中年太りを脱するために。なるべく避けたい35のNG行動集
しっかり運動しています!というならいざ知らず、デスクワークが中心で中年太りが気になる・脱したいというなら、食生活を見直す時期が来たのかもしれない。40代で太らないカラダを手に入れたいなら、多少の我慢は必要だ。誘惑だらけの日常生活で、なるべく避けてほしい35個のNG行動をチョイス。
取材・文/井上健二 イラストレーション/谷端実 監修/河村玲子(管理栄養士)
初出『Tarzan』No.859・2023年6月22日発売
目次
カロリーの大幅制限
→100%続かない
大幅にカロリーを減らすダイエットは成功しない。第一に、食事を減らすと食欲が増し、絶え間なく空腹に悩まされる。数日なら耐えられても、我慢は続かない。また40代以降で運動不足だと、そもそも筋肉は減少気味。カロリーを抑えるとそれに拍車がかかり、代謝がダウン。元の食生活に戻した刹那、リバウンドする。
10%の加糖飲料
→心臓にも脳にも悪い
甘い清涼飲料水(加糖飲料)は平均10%の濃度で砂糖、果糖、ブドウ糖などの糖類を含む。500mLのペットボトル1本で、角砂糖約17個分の糖質が体内に入るのだから、太らないはずがない。女性10万人以上が対象のカリフォルニア大学の研究では、砂糖入り飲料を毎日飲むと心臓病や脳卒中のリスクが上がると判明した。
○○は飲み物です
→汝、よく嚙んで食べよ
「カレーは飲み物」と言い出したのは、2008年に55歳で急逝した巨漢タレントの先駆けウガンダ・トラ氏だったとか。「麻婆豆腐は飲み物」とか「ピザは飲み物」とか、多様なバリエーションがある。美味しすぎて即食べ終わるから飲み物に喩えたくなるのだろうが、早食いで太るは常識。何でもよく嚙み、ゆっくり食べよ。
夜中華
→食べるならランチで
夜中華が許されるのは、血気盛んな30代まで。40代からは、中華のように糖質も脂質も多く総じて高カロリーな食事は、ランチまでに留めるのが定石だ。なおかつ食べたら帰宅時にひと駅分歩くなど、消費カロリーを積極的に増やし、無駄なカロリーが体脂肪に変わらないようにする。〆のラーメンなどもってのほか!
「乾杯!」の生中ジョッキ
→グラスにするかハイボールか
仲間が揃って「乾杯!」するなら生ビールが定番だが、中ジョッキ(500mL)だと15gの糖質が含まれる。2杯飲んだら食パン(6枚切り)1枚分だ。グラス1杯にしておけば、糖質摂取量は10g未満に抑えられる。ウィスキーは蒸留酒で糖質を含まないので、ハイボールでの乾杯ならカーボフリー。無論、飲みすぎ厳禁。
便秘食
→腸からのSOSに応えよう
肥満は体脂肪の溜まりすぎ。便秘で体重が増えても太ったとはいわないが、便秘や下痢は腸内環境が乱れたサイン。腸内環境が悪いと太りやすい。全粒穀物、豆類などの発酵性食物繊維の摂取を増やすと、善玉菌が元気になって腸内環境が良くなり、便通も改善。発酵で生まれた短鎖脂肪酸は代謝を上げ、食欲をセーブ。
ドレッシング
→代わりにレモンを搾って
低カロリーでビタミンやミネラルなどの栄養素が摂れる野菜摂取は増やしたいが、味付けにも気を抜かず。マヨネーズ(大さじ1杯84kcal)やフレンチドレッシング(大さじ1杯61kcal)をドバドバかけると、不要なカロリーが入る。新鮮な野菜に塩・コショウを軽く振り、レモンを搾って美味しくヘルシーに食べよう。
霜降り肉
→時代は赤身肉
サシの入った霜降り肉は美味しいが、その分カロリーも高い。すき焼きなどに最適なリブロースは、ヒレやランプといった赤身肉の2倍以上のカロリーがあるのだ。すき焼きなら、もも肉にするとカロリーが抑えられる。焼き肉も同じく脂質が多いカルビ(バラ)より、タンや肩ロースの方が低カロリーでダイエット向き。
豚骨ラーメン完食
→ラーメンはスープを残す
福岡のご当地グルメだった豚骨ラーメンが、首都圏でも人気を集めたのはバブル期。いまや訪日観光客にも人気だが、塩や醬油のようなあっさり系ラーメンよりもカロリーは若干高め。トッピングを除けば、カロリーはスープで変わるから、豚骨ラーメンを食べるならスープは残そう。気になる塩分摂取も相当減らせる。
挽き肉料理
→週1回でよくないですか?
