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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。今回からは、物理学的な見地からカラダの動きを分析する「運動の法則」を3回に分けて学ぼう。
運動時のカラダの動きを、力学的な知識によって機能的に分析するスポーツバイオメカニクス。ここにおいて欠かせない物理的な概念となるのが、3つの「運動の法則」(「ニュートンの法則」とも呼ばれる)だ。
今回のテーマである第1法則=「慣性の法則」は、簡単に言えば以下の2点に集約される。
それは、“停止した物体は、外から力が加わらない限り静止した状態を続ける”および“運動をする物体は、一定の速度でこの動きを維持しようとする”(=これを等速運動と呼ぶ)という性質のこと。
物体と同様に、カラダの動きも骨格筋が発揮する力があってこそ生じるもの。トレーニングをケガなく、効率よく行うためにも、こうした運動法則は決して無視できないものだ。
例えばベンチプレスの場合、停止状態のバーベルを持ち上げるときに勢いをつけると、筋肉には過度な負荷がかかる。動き始めにある程度の加速は必要としても、その後は等速運動を利用して一定のスピードを保ったほうが筋肉への負担を緩和できるのだ。よって答えは②上げる途中。
また、バーベルを上げ終えるタイミングでは物体の動きを止める力が必要だが、ここも勢いで行うことがケガのリスクを高める。
例外的にアスリートの場合、大きな力を発揮する目的であえて反動を利用する場合もあるが、それも技術面や負荷の調整に細心の注意を払ってこそ。一般のトレーニーの場合、適切な負荷で加速と減速の差をなるべく少なく、ゆっくり一定の速度を意識して行うことが、結果的には筋トレ効果を高めるコツとなる。
慣性は運動、つまり変化に対する抵抗とも見なされ、物体が動いている・静止しているにかかわらず、その状態を維持する力ともいえる。
これを人体の動きで考えた場合、筋肉は静止状態からのスタート、加速や減速、また方向転換など、最初の状態を変えるために力を発揮する必要があり、こうした動きの繰り返しは「ゴー・アンド・ストップ」とも表現されるものだ。
では、慣性の法則をランニング中の動作に置き換えて考えてみよう。例えば最初にスタートするとき、また減速して止まるときには、それぞれ静止と動きの慣性に打ち勝つ力が必要とされる。
一方、同じ方向に走り続けるときは、厳密には多少の加減はあるものの、基本的には等速運動が働いている。
よって答えは①②③すべてが該当。ちなみに走行中はカラダの重心を高く保ち、適度な前傾姿勢で移動すると、等速運動をうまく使って推進力をつけやすい。
反対に「ゴー