや汁物、炊飯時の水に入れても。
② 腸活トレンドは個別化&サブスク!
いざ腸活を始めようと思っても、一体何をすれば? そんな人にオススメなのが個性豊かな腸活サブスク。最近話題のサービスを紹介しよう。
グラノーラの定期購入サービス《Body Granola》は検査キットを使い採便して送ると、腸内フローラを解析。結果に基づき個々の腸にマッチしたプレバイオティクス(腸内細菌のエサとなる食品成分)の組み合わせが提案されるので、3種のトッピングとベースのグラノーラを選び、毎日食べるだけ。忙しい人でも簡単に腸活習慣が身につくのだ。
《Body Granola》
《Body Granola》は〈カルビー〉より販売。腸内フローラ検査の結果に合わせて注文したグラノーラとプレバイオティクストッピング(6種類から3種選べる)をしっかり混ぜ合わせ、1食50gを牛乳やヨーグルトと一緒に食べる。
もうひとつは〈パナソニック〉による《foodable おいしく腸活》。フルサポートプランの場合、選りすぐりの発酵食品が定期で届くのみならず、腸内フローラ解析と腸内環境に合った食材および献立の提案、オーブンレンジの無料レンタルや腸活セミナーへの参加など至れり尽くせり。
《foodable おいしく腸活》
発酵食を手作りしたい人にもおすすめの《foodable おいしく腸活》フルサポートプラン。糀、味噌などの希少な発酵食が届き、さらに腸内フローラ解析、腸活レシピ献立提案、発酵機能付きオーブンレンジの無料レンタル、腸活ビューティニストのセミナー参加などが付帯。月額3,980円(24か月継続)。注文サイト
③ 印刷会社が作る「ミニ腸」とは!?
ミニ四駆ならぬ「ミニ腸」。大手印刷会社の〈大日本印刷〉が手掛けた人工のミニチュア臓器である。
腸といえど、サイズは長径1.5mm~最大2cm。パッと見はミニクラゲのよう。企業等には細胞培養用のフラスコに入れて提供される。
顕微鏡で見るとこんな感じ。この中に腸細胞や神経細胞、筋肉細胞、栄養を吸収する細胞などがあり腸と同様の機能を持つ。蠕動運動も行う。
あらゆる種類の細胞に変化する能力を持ち、世界中から注目されるiPS細胞。大日本印刷は2017年、国立成育医療研究センターと共同で印刷技術を応用し、iPS細胞を培養してヒトの腸に近い特性や機能を持つミニ腸の開発に成功した。
腸は消化した食べ物を移動させる蠕動運動や栄養物質の吸収や分泌を行うが、ミニ腸はそうした動きも同様に行うというから驚き。でも一体、これを何に使うの?
「新しい薬を開発する際の、腸への有効性や安全性の確認、また特定保健用食品や機能性表示食品の開発といった分野での活用が見込まれています。これらは従来、動物実験が用いられてきましたが、近年禁止や削減を求めるアニマルウェルフェアの機運が高まっており、代替手法としてミニ腸への期待が高まっています」(大日本印刷の菖蒲弘人さん)
また通常の腸は栄養を吸収する上皮が内側にあるが、ミニ腸は外側を向いており、本物の腸以上に薬などの成分の作用を評価しやすい構造になっているのも大きな特徴だそう。
④ 動くカプセルを飲んで便秘解消!
慢性便秘に悩む成人を対象に、全米でこの1月に販売を開始したのが《バイブラント》。
一見すると薬品のようだが実はこれ、カプセルが腸の中で振動し便秘を解消させる「医療デバイス」なのだ。腸に微細な揺さぶりをかけ、お通じの自然なサイクルを促す仕組みになっている。
使用法は、専用ポッドに差し込んで起動させたカプセルを、240mLほどの水で就寝前に飲み込むだけ。3秒ごとにカプセルが振動しながら、腸に蠕動運動をさせること2時間。6時間ほど休んだら、また2時間ほど振動する。
カプセルは使い切りで、自然に排出されたらそのままトイレに流す。ポッドはスマホの専用アプリと連動し、カプセルの状況を逐一モニターできるというのも画期的だ。
⑤ 子供もペットも腸活する時代!
腸内環境を改善する腸活。大人がやるイメージがあるけど、腸は誰にとっても大切な臓器。子供もペットも早く始めるに越したことはない。
ヒト同様、約1000兆もの菌が生きている犬や猫の腸に向けた腸活サービスが《KINS WITH BOX》。検査キットで便を採取して腸内フローラ検査を行い、2種類のサプリから合うものをチョイスできる。3種類のフレーバーもセットで届くため、味変で長期的に摂取して腸活に繫げられるのだ。
愛犬や愛猫の腸内フローラをサプリで整える《KINS WITH BOX》。便を送り、2種類から選んだ相性のいいサプリが毎月届く。途中で種類を変更でき、一緒にマグロ、ササミ、ヤギミルクなどのフレーバーも届くので味の好みにも対応可。初回12,298円。2回目以降月額6,578円。WEBサイト
「2歳から腸活を」と粉末状腸育食品をリリースしたのが〈AuB〉。酪酸菌や乳酸菌、糖化菌など約30種類の多様な菌を配合。わが子の腸により多くの菌を補給できる。いずれも、普段のペットフードやご飯に混ぜるだけ。お手軽に腸活できる。
腸内細菌研究をベースに腸ケア商品を開発する〈AuB〉の子供向け食品《kids base》。腸内フローラをケアする約30種類の菌が配合されている。無味無臭の粉末なので、飲み物や食べ物に混ぜて摂取できるのがポイント。
⑥ アプリで腸活が楽しく!
腸活の管理はアプリ任せがラク。『腸note』はスマホで録った腸の音を解析するのが画期的。
腸音測定とお通じの記録から自分の腸タイプを分析。タイプごとに食事やマッサージなど最適な腸活の提案を受けられる。
そもそも腸の音は腸の運動時に鳴り、医療機関で医師が聴診器を使って聞くものと同じ。これをアプリのAIが解析し、お通じの記録も踏まえて、自分の腸タイプを分析。タイプごとに食事やマッサージなど最適な腸活の提案を受けられる。定期的に腸音を測れば、カラダの小さな変化にもすぐに気づけそうだ。
腸note
『腸note』は腸音測定を通して状態を知り、自分に合う腸の整え方の提案を受け、日々のお通じや行動の記録から腸活のフィードバックがもらえる。記録も選択式で継続しやすい。iOSで利用可。無料。
腸の異変を察知するには『ウンログ』も便利。便の具体的な状態を選択式で記せる「うんち記録」が好評だ。また自分に合う腸活アイテムとのマッチングシステム「my腸活」、排便でポイントが貯まる「ウンチップ」など機能が充実。アプリを活用すれば腸活も一つのエンタメに!?