夏場も油断できない「足の冷え」を改善する衣・食・運動の工夫
連載「コンディショニングのひみつ」。第50回は「足の冷え」について。冷え=女性に多いイメージだが、加齢による影響も大きく、実は性別を問わない。その原因と対処法を学んでいこう。
取材・文/オカモトノブコ 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.857・2023年5月25日発売
性別を問わない悩み「冷え」の原因は?
足の不調に関するコンディショニング、今回は「冷え」について。冷え=女性に多いイメージだが、加齢による影響も大きく、実は性別を問わない。むしろ男性ほど若い頃とのギャップを感じやすく、中年以降で顕著になる悩みともいえるだろう。
大きな原因は、20代頃をピークに年々、筋肉が減少することによる血流の悪化。日頃の運動不足が追い打ちをかけるのは言うまでもないが、加えて問題となるのが、長時間のデスクワークなどで座り姿勢を続けること。
鼠蹊部が圧迫され、下半身に滞った血液を筋肉で押し戻すふくらはぎのポンプ作用が働かない、前かがみの姿勢で心肺の動きが妨げられ、呼吸が浅く、血液も酸素も不足する…と、冷えを助長する影響を挙げればキリがないほどだ。
足の冷えを改善する衣・食・運動の工夫
足が冷えやすい体質を改善するには、日頃の生活と運動習慣を見直すのが一番。すぐできて続けやすい、衣・食・運動の工夫を紹介しよう。
下着で冷えを防ぐ
夏でも冷房で冷えやすく、見落としやすいのが足首まわり。靴下はショート丈でなく、足首をカバーできるものを選びたい。また血流が多く集まる鼠蹊部まわりや腹部も冷やさないよう、下着は股上が深めのボクサータイプなどがおすすめだ。
冷たい飲食物を避ける
「冷たいものは胃を冷やす」というのは東洋医学的な概念だが、暑いからとキンキンに冷えたものばかり飲食していると消化力が低下する。代謝の衰えによる冷えを防ぐ意味でも氷入りはなるべく避け、常温のものを選ぶように心がけたい。
また食事の際は、血流促進作用のあるニンニクやショウガ、ネギなど香味野菜、トウガラシなどの香辛料を積極的に取り入れるといいだろう。
良質なタンパク質と脂質
冷えやすい人に共通するのは、エネルギーとして燃やされる栄養素が不足しがちということ。まず重視すべきは、タンパク質。炭水化物より2倍以上の熱エネルギーを産生し、なかでも必須アミノ酸のバランスが取れた動物性タンパク質はカラダに効率よく利用されやすい。特に朝食はタンパク質が不足しやすいため、意識して摂取を心がけよう。
熱を生み出す働きとしては、脂質も同様。血流の循環を促すオメガ3は青魚などに多く含まれるため、タンパク質も同時に補えて一石二鳥だ。
ストレッチ&リリース
座りすぎの弊害は前述の通りだが、同じ姿勢を長時間続けることも大きな問題。滞った血流を改善するため、座ったままできるストレッチ&リリースをぜひ、こまめに取り入れたい。
座ったままできる足首リリース
仕事の合間には足首リリースで血液の滞りを改善。足首をぐるっと回し、全方向に満遍なく大きく動かしていく。20回で逆回しも行い、反対側も。
胸を大きく反らすストレッチ
姿勢が前側に縮むと、血流不足の原因にもなりやすい。両手を頭の後ろで組み、胸を大きく反らすストレッチで改善しよう。5秒キープ×10回。
予防エクササイズ
スクワットとカーフレイズのコンビネーションで、加齢で特に衰えやすい下半身の筋肉をまとめて強化。ふくらはぎの可動域を大きくすることで、血流を促すポンプ作用で特に重要な筋肉を効率よく鍛えられる。
カラダの内外から冷やさない&熱を生み出す工夫で、ツラくて不快な足元の冷えをシャットアウトしよう。
スクワット&カーフレイズ
両足は腰幅で膝と爪先の向きを揃えて立ち、背中をまっすぐにしたまま腰を落としてスクワット。続いて立ち上がったら爪先立ちになり、これを繰り返す。20~50回。
復習クイズ
答え:ふくらはぎ