「足のむくみ」に。余分な水分を溜めない食事&運動の対策
連載「コンディショニングのひみつ」。第51回は「足のむくみ」について。その原因と対処法を学んでいこう。
取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.858・2023年6月8日発売
体内に余分な水分や老廃物が溜まった状態
中年期に差し掛かると、「足がむくむ」「下半身が重だるい」といった人が増えてくる。今回は、疾患とは言えないけれど不快な、この足の不調にクローズアップしていこう。
医学用語ではむくみを「浮腫(ふしゅ)」と呼び、血液の流れや、血管から浸み出たリンパ液が滞ることで、体内に余分な水分や老廃物が溜まった状態を指す。座り時間が長く、下半身が圧迫された姿勢が続くデスクワーカーにとっては、特に起きやすい切実な問題だといえるだろう。
とはいえ、むくみには分かりやすい原因があるだけに対策も立てやすい。改善のための具体的なアイデアとともに紹介していこう。
食生活の原因と対策
むくみは一般的に、過剰な塩分が問題とされることが多い。もともとカラダには塩分の濃度を一定に保とうとする働きがあるため、塩分を摂りすぎると、これを薄めようと水分を溜め込みやすくなるためだ。
一方で見落としやすい原因が、糖質過多によるもの。食事で摂取した糖質は水分と結合し、グリコーゲンとして筋肉などに貯蔵されるが、これが増えすぎた結果、カラダが水分を多く溜め込んでしまうのだ。
つまりラーメンをスープまで飲み干すといった食習慣は、二重の意味でむくみを招きやすい。生活習慣病予防の観点からも、塩分の多い食べ物は極力、控えめにできるといい。
ただし、ここで問題にすべきは塩の主成分である「塩化ナトリウム」。岩塩や藻塩といった天然の塩はミネラルを豊富に含み、むしろカラダが必要とするものだ。要は、良質な塩選びを心掛けるべし、ということ。
また、むくみ予防で誤解しがちなのが、水分の摂取を控えてしまうこと。水分不足を感じたカラダには水分を溜め込む働きがあるとされ、むしろ逆効果になりかねないのだ。
では、むくみ対策に必要な栄養素といえば? 真っ先に挙げられるのが、過剰なナトリウムを体外に排出し、利尿作用のある「カリウム」だ。ホウレンソウやバナナ、アボカドといった野菜や果物類に多く含まれるため、むくみやすい人はこれらを積極的に摂りたい。
身体機能の原因と対策
むくみの物理的な原因としては、下肢の筋肉量と柔軟性が深く関与する。加齢でむくみが増えるのも、これらの低下によるものが大きい。そもそも下半身は心臓から遠く、重力もあって血液が滞りやすい。さらにリンパ管には血管のような弁がなく、循環を促すには筋肉の収縮によるポンプ作用が不可欠なのだ。
こうした筋肉のポンプ作用において最も重要なのが、むくみやすい部分の筆頭=ふくらはぎの筋肉。そして残念ながら、座り姿勢では全く使われることがない部分でもある。
そこで行いたいのが、足首の動きを連動させた「レッグエクステンション」。デスクワークの合間にも、ふくらはぎの筋肉を最大限に伸び縮みさせて刺激を与えることが狙いだ。
足首連動のレッグエクステンション
椅子に浅めに腰掛け、膝を支点に片脚を伸ばしながら、足首を深く曲げる(=背屈)。続いて足首を反らしながら(=底屈)膝をなるべく深く曲げ、20往復。反対側も行う。
さらに積極的な筋力強化法としては、立ち姿勢で負荷をかけながら、ふくらはぎを伸び縮みさせる「エア縄跳び」を推奨したい。
跳ばない「エア縄跳び」
膝を軽く曲げて立ち、縄跳びを持ったつもりで両手を回しながら、爪先立ちで伸び上がる。そのまま踵を着地させて、30~50回程度を目標にエア縄跳びを繰り返そう。
なお、骨は衝撃を与えることで新陳代謝が促される。踵でドスンと着地すれば骨が丈夫になり、道具いらずで一石二鳥の効果が期待できるだろう。
復習クイズ
答え:カリウム