子供も大人も好きなのが、ハンバーグに代表される挽き肉料理。挽き肉は脂身も含めてミンチにするため、赤身肉よりもカロリーは高め。ハンバーグ1人分は300
kcal前後で、カロリーは唐揚げのような揚げ物に匹敵する。罪深いのは、挽き肉料理を揚げたメンチカツ。挽き肉料理は週1回、メンチカツは月1回をめどに。
大トロ
→中トロでいいじゃない
マグロはタンパク質のほか、ダイエット効果もあるEPAやDHA、代謝に欠かせない鉄分などの栄養素が含まれる。脂が乗った方が美味しいけれど、大トロ>中トロ>赤身の順にカロリーは高い。カロリーが心配なら、赤身と中トロを中心に。回転寿司の大トロは炙りにすると脂身が落ち、ほんの少しだけ低カロリーになる。
隠れ糖質
→春雨にも意外といるぞ
糖質が気になる人には、ご飯やパンや麺類といった主食をカットしている人も多い。でも、主食以外にも糖質はあちこちに隠れている。たとえば、春雨。ヘルシーそうだが、原料はデンプン=糖質。砂糖やみりんを使う煮物、パン粉などの衣に糖質を含む揚げ物、皮に糖質が多い餃子や焼売といった点心も摂りすぎ注意。
コーヒーフレッシュ
→カロリーは角砂糖並み
カフェチェーンなどで提供されるコーヒーフレッシュの原料は? ミルクのように思えるけれど、その正体はアブラ。植物油を乳化させて白っぽくしたものだ。1個当たりのカロリーは12kcal前後。角砂糖1個分である。コーヒーや紅茶は元来カロリーフリーの飲み物。ブラック、ストレートで素材本来の滋味を味わいたい。
フライドポテト
→ポテトは野菜ではない
ハンバーガーチェーンのセットメニューの定番がフライドポテトなのは、アメリカ人がジャガイモを野菜と見なしているからだとか。ジャガイモはイモ類。糖質主体で栄養的にはご飯などの主食に近い。しかも揚げ物だから高カロリーであり、塩分だって多い。40代以降はSサイズをたまに食べるくらいでちょうどいい。
汁物のない食事
→出汁を効かせよう
太らない食事の鉄則は一汁三菜。つまり主食、汁物、おかず3点(主菜×1、副菜×2)を揃えると栄養バランスが整いやすく、適量で満足できて、食べすぎが抑えられる。汁物からは野菜や海藻、きのこなどが摂れるし、水分でお腹も満たせる。なかでも出汁がよく効いた旨味が強い汁物は、脳が満腹を感じやすい。
ミルクチョコレート
→チョコは高カカオ限定
チョコの成分表示の筆頭に「砂糖」とあったら要注意。砂糖の含有量がもっとも多いという意味で、血糖値が上がりやすく、カロリーも高く太りやすい。チョコを食べるなら、カカオ含有量70%以上の高カカオチョコ限定。砂糖が少なく、食物繊維が多くて血糖値を上げにくい。カカオのポリフェノールは抗酸化力も高い。
マカダミアナッツ
→30gでご飯1杯分
ナッツには、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足しやすい栄養素が凝縮されている。間食や夜食に1回30g前後食べるのがお薦めだ。一方、ナッツは脂質が多く、高カロリー食でもある。とくに気をつけたいのはマカダミアナッツ。30gで225kcal(煎り、味付け)もあり、ご飯普通盛り1杯(252kcal)に匹敵。
同僚・友人からのお土産
→だいたい糖質と脂質
仕事場にあると嬉しいのは、同僚の出張や小旅行のお土産、あるいは来訪者からの手土産。小腹が空いたときに食べるのに持ってこいだが、調子に乗って食べすぎないように。土産物の多くは日持ちがする焼き菓子。多くは糖質と脂質からなる。デスクワークの合間に貪っていると、無駄なカロリーの摂取につながる。
