冷えにいい、だけじゃない!暑さ対策に「生姜」を推す理由(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は「生姜の意外な効能」について。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
ナマ or 加熱で性質が変わる生姜
夏も本番。電気代も気になる中、どうにか上手い暑さ対策はないものかと、試行錯誤をかさねている方もいらっしゃるでしょう。そんな方に是非お試しいただきたいのがナマの生姜です。
生姜といったらどんなイメージでしょうか。
ポカポカ、冷えにいい、などが一般的なイメージかもしれません。しかしここには誤解があります。生姜はナマでいただくのと、熱を加えていただくのとでは、その性質が変化する面白い食材なのです。
多くの方がイメージするカラダを温める作用は、熱を加えた生姜の性質です。漢方処方では「蒸して熱を加えた生姜」である乾姜(かんきょう)を使います。
一方で、ナマの生姜の性質は辛温解表(しんおんげひょう)といい、その辛味成分で一時的に発汗を促して体表の邪気を退ける働きが認められています。この「一時的に」というのがポイント。軽く汗をかくと、カラダはやがて冷えてきます。
そうです、実はナマの生姜は、カラダの熱をとるのに有効なのです。
冷奴に、酢の物に、水分補給に…
さらに殺菌作用や胃腸を元気にする作用もあります。冷たいものや生ものが食卓に並びやすいこの季節は、知らず知らずのうちに胃腸が弱りがちです。
そこに、ちょこっとおろし生姜などをそえれば、まさに今の時期にぴったりの薬膳メニューとなるわけです。冷奴にそえる、酢の物にプラスする、これらはとても理にかなった生姜の使い方です。
また水分補給の場面でも役に立ちます。
冷蔵庫から出したばかりの飲み物では必要以上に内臓を冷やし、やがてカラダ全体の機能を落とすことになりかねません。そんな時も、冷たすぎない飲み物にちょこっとナマの生姜を加えてみてください。
飲み物そのものが冷えているとカラダへのダメージが心配ですが、ナマの生姜によって微発汗を促して体温を下げるのは、カラダの機能を上手に使った暑さ対策です。手作りジンジャーエールやジンジャーレモネードなど、おすすめです。もちろん氷なしで。
目安量は「一日で小さじ一杯ほど」
スーパーでは新生姜が出ていますね。漢方処方で辛温解表を期待する時には、新生姜を寝かせてより辛味の濃くなった「ひね生姜」を用いますが、せっかくの新物を楽しむのも季節感があっていいですよね。
ひね生姜なら一日で小さじ一杯ほどを目安に、辛味の少ない新生姜ならそれより多くてもいいでしょう。刺激成分がありますから、食べ過ぎにはご注意ください。
ご自身でちょうどいい加減を見つけて、この夏の暑さ対策にどうぞ利用してみてください。