笑って自律神経を整えよう。識者3名が推す心から笑えるコンテンツ17選
心から“笑う”というのは自律神経を整えるのに効果的。でもコンテンツに溢れる昨今、笑えるコンテンツを吟味するのも一苦労。そこで忙しい現代人のために、“笑い”を軸にした表現を仕事にする3名に、本当に笑えるコンテンツを厳選してもらった。映画、番組、マンガ・本など。自分のツボを見つけよう!
編集・取材・文/宮田恵一郎 イラストレーション/高橋将貴
初出『Tarzan』No.858・2023年6月8日発売
ラリー遠田さん
教えてくれた人
らりー・とおだ/1979年、愛知県生まれ。お笑い評論家。テレビ番組制作会社を経て、フリーライターに。現在はお笑い評論家として、取材、執筆。著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『この芸人を見よ!1・2』(サイゾー)がある。
長井短さん
教えてくれた人
ながい・みじか/1993年、東京都生まれ。女優、モデル。学生時代から劇団に所属し、“演劇モデル”として二刀流で活動。テレビ朝日系ドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』にレギュラー出演。映画、テレビ、舞台と幅広く活躍。著書に『内緒にしといて』(晶文社)。
こがけんさん
教えてくれた人
1979年、福岡県生まれ。芸人。2019年、R-1グランプリ決勝進出。20年、ピン芸人・おいでやす小田とのユニット〈おいでやすこが〉でM-1グランプリ準優勝。同年、雑誌『BRUTUS』にてシネマコンシェルジェに選ばれ、映画好き芸人として多方面で活躍。
「映画」で笑う
『俺たちフィギュアスケーター』
終始バカバカしい、米・コメディ界の金字塔
エディ・マーフィらを生んだ番組『サタデー・ナイト・ライブ』出身のコメディアン、ウィル・フェレルとジョン・へダーのW主演作。
「ウィルがスケートリンクに登場するシーンが傑作で、右手を掲げると先から火が。“審判に注意されるやろ”とツッコみたくなるスケート技の応酬と凸凹男子ペアが奮闘する胸熱なスポ根設定に、大爆笑の波が訪れます」(こがけんさん)
『レゴ®ムービー』
子供向けと見くびるな!むしろ大人がターゲット
ハリウッド映画のパロディをふんだんにちりばめた『レゴ®ムービー』は、子供は冒険活劇として、大人はコメディとして一家で楽しめる名作。
「開始10分はこれでもかというほどのレゴ®のカラフルな世界に困惑する人もいるかもしれませんが、そこを乗り越えれば深いストーリー性に引き込まれます。声優陣も超豪華で、ラストシーンはまさに掟破り! 瞬き厳禁です」(こがけんさん)
『あなただけ今晩は』
ジャック・レモンの演技に、ニヤニヤが止まらない
舞台はパリ中央市場の娼婦街・カサノバ通り。真面目な新人警官と娼婦の恋を描いたラブコメディ。
「大爆笑というよりは、終始クスクス笑いが絶えない作品です。娼婦のイルマに恋心を抱いた警官役のジャック・レモンが“お金持ち”と偽り近づくのですが、それがバレそうになるたびに“ヒヤリ”と“ニヤリ”が同時に起こる。こんな感情は他の作品では味わえません」(長井さん)
『ズーランダー』
キメ顔ひとつで世界のお茶の間を沸かす
ファッション業界を皮肉ったようなブラックジョークのオンパレード。
「主人公のデレク・ズーランダーが人々を魅了するキメ顔“ブルー・スティール”を武器にモデル界のトップに君臨する設定や、頭が空っぽのモデルをデザイナーが洗脳して殺し屋に仕立てたりと、もうはちゃめちゃ。観終わる頃にはブルー・スティールが頭から離れず、真似したくなる映画です」(こがけんさん)
「芸人」で笑う
ハイツ友の会
身振り手振りはほぼなし、新感覚のしゃべくり漫才
わずか結成4年目でM-1グランプリ準決勝に進出した女性コンビ。
「テンションの低い陰キャな感じの2人がボソボソとした口調で結構キツイことを淡々と言う。物事を斜めから捉える視点も含め、ツボにハマると堪らない。動きが少ない漫才の動画は画面を見ずにラジオ感覚でも楽しめます」(ラリー遠田さん)
というから、“ながら作業”にもおすすめ。
画餅
演技力もさることながら、奇想天外な設定勝ち!