キャベツやレタスだけのサラダ
→摂りたいのは緑黄色野菜
野菜を食べれば痩せるわけではないが、野菜たっぷりの食事は適量で充足し、過食を抑える。どうせ野菜を増やすならキャベツやレタスなどの淡色野菜ではなく、トマトやピーマンのように色が濃く栄養価の高い緑黄色野菜を。緑黄色野菜には生活習慣病を防ぐ有用成分フィトケミカルが多く、1日120g以上の摂取を推奨。
5分以内の食事
→早食いは論外。15分で食べよう
現代人の食事時間は平均11分。ファストフードを5分で平らげる強者もいる。痩せるために大事なのは、何を食べるかだけではなく、それを何分で平らげるか。早食いを避ける現実的な方法は、食事時間を決めること。たとえばタイマーを15分に設定。よく嚙んだり、中断したりしながら、15分以上かけて食べよう。
パスタサラダ
→実はサラダじゃない
サラダで摂りたいのは野菜、海藻、きのこなど。だが、サラダと称しつつ、糖質が多いタイプもある。典型例はマカロニサラダとポテトサラダ。そして最近コンビニでもよく見かけるのが、マカロニサラダの進化形ともいえるパスタサラダだ。これらの“サラダ”はマヨネーズや油で和えてあるため、カロリーも高めである。
おかわり
→するなら副菜だ
飲食店で「おかわり無料」というと、圧倒的に多いのはご飯。ご飯をおかわりすると糖質もカロリーも摂りすぎるし、栄養バランスが偏りやすい。おかわりするなら、不足しやすいビタミン、ミネラル、タンパク質などが補えるおひたし、冷や奴など。おかわりは有料だが、40代ならそれくらいの財布の余裕はあるはず。
主食から食べる
→食べ順ダイエットは常識
主食から食べると血糖値が急に上がり、肥満ホルモンであるインスリンの大量分泌を招く。主食に先立ち、タンパク質や脂質を含む主菜、食物繊維を含む副菜を食べると血糖値は上がりにくい。ただ食べ順に気をつけても、早食いだと主菜、副菜、主食がほぼ同時に体内へ雪崩込むので無意味。ゆっくり食べとセットで。
個食&孤食
→誰かと食べると太りにくい
農林水産省の調査によると、週の半分以上、一日のすべての食事を一人で食べる人は約15%に上る。6.5人に1人だ。個食&孤食だと話し合う相手がいないため、早食いになったり、逆にダラダラ食いになったりする。いずれも太りやすい。仕事が忙しくても、なるべくタイミングを合わせて家族や仲間と食事しよう。
高GL
→ GI×糖質摂取量が大事
血糖値が上がりすぎると、肥満を招くインスリンというホルモンの分泌が促される。そこで、血糖値の上がりやすさを示す「GI」が低い、玄米や大豆などを選ぶ人も多い。だが、低GI食も食べすぎると大量の糖質が一度に入り、血糖値は上がる。GIと糖質摂取量を考慮した「GL」が低い食べ方を意識するのが正解だ。
甘いお酒
→ストロング系はキケン
ジンなどの蒸留酒を果物ジュースで割るカクテルは、甘くて飲みやすいが、アルコール以外に果物の糖質も加わるので太りやすい。そしてもっとキケンな甘いお酒もある。ストロング系チューハイだ。炭酸入りで喉越しも爽やか。ゴクゴク飲めるが、アルコール量は1本(9%、500mL)でワインボトル2分の1本と同等だ。
ダブル糖質
→部活生じゃあるまいし
