夜型から朝型に変われる? 睡眠・目覚めの疑問に答えます
何かと悩みを抱えがちな睡眠。朝型、夜型は遺伝する? 夜型でも朝型になれる? アルコールやコーヒーと睡眠の関係、睡眠サプリの取り入れ方など、気になる悩みや疑問に回答。正しい知識で快適な眠りを!
取材・文/門上奈央 イラストレーション/沼田光太郎
初出『Tarzan』No.854・2023年4月6日発売
教えてくれた人
菅原洋平さん(すがわら・ようへい)/作業療法士。民間病院精神科勤務後、国立病院機構で脳のリハビリに従事。働き世代の脳を活性化して病気を予防するビジネスプランを考案。著書は『快眠アイデア大全』など。
目次
「超夜型」ですが、せめて「やや朝型」になることはできる?
やや朝型に限らずやや夜型にも朝型にもなれる。その方法は同じ。
「体温が下がると眠くなる。この仕組みに基づき、起きたい時間の11時間後に運動などをして最高体温になるよう調整を。1分間程度のスクワットで十分です。週4日以上行うとリズムを作りやすくなります」(菅原さん)
家族で睡眠時間も朝型夜型もバラバラ。睡眠タイプは遺伝しない?
親の睡眠タイプが“完全に”子に継がれるわけではない。
「睡眠の傾向を決める要素として、遺伝子は約50%。残りの50%は自分の行動や環境によって変えられる要素です。
毎日同じ時間に消灯&点灯するなど家の環境を完全に揃えるだけで、同室空間で暮らす家族全員の睡眠のリズムが同調していくケースも見られます」
コーヒーに目覚まし効果はある?
眠い時にはコーヒー。それはある種の刷り込みにすぎない。
「カフェインには眠らせない効果(覚醒作用)はありますが、“目覚まし”効果はない。覚醒作用により心拍が上昇し反応速度が良くなるので、棚にある資料を取る速度は少々上がりますが、会議など受け身の作業に耐えられるような作用はないです」。やっぱり睡眠の根本改善が大切。
アルコールを飲むと目覚めが悪くなる?
答えはYES。目覚めも睡眠の質も悪くなる。
「主な要因は2つ。まずアルコールを摂ると覚醒作用と催眠作用が交互に出るので深く眠れず、目覚めが悪くなります。また脱水作用があるため血中のアルコール濃度が上がり覚醒してしまいます。せめて飲み始める前に水分を十分に摂っておくと目覚めへの影響が多少は低減されるはず」
早寝するから早起きできる? 早起きするから早寝できる?
「早起きするから早寝できます。その逆ではありません」。決定づける要因となるのが朝陽。
「人間には朝の光を目の網膜で感知すると、その16時間後に眠くなるという仕組みがあります。
光の受容体を持つ遺伝子の数は個人差があり、日当たりの悪い家に住むと朝スッキリ起きられない傾向があるという人は、意識的に朝陽を浴びましょう」
睡眠促進や目覚めをスッキリさせるサプリの効果的な取り入れ方は?
睡眠の質に関わる配合成分を謳う機能性表示食品などは昨今、売り場でもよく目にする。
「目覚めを改善したい場合は、エネルギー産生に関わるオルニチンやクロセチンを配合したサプリがおすすめ。ただそれさえ飲めばOKと考えるのは早計で、就寝前は照明を暗くするなどの環境改善とセットで取り入れるのがスマートな活用法です」
大きなアラーム音でも起きない私。目覚まし時計をどう使えばいい?
目覚まし時計で目覚められない人にも打つべき手はある。
「目覚まし時計は“強制覚醒”で、勝手に目が覚めるのを“自己覚醒”といいます。後者を実践しては。夜寝る前に“朝何時に起きます”と3回唱えると、それに基づき脳が血圧や心拍を上げていく仕組みです」
気合で早起きするのはムリがある。フィジカル面からリズムの確立を。