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普段は気に留めることのない臓器の数々。けれど我々のカラダでは、こうした“マイナー”な存在の臓器たちが地下アイドルのごとく地道な活動を続け、日々の健康を支えてくれている。そこで、今回はカラダと心の恒常性を維持する「甲状腺」にフォーカスし、その驚くべき機能や働きをフィーチャー。
山本健人さん(やまもと・たけひと)/京都大学医学部卒業。外科専門医、消化器病専門医、感染症専門医、がん治療認定医など。Twitter「外科医けいゆう」で情報発信。16万部ベストセラー『すばらしい人体』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
目次
若さと元気があれば、普段は気に留めることのない臓器の数々。けれど我々のカラダでは、こうした“マイナー”な存在の臓器たちが地下アイドルのごとく地道な活動を続け、日々の健康を支えてくれている。
今回は、心身の恒常性維持に関わる「甲状腺」のキャラにフォーカスし、その驚くべき機能や働きをフィーチャー。加齢や病気にも負けないアイドルでいるため、気をつけたいポイントにも迫る。
豊富な血液が流れる甲状腺は、おもに代謝に働くホルモンを作る内分泌腺。食欲の促進、基礎代謝の上昇、臓器の活性化、発育を促すなど、生命維持に不可欠なのが甲状腺ホルモンなのだ。
甲状腺ホルモンは、多すぎても、少なすぎても問題。
バセドウ病などに代表される前者では、イライラや息切れ、体温上昇、多汗、頻脈、下痢、体重減少などの症状が表れる。
反対に甲状腺機能が低下する橋本病などでは、抑うつ症状や脈の遅さ、体温低下、便秘、体重増加など、正反対の症状が表れやすい。
甲状腺ホルモンの材料となるのが、海藻に豊富に含まれるミネラル・ヨウ素(ヨード)。世界の多くの国では不足しがちな成分だが、和食のある日本は世界でも稀な高ヨウ素摂取地域。
日々多量の海藻を食べ続けたり、ヨウ素を含むうがい薬などを多用しすぎたりすると、むしろ甲状腺ホルモンがうまく作られずに甲状腺機能低下症となることも。何事もほどほどが肝心だ。
カラダには、甲状腺ホルモンの量を調整する精緻なメカニズムがある。まず、脳の視床下部が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌し、下垂体に甲状腺刺激ホルモンを作らせる。これが甲状腺ホルモンの分泌量を調整し、筋肉や心臓などの組織に作用するのだ。
こうした働きをフィードバック機構と呼び、ホルモンの血中濃度に応じてその増減を絶えず調節している。
取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/室木おすし
初出『Tarzan』No.847・2022年12月15日発売