「昔から〈テニスコート〉が好きで、メンバーの神谷さんが画餅を始めると聞いて観に行ったのですが、やはり設定が個性的!」(長井さん)
という舞台『サムバディ』は3部作の構成。なかでも、長井さんのツボに刺さったのが“知らない人のお通夜にお寿司を食べに来た人”のコント。
「あり得ないけどいるかも、と思わせるセンスが抜群でした」
ラバーガール
もはやフリなし、オチまで高速の秒殺芸
「今の時代を象徴する出来事」と目を丸くするのが、TikTokで大バズリした〈ラバーガール〉。
「昔からコントのフリが短くて、笑いまでが早かったので、その芸がショート動画に見事にハマりました。スマホの小さい画面でも分かりやすくて、移動中にどこでも観られる。しかも動画は約10秒。こんな手軽さで笑いは本格的です」(ラリー遠田さん)
「マンガ・本」で笑う
『マイホームアフロ田中』
共感笑いを誘う、冴えない男の日常劇
「連載から20年間、ど真ん中にストレートを投げ込むようなギャグを描き続けていてパワーが落ちていない」(ラリー遠田さん)と大絶賛。
主人公の中学生時代から描かれ始め、今は結婚し、子供もでき、家を建てようと人生のターニングポイントに差し掛かる。
「実生活と重ね、主人公と同世代(30、40代)の男性には特に響くと思います」
『 無能の鷹』
大笑い、クスクス笑い、呆れ笑いがすべてある
有能に見えて、中身はとんでもなく無能な鷹野ツメ子。入社したITコンサルタント会社での日々を描くお仕事コメディ漫画。
「一見ちゃんと仕事をこなしているようだけど、1ページめくると、飄々とあり得ないことを言ったり、やったり。それに同僚が振り回される光景はもう痛快! こんな人が周りにいたら、もう笑うしかない」(長井さん)
『50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう』
頭も表情も柔らかくなる、大人の人生の教科書
“空気は読まないで、ゆっくり吸うっていうのが生きていくコツ”など、高田純次語録が並ぶ一冊。
「僭越ながら、高田純次リスペクト芸人として僕のインタビューも掲載されています。個人的な思いは差し引いても、笑えること間違いなし。クスッとくる高田さんのテキトーぶりが、凝り固まった考えを解放し、表情を緩ませてくれます」(こがけんさん)
「番組」で笑う
BSフジ『クイズ!脳ベルSHOW』
思わず噴き出す、意表を突くハプニング!
「答えをどうぞ!」で開いたフリップが空欄って、まずあり得ない。ただ、このクイズ番組は例外だ。
「パネラーがお年を召した方々が多いこともあり、矢継ぎ早にハプニングが起こる。それをさばくMC岡田圭右さんの名采配でハプニング笑いがさらにブースト。いつも大笑いしていますが、これに勝るお笑いはないかもと思うと怖くなります(笑)」(こがけんさん)
TBSラジオ『ハライチのターン!』
一度聴いたら、あなたも笑い+悪口の共犯関係!
ラジオのヘビーリスナーという長井さんが、「これは別格!」とイチオシする『ハライチのターン!』。
「コンビ2人のトークはもちろんですが、ハガキ職人から届く投稿が抜群に面白くて。世の中であまり口にしてはいけないような話題も出てくるのですが、芯を食っているから、つい笑ってしまう。リスナーを巻き込むラジオ特有の掛け合いが楽しめます」(長井さん)
ABEMA.TV『チャンスの時間』
マンネリの来ない笑いを量産する神コンテンツ
好きな時に、〈千鳥〉の笑いが楽しめるのが配信番組の強み。
「一般的にバラエティ番組って、人気企画ができるとそれに凝り固まっていく傾向があります。ただ、『チャンスの時間』は趣向を凝らし、毎回新しい企画に挑戦している。だから飽きが来ない。地上波のテレビではできないような過激な企画を、次々にやっているのも見どころです」(ラリー遠田さん)
NETFLIXオリジナル『クィア・アイ』
バラエティ要素がてんこ盛り!
美容、ファッション、インテリアなどの分野で活躍するLGBTQの5人組が、悩みを抱える人の外見や内面を変化させるリアリティショー。
「みんな大好きなビフォーアフターものに、強力なキャラクターをくっつけた、まさに最強コンテンツ! ヴァイブスがいいってこういうことだな、って思うくらい楽しげで、要所で笑えて、時々泣ける感動シーンも」(こがけんさん)
「動画・DVD」で笑う
ロバート秋山の「クリエイターズ・ファイル」
芸人界で唯一無二! 秋山ワールドを大開放
「〈ロバート〉の秋山さんの表現力と審美眼は本当にすごい」と脱帽する芸はYouTube公式チャンネルで観られる。
「プロの取り巻きとか、史上最も肥えたミイラとか、もうネーミングからして最高。ヴィジュアルだけでなく、細かな仕草まで、“あるあるネタ”が大渋滞したオリジナルキャラクター揃い。これが無料なんて贅沢すぎる」(こがけんさん)
『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』
死ぬかもしれない!? 危機一髪のリアクション芸
クイズに間違えたら足に火をつけられ逆バンジーさせられる“人間ロケットクイズ”など、ビートたけしの過激な悪ふざけに芸人が挑む番組。
「“今日、死んでもいい”くらいの気持ちで、芸人がカラダを張ってバカバカしいことを本気でやる。コンプライアンスを気にする今のテレビ企画では絶対見られないリアクション芸の最高峰が収められています」(ラリー遠田さん)
『傘買って雨上がる』
サラリーマンネタで、右に出る者はいない
テレビでお馴染みのお笑いトリオ〈東京03〉のコントが10分以上のフル尺で観られるのはライブならでは。その映像を収めたDVDで、こがけんさんが何度も見返したというのが、『傘買って雨上がる』。
「サラリーマンという一つのジャンルをここまで細分化できるのは、東京03さんだからこそ。本人たちの副音声でコントを観られる、贅沢な特典映像も必見です」(こがけんさん)