口臭原因「厚い舌苔」には胃腸を休ませるアプローチを(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回はテーマは「口臭と胃腸の状態」について。
口臭ケアで気になる「舌苔」
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
マスク着用のルールが変わることを受けて、口臭のケアに取り組む方が増えています。その中で、気になるポイントのひとつが舌苔(ぜったい)。
舌の表面につく舌苔は確かに口臭の原因になることがあります。しかし、磨き取れば取るほど良いかといえば、そんなことはありません。内臓を映す鏡ともいわれる舌ですが、舌苔にはどんなカラダのサインが表れているのでしょうか。
舌苔は厚くても全くなしでもダメ?
舌のコケと書いて舌苔。
その正体は糸状乳頭の先についた、食べかすや細菌、古くなった粘膜など、いわば舌にできる垢(あか)です。
そう聞くと、一刻も早く除去したほうがいいような気がしてくる方もいらっしゃるかもしれませんが、全くないのがいいわけでもありません。
舌苔は舌の粘膜を保護する働きをもっています。うっすらと白くて、舌本体の色が透けて見えるような舌苔の付き方が理想的です。一方で厚い舌苔はやはり口臭の原因になります。
どんな時に舌苔は厚くなるのでしょうか。
舌苔の様子から胃腸の状態がわかる
舌苔の厚さ、そして色は、睡眠不足や女性の場合は月経の影響も受けますが、一番読み取りやすいのは胃腸の状態です。
白くて厚い舌苔は、冷え気味で胃腸の働きが悪くなっていることを示します。
舌本体が赤い場合は、カラダは熱を持っているのに胃腸は冷えた状態と読み取ることができます。夏場に冷たいものを取りすぎている時に起こりやすいです。
また、舌苔も舌本体も白ければ、カラダはかなり冷えていると見て良いでしょう。
黄色くて厚い舌苔もよく見かけます。口の中の細菌バランスがかなり崩れており、強い口臭を放ちやすいです。
きちんと胃腸が働いていないにも関わらず、こもった熱で食欲が異常に出ることもあります。でも、食べるより出すことが大事なサインです。
胃腸にいい食材を選んで休ませよう
こうして見てみると、口臭は働きの悪くなった胃腸にも起因していることがわかりますね。胃腸を元気にするには、まずは休ませること。そして食材なら利水作用のあるものがおすすめです。
海藻、豆、芋、瓜などの仲間には、胃腸にいいものが多いです。
一方で胃腸の働きを悪くするのは水分代謝を妨げるお酒、濃い味付けのもの、脂っこいもの、お砂糖などが代表的です。
口臭の原因になる厚い舌苔は、ぜひ胃腸から立て直して対策してみてください。歯磨き、舌磨きだけで思うような効果が得られない方、根本からの解決に胃腸ケアをお勧めします。