栄養素を余すことなく摂取できる炊き込みご飯
炭水化物、タンパク質、脂質はカラダの材料であり燃料。ビタミンやミネラルはカラダの各パーツを円滑に動かす潤滑油。こうした栄養素をバランスよく摂るには主食、主菜、副菜を食卓に揃えたい。
とはいえ、毎回の料理も大変。そこでおすすめは、一品でさまざまな食材を美味しく食べられる炊き込みご飯。炊飯器に仕込んでおけばトレーニング後すぐに食べることができ、余ったら小分けに冷凍保存して後でおにぎりにするなど間食にも使えるコスパとタイパに優れたメニューだ。
筋肉に大切なタンパク質。それを構成する20種類のアミノ酸のうち人間の体内で合成できない、もしくは十分に合成されない「必須アミノ酸」の含有バランスを整える意味でも炊き込みご飯は優秀。
ここで紹介する鮭と大豆の炊き込みご飯は、アミノ酸の構成が異なる鮭の動物性タンパクと大豆の植物性タンパクを合わせることで体内でタンパク質が効率よく働き、大豆が白米には少ない必須アミノ酸成分を補うといった相互補完具合。
また、大豆に豊富に含まれるビタミンB群は水溶性ビタミンなので茹でると栄養素が流出してしまうが、米に染み込むので栄養素を逃がさない。
鮭には抗酸化作用が高くカラダを強くするアスタキサンチンが多く含まれるが、熱に弱いので焼く、揚げるといった高温調理では栄養は半分ほどに。しかし、炊飯器で炊けば栄養価の残存率は高くなる。
同じように抗酸化作用があるトマトは熱に強く、栄養素を活かす調理法が違う食材を合わせやすいのもメリット。主食、主菜、副菜を手軽にまるごと。これで、カラダ作りは“旨く”いく。
鮭と丸ごとトマトの炊き込みご飯
大豆には運動で消耗されやすいカルシウム、鉄、カリウムが豊富。カルシウムは食品から摂っても20〜30%しか吸収されないが、鮭に多く含まれるビタミンDと一緒に摂取することで吸収率が高まる。
材料(約7膳分)
- 米…3合
- 塩鮭…2切れ
- 大豆水煮…100g
- トマト…1個
- 塩…小さじ1
- サラダホウレンソウ(またはルッコラ)…30g
作り方
- 炊飯釜に洗った米を入れ、ヘタを取ったトマトを真ん中に置き、鮭と大豆を入れる。
- 3合ラインまで水を注ぎ、塩を振り、炊く。
- 炊き上がったら鮭を取り出してほぐしてから戻し入れ、トマトをつぶしながら全体を混ぜ合わせ、蓋をして10分蒸らす。
- 2cm幅のざく切りにしたサラダホウレンソウを加えてさっと混ぜる。
栄養のポイント
米のアミノ酸スコアを高める大豆
食品の必須アミノ酸の含有バランスを示す「アミノ酸スコア」。白米は必須アミノ酸のひとつであるリジンが少なくスコアは65。そのリジンを多く含むのが大豆。
逆に米は大豆に少ないアミノ酸成分を多く含んでいて不足する栄養分をカバーし合い、バランスが整う。白米と納豆とは理にかなった食べ合わせなのだ。
ストレスに強いカラダを作るトマト
トマトの赤い色は「リコピン」という抗酸化作用のある成分。リコピンは熱に強いので、加熱調理しても効能が損なわれないのも特長。抗酸化成分やビタミンCを摂取することで細胞が活性化される。
また豊富に含まれるクエン酸はタンパク質などの消化を助けてくれる。加熱することで甘みが引き立ち、味わいも増す。
筋肉の合成に必須のビタミンDが豊富な鮭
筋タンパク質合成とカルシウムの吸収を促進するビタミンD。鮭の切り身1切れで一日のビタミンDの所要量を満たせる。
また、タンパク質代謝に欠かせないビタミンB6も含み非必須アミノ酸もバランスよく含む優秀食材。皮の部分にはDHA、EPAといったオメガ3系脂肪酸も多く含まれている。丸ごといただきたい。