“ゆらぎの季節・春”を健やかに過ごす衣食住3つのポイント(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回はテーマは「春のゆらぎ」について。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
春は“ゆらぎに寄り添った行動”が吉
春といえば固いつぼみがようやく開いたり、柔らかな日差しに心が和んだりと、陰陽でいうなら陽のイメージの季節です。
しかしそれはあくまで、厳しい冬を乗り越えてきた経験が映し出す春への期待のイメージであり、実際には暖かくなったと思えば雪が舞ったり、負担に感じるほどの大きな気候の変化があるものです。
寒さと暖かさが行ったり来たりするゆらぎの季節、それが春です。得てして現代人はこのゆらぎに不器用です。
一方向にひたすら邁進するとか、最短ルートを見出して効率よく進むことが得意な反面、緩急つけてその変化を楽しんだり気分転換のまわり道をすることは、どこか非効率な気がしてしまうのかもしれません。
ですが春には理論的な効率性よりも、ゆらぎに寄り添った行動が吉なんです。暖かいのと寒いのを行ったり来たりすることは、そもそもカラダに堪えます。
薄手の春物コートが似合う日もあれば、ダウンコートが必要になる日もありますし、カラダの方も外気に合わせながらきゅっと縮こまったり、反対に汗をかいて発散したりします。
こうした変化が必要なときに、調節のきかない服装で過ごしたり飲食や睡眠をおろそかにすると、ムダなストレスによってあっという間に体調を崩してしまいます。
毎日の微妙な調整が、1週間、1か月と重なることでカラダにも相応の影響が出てきます。そんなゆらぎの季節春を快適に過ごすために、ちょっと気にして欲しい衣食住をご紹介したいと思います。
春先の衣食住3つのポイント
① ゆったりと、そして調節しやすい服装を
春は緩めるがキーワードですから、ピタッとして体のラインが強調される服装よりは、風をまとうようなゆったりした服装がいいです。
気温に合わせて着脱しやすい装いを意識しておくといいでしょう。また、急に冬のような寒さがやってくることも念頭に置いて、冬物は完全にしまわないでおきましょう。
できたらコート類のクリーニングももう少し先に。春めいた日が続いたと思ったあとに、寒い日が必ずやってきます!
② 自然な甘みを取り入れて、酸味は控えめに
甘みにはリラックスしてカラダを緩める働きがあります。
冬にぎゅっと縮こまったカラダをゆっくりと開放していくのにとても役に立ちます。ここで注意したいのは「食材の持つ自然な甘み」を利用するということです。
春のカラダが必要としているのはスイーツの甘みではなく、お米や芋、野菜類などが持つ素材由来の優しい甘みです。反対に引き締め作用のある酸味は控えめにしておくといいですよ。
③ ちょっと早起き、ちょっと遅寝
カラダを自然に調和させるには睡眠のリズムを調えることが最も効果が高いです。溜まった疲れが抜けないという自覚がある方はまずここから。
できれば7〜8時間の睡眠時間を確保できると理想的です。その上で、春は冬に比べるとちょっと早起き、ちょっと遅寝を意識してください。
日の出と日の入りの時刻が変化するように、睡眠の時間もこれにならって調整すると、上手く自然のリズムに乗ることができます。
状況に応じてケアを変える
ゆらぎの季節はルーティーンを死守するよりも、柔軟に、臨機応変に、自らもゆらぐことが大切です。
一見非効率に見えることも、カラダメンテになるなら積極的に選択肢に加えてみてください。大事なのはその時々の自分に最適化していることです。調子良く過ごせることが、最大限のパフォーマンスを発揮する秘訣です。