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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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ある日突然襲ってくるギックリ腰。名前を知らないという人はいないだろうが、その対処法や原因などをちゃんと把握しているという人は案外少ないのでは。今回は、ギックリ腰にまつわる素朴な疑問を通して、その実態に迫る! 基本を押さえて、万が一の時に備えよう。
目次
ギックリ腰を起こし、強い痛みがあるときは、腰に負担がなく、痛みが生じない姿勢で安静にするのが最優先。「どんな姿勢がいいかは人によって異なります。
代表的な安静姿勢には❶膝を曲げて横向きになる、❷仰向けに寝て膝を軽く曲げ、膝下に丸めたクッションなどを入れる、❸仰向けに寝て、低めの台や重ねたクッションに両足を乗せて膝を軽く緩めるという3つがあります」(川口先生)。
試して自分にもっともフィットするものをチョイスしよう。
スポーツ障害のケアでは、「急性は冷やせ、慢性は温めろ!」が合言葉になっている。ギックリ腰は急性腰痛だから、セオリーに従って冷やすべきなのだろうか?
「患部が炎症を起こして熱を持っていたらアイシングで冷やすべきですが、そうでなければ、ギックリ腰で冷やすことはしません」(川口先生)。
固まった筋肉の動きが少し出てきたり、痛みが軽くなったりするようなら、カイロなどを用いて温めるのが正解。温熱効果を持つ湿布や軟膏を使う際は、痛み止め効果のあるタイプがいい。
安静にして痛みが消えてきたら、痛みへの恐怖心を乗り越え、できるだけカラダを動かすのが吉。
「痛みに恐怖心を持ちすぎると緊張し、アウターマッスルが率先して働くため、インナーマッスルが使いにくくなり、腰痛の慢性化につながります」(金岡先生)。
また、ギックリ腰からの回復期は“学習”の好機でもある。
「体幹のインナーマッスルを意識して動き、どんな姿勢や動きなら痛みや制限が出ないかを学び、生活に取り入れるチャンスにしましょう」。
運動不足で体幹のインナーマッスルが弱いとギックリ腰を招くが、運動でギックリ腰が誘発されることも。大学バレーボール部員の約70%に、ギックリ腰予備群である腰椎椎間板の変性があるという調査もある。
「ネット際の狭いスペースでジャンプし、骨盤を後傾させたまま着地するのが一因でしょう」(金岡先生)。
一方、大学のサッカー選手や陸上競技選手では変性の持ち主は少ない。「両者は骨盤を立てて走るので、腰のストレスが少ないのでしょう」。
加齢により、ギックリ腰をはじめとする腰痛に悩む人は増える。背景にあるのは老化。椎間板に何らかの変性がある人の割合は20代では30%ほどだが、70代では90%以上に変性が起きている。
「老化で背骨や骨盤のニュートラルゾーンも徐々に狭くなり、モーターコントロールが難しくなり、構造的安定性に頼る割合が増えてきます」(金岡先生)。
腰に不安を抱えず、何歳になっても元気で動き続けるために、早いうちからインナーマッスルをうまく使ってモーターコントロールを習得したい。
坐りすぎが腰に悪いのはなぜか。それは骨盤が後傾して腰のストレスになり、椎間板の柔軟性も落ちるからだ。椎間板は軟骨で血管がない。
代わりにスポンジのように圧力が加わると潰れて水分が滲み出し、圧力が緩むと周囲から水分が入り膨らむ。
「坐ったままで椎間板を動かさないとこの仕掛けが働かず、椎間板内の水分が減って固まり、腰の負担が増えます」(金岡先生)。
30分に一度は立ち上がるか骨盤を前傾させ、椎間板を伸縮させてケアしよう。
取材・文/井上健二 イラストレーション/コルシカ 取材協力/川口善治(富山大学医学部整形外科教授)、金岡恒治(早稲田大学スポーツ科学学術院教授) 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.860・2023年7月6日発売