「足首の痛み」のコンディショニング。詰まり改善のエクササイズ&マッサージ
連載「コンディショニングのひみつ」。第52回は「足首の痛み」について。問題に対処するには、とにかく足首周辺の筋肉を“動かす”ことが最善だ。
取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.859・2023年6月22日発売

足首が痛む原因とは?
ランやウォーキング、また立ち上がる動作などによって、年齢とともに足首の痛みを訴える人が増えてくる。将来も含めた日常生活を安心して送るためにも、改善しておきたい足首の不調に対するコンディショニングを今回は解説していこう。
足首=足関節(そくかんせつ)は、骨や筋肉、腱や靱帯からなる複雑な構造を持ち、体重を支えながらカラダをさまざまな方向へと動かす関節だ。
なかでも今回のテーマで特に注目すべきが、両くるぶしの間にある「距骨」。これを機能解剖学的に見ると、痛みの原因も理解しやすくなるはずだ。
足関節は、下腿の脛骨・腓骨、足部の骨に距骨がはさまれた形で構成される。距骨は靱帯のみで上下に関節をなし、周囲につながる筋肉が硬くなることで関節が詰まり、痛みの原因に。
そもそも足首は2つの関節からなり、距骨とその上にある脛骨・腓骨(=下腿)で構成されるのが「距腿(きょたい)関節」。おもに足首を前後に動かす(背屈・底屈)働きを担っている。
一方でその下側に位置する「距骨下(きょこつか)関節」は、足首をひねる(回外・回内)ときに主として働くものだ。
さらに特筆すべきは、実は距骨に筋肉は付着せず、わずかに靱帯のみで双方の関節に連結しているということ。足首の自由な動きを生み出す反面、足関節が詰まったり、歪みやすくなったりすることで、間のスペースが狭くなった関節に痛みが生じてしまうというわけだ。
痛みの根本原因は「周辺の筋肉」にあり
こうした構造から見ても、痛みの根本的な原因は足関節そのものではなく、周辺の筋肉に問題があることが多い。下腿から足部へは、前面に前脛骨筋、後面に下腿三頭筋、内側は後脛骨筋、外側には長腓骨筋をはじめさまざまな筋肉がつながっている。
ここへ加齢による筋力の低下、体水分量の減少による細胞の劣化、膜組織の滑りが悪くなるといった影響が加わり、これらの筋肉が硬く縮むことで、足首のスムーズな動きが妨げられてしまうのだ。
のみならず、足関節には足指へとつながる筋肉や腱も多く存在している。そのため、ただでさえ日常的に歩かなくなった現代人が、さらに足元を靴でガチガチに固めたり、ヒールのある靴を履く習慣で足指の動きも妨げられたりすることで、足首の可動域がますます低下してしまうというわけだ。
対処法は動かすこととマッサージ
こうした問題に対処するには、とにかく足首周辺の筋肉を“動かす”ことが最善だ。座りっぱなしのデスクワークを続けるときには、合間に足首の背屈・底屈エクササイズを取り入れるなどで、足関節の詰まりを改善するように心がけたい。
足首の背屈・底屈エクササイズ
デスクワークなどの合間におすすめ。椅子に腰掛け、片脚を伸ばして足首を深く曲げる(=背屈)。続いて足首を大きく反らし(=底屈)、20往復。反対側も行う。
さらに踏み込んだ予防・改善策として薦めたいのは、周辺の筋肉を捉えながら動かすセルフマッサージ。下肢を前後から、さらに押さえる位置をずらしながら足首を全方向へと動かすことで、周辺の筋肉を満遍なくほぐしていこう。
セルフマッサージ
両手でふくらはぎを後ろ側からつかみ、圧迫しながら足首を曲げる・反らす・両方向へ回すなどで、手の位置をずらしながら筋肉をほぐす。前側から脛を圧迫しながら同様にしてほぐし、反対側も行う。
復習クイズ
答え:筋肉