ラーメンにチャーハン、親子丼にうどん…。満腹になりたいタイプにウケるのが、麺類&ご飯類という主食の重ね摂り。ダブル糖質だ。部活で毎日1000kcal以上消費する中高生なら、それでも太らないだろう。でも、オフィスワークメインでロクに動かない大人が、ダブル糖質を選ぶとカロリー過多確定。必ず太る。
焼き餃子
→だったら水餃子
「餃子は完全食」とは、名作漫画『美味しんぼ』のセリフ。確かに、皮(パンや麺類と同じく小麦粉が主成分)+タネ(肉と野菜)が一度に摂れるので、栄養バランスに優れる。減量中に食べるなら油をひいて焼く焼き餃子より、シンプルに茹でて食べる水餃子がいい。いずれも辣油入りのタレを付けすぎないように。
チーズバーガー
→チーズは余計かも
ランチにハンバーガーショップに入ったら、頼むべきはシンプルなハンバーガー。チーズバーガーにすると、スライスチーズ1枚分だけカロリーが約20%増える。40代以降、高血圧予防のためにとくに控えたい塩分摂取も35%ほど増える。チーズ抜きでもお腹が満たせるように、サイドメニューでサラダを頼んでおこう。
ベーコン
→だったらロースハムで
ベーコンは1枚15gで60kcal、ロースハムは1枚15gで30kcal。ざっくりとベーコンはハムの2倍のカロリーがあると覚えておこう。それでいて、ハムの方がタンパク質の含有量は多い。余分なカロリーを摂りたくない40代はベーコンエッグよりハムエッグ、アスパラベーコン巻きよりアスパラハム巻きをチョイスする。
カツ丼
→丼物から卒業しよう
丼物は安くて手軽で美味しいが、高カロリー。とくにカツ丼は1000kcal近く、1日の摂取カロリーのおよそ半分だ。外回りの現場で一日中動き続けていた20〜30代ならいざ知らず、40代でデスクワーク中心なら丼物とは縁を切ろう。丼物が食べたくなったら、低カロリーの鉄火丼か親子丼に限定。じっくり味わおう。
夜8時以降の食事
→眠る3~4時間前に箸を置こう
1日の摂取カロリーが同じなら、どのタイミングで食べるかは肥満度に深く影響しない。かといって夜遅く食べるのは感心できない。眠っている間に胃腸が残業を強いられるため、睡眠の質が低下。消化吸収が十分進まないと朝食欲がなく、欠食して代謝を落とす恐れもある。食事は就寝時刻の3〜4時間前に終えよう。
ご飯の大盛り
→続けると1年で4kg太る
ご飯普通盛り1杯(150g)は252kcal、大盛り(200g)で336kcal。摂取カロリーが84kcal増える。大したことない? ランチで大盛りを1年続けると、体脂肪換算で4.2kg太る計算。逆にご飯小盛り1杯(120g)は202kcal。普通盛りより50kcalダウン。ランチの小盛りを1年間続けると、体脂肪換算で2.5kg痩せる。
昨日の食事が思い出せない
→無意識食べはNG
食事を済ませたかどうかが思い出せないのは認知症の前触れだとか。食事の内容が思い出せないのは認知症ではないにしても、無自覚で食べている証拠。スマホを片手に知らない間に高カロリーなものを口にしたり、咀嚼を疎かにして飲み込むように食べたりしていると考えられる。どちらも肥満を招きやすいNG習慣だ。
100%果物ジュース
→野菜ジュースも油断できない
果物はビタミンやミネラルの宝庫だが、一方で果糖という糖質が多い。果糖は体内に入ると肝臓で体脂肪に変化しやすい。生食なら気にしなくていいが、果汁を濃縮したジュースを一気飲みして果糖が大量に入ると、太りやすい。野菜ジュースには果物ジュースをミックスしたものも多いので、よく確認してから買おう。