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スポーツ中のタックル、急な方向転換がリスクに。膝内側側副靱帯(MCL)損傷

連載「コンディショニングのひみつ」第46回。膝関節の障害と、そのコンディショニングについて解説するシリーズの7回目は「膝内側側副靱帯(MCL)損傷」について。

膝内側側副靱帯(MCL)損傷 コンディショニングのひみつ マンガ

外側から強い力が加わり、膝の内側の靱帯が損傷する

膝内側側副靱帯(MCL)は膝の内側で大腿骨と脛骨をつなぐ、膝関節の4つの主要な靱帯のひとつだ。膝の外側からの力(外反ストレス)に抵抗して関節の内側が開くのを防ぎ、安定性を保つ役割を担う。

そして実は膝靱帯の損傷のうち、最も頻度が高いとされるのがこの内側側副靱帯だ。多く見られる受傷シーンは、ラグビーやアメリカンフットボールなどでタックルを受けること。膝の外側から強い力が加わって関節に外反や過度な外旋力が働き、損傷や断裂へと至ってしまうのだ。

膝内側側副靱帯(MCL)損傷

膝関節の内側で脛骨と大腿骨をつなぎ、関節の内側が開きすぎるのを防ぐ役割を担う内側側副靱帯。ここへ膝の外側から強い力が加わると、断裂や損傷が引き起こされる。

コンタクトスポーツ以外でも発生する

発生原因としては大きく2つに大別され、まず前述のようなコンタクトスポーツ、また事故などが原因で膝が不自然な方向に曲がって損傷するのが“接触型”。

さらにサッカーやバスケットボールなどの急な方向転換、スキーの転倒やツイスト動作、バレーボールなど着地の瞬間に損傷するという“非接触型”がある。

内側側副靱帯は単独での損傷が多いものの、前十字靱帯(ACL)後十字靱帯(PCL)損傷や、半月板損傷を合併することもある。

大変な痛みを伴うはずなのだが、スポーツ競技中は脳内にアドレナリンが大量に出て、痛みを感じないこともある。ブツッと切れる音とともに「気がついたら膝が“く”の字に曲がっていた」という人もいるほどだ。

膝内側側副靱帯(MCL)損傷の症状

症状としては熱感や圧痛、腫れ、曲げ伸ばしの痛み、荷重の際の外反や不安定感が見られるが、初期に適切な処置をすればACL損傷に比べて修復しやすい

ただ軽度だと単に捻挫として取り扱われることも多く、急性期に処置をせず伸びた状態のままでは、半月板損傷などを誘発する場合もあるので注意が必要だ。

重症では手術を要することもあるが、多くの場合は基本的な処置と安静、運動療法で治癒する。以下に具体的なトレーニングを紹介しよう。

予防・改善トレ① 可動域と筋力の訓練

可動域と筋力の訓練

椅子に座って片脚の膝を伸ばし、5~10度の範囲内で曲げ伸ばしを行う。1セット20回とし、回復に応じて徐々に負荷を追加。

まずは座位での負荷がない状態から、少しずつ膝の曲げ伸ばしをしていく。特にここで行うレッグカールは屈曲を5~10度の範囲で行うことで、筋の動きが太腿の内側から膝下につながる内側広筋にフォーカスされる。

これは膝の伸展動作に働く筋肉のため、膝の安定性を内側から高められるのだ。できるようになれば、次のトレーニングも加えていく。

予防・改善トレ② 下肢の協調性の訓練

下肢の協調性の訓練

両足は腰幅で立ち、片足を後ろに引いて爪先を立てる。腰を落として前脚に体重をかけ、膝を軽く曲げ伸ばし。1セット20回。

立位姿勢で股関節から足首、さらに足裏も連動させて、膝関節に負担のない動きを身につけるのが目的。脚を前後に軽く開き、片脚でスクワットをするように荷重を加えて、膝を浅く曲げ伸ばしすることから始めよう。

最終的にはスプリットスクワットの要領で両脚のスタンスを広げ、膝の可動域を徐々に深めていく。


予防・改善トレ①は脚の重みでスムーズにできるようになれば、足首に巻くタイプのウェイトを追加して筋力を強化していく。重さは20回1セットをギリギリできる程度が目安だ。

予防・改善トレ①②は、いずれも負傷した側の脚で2~3セット、反対側の脚も1セットは行い、左右の協調性を高めることも意識したい。

復習クイズ

内側側副靭帯を支えるために強化する筋肉は? 外側広筋 内側広筋 大腿直筋

答え:内側広筋

取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.853・2023年3月23日発売

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