ゆるめたい筋肉 第1位「大臀筋」の伸ばし方|ベストストレッチ9
この【ベストストレッチ9】企画では、現代人が硬くなりがちな「9つの筋肉」にフォーカスしてストレッチ種目を厳選。今回は、世界一座っている時間が長い日本人が最もほぐしたい大臀筋のストレッチを、可動域別に3段階のレベルに分けて紹介する。自分の現時点の柔軟性に合わせて、無理のない範囲から徐々にほぐしていこう。
取材・文/石飛カノ 撮影/内田紘倫 スタイリスト/津野真吾 ヘア&メイク/COBA イラストレーション/野村憲司、今牧良治(共にトキア企画) 取材協力・監修/中野ジェームズ修一
初出『Tarzan』No.856・2023年5月11日発売
教えてくれた人
中野ジェームズ修一さん(なかの・じぇーむず・しゅういち)/フィジカルトレーナー。スポーツモチベーション最高技術責任者。青山学院大学陸上競技部をはじめ、多くのアスリートのトレーナーとして活動。
目次
現代人が今、伸ばしてゆるめるべき9部位
年齢にかかわらず、やれば必ず効果が見込めるストレッチ。ならばひたすら実践するのみ。でも一体どこをどうやって伸ばせばいい?
ごもっとも。そこで『ターザン』は、ストレッチ指導に定評のある中野ジェームズ修一さんの協力のもと、現代人が今伸ばしてゆるめるべき筋肉について考えた。可及的速やかにゆるめたい筋肉はトータルで9部位。これらの柔軟性を取り戻すストレッチをベストストレッチと命名した。
今ゆるめたい筋肉は、この9部位
1位 大臀筋:座っているときは弛緩した状態。そのまま一日何時間も固定されているのがお尻の筋肉。
2位 胸鎖乳突筋:首が前に出る姿勢でスマホを見ている最中は収縮しっぱなし。凝りの蓄積レベルは高い。
3位 梨状筋:お尻の深層にある筋肉。大臀筋が硬い人はもれなくこの筋肉も硬くなっている。
4位 僧帽筋上部:大きな僧帽筋の中でも上部の筋肉はストレス性の肩こりに関係する部位。
5位 ハムストリングス:ここが硬くなると骨盤が引っ張られて後傾するので腰に負担がかかり、腰痛が発症。
6位 広背筋:背中の凝りに関連する筋肉。硬くなると手をまっすぐに上げることが困難に。
7位 大胸筋:猫背姿勢を続けていると、大胸筋は常に縮こまった状態に。肩こりや巻き肩にも関与する。
8位 腸腰筋:腰と太腿を繫ぐ筋肉。運動不足の人は衰えがち。硬くなると腰痛を引き起こすことも。
9位 下腿三頭筋:歩行時の蹴りの動作に関わる。硬くなると静脈の血流が悪くなり、むくみなどが起こる。
世界一座っている時間が長いニッポン人の硬くなりがちな大臀筋、スマホ操作で縮みっぱなしの胸鎖乳突筋、大臀筋とセットで伸びにくくなっている梨状筋はベスト(ワースト?)3の筋肉。以降は肩こりや腰痛などに関わる筋肉が続く。
ストレッチメソッドは3段階のレベルで構成。同じ部位をほぐすにしろ、人によって関節可動域にはそれぞれ差がある。現時点の柔軟性に適した、無理のないレベルのメソッドを実践してほしい。
本記事では、まずは第1位の「大臀筋」のベストストレッチを紹介しよう。
ストレッチの進め方
ベストストレッチのレベルは3段階。
レベル1:最小限の可動域でターゲットの筋肉をゆるめる。カラダの硬さを自覚している人、ここ数年、運動経験がない人はここから。
レベル2:レベル1を楽にこなすことができた人は関節の可動域をより広く取ったレベル2に挑戦してみよう。無理のないストレッチの目安は筋肉が震えたり痛みを感じないこと。
レベル3:レベル2でも物足りなさを感じる人は最強ストレッチのレベル3へ。最大可動域での動きでターゲットの筋肉をより広範囲に伸ばせるメソッド。これが習慣化すれば怖いものなし。
スキマ時間にデイリーストレッチ
床に座ったり寝たり、椅子や壁を使うベストストレッチは自宅で集中的に行う。さらに日常生活で手軽に行えるデイリーストレッチを取り入れれば効果は倍増。スキマ時間の習慣に。
レベル別・大臀筋ストレッチ
大臀筋はココ!
お尻を広く覆う大臀筋は座位ではやや伸びた状態。長時間座りっ放しの生活ではやや伸びたまま固まり、骨盤や腰に負担がかかって腰痛に。
【硬くなると起こること】
- 腰痛
- 垂れ尻
- お尻の凝り
スタートポジション
レベル1(20〜30秒×3セット)
椅子の前に立ち、片足を座面に乗せて両手で背もたれを摑む。膝を開いてイタ気持ちよく感じるところまで脚を外側に倒す。肩から背中まではまっすぐに。3セット行ったら逆も。
レベル2(20〜30秒×3セット)
レベル1で楽々伸びを感じられるようになったら、レベル2へ。膝を開いて脚を外側に倒し切り、膝下を座面にぺったりつける。軸足の踵を床から浮かせてキープ。逆も同様に。
レベル3(20〜30秒×3セット)
レベル3では軸脚の膝を曲げて上体を沈める。膝を曲げて脚を座面につけることで大臀筋が物理的に引っ張られるが、さらに高さと重力を利用すればより伸びる。逆も同様に行う。
デイリーストレッチ|デスクワーク中に!
椅子に浅く腰かけて片足の足首を反対側の太腿、膝に近いところに乗せる。左右の手で上の脚の膝と足の甲を摑み、上体を前傾させて体重をかける。クロスした方のお尻が伸びる。オフィスや移動中、長時間の座位の合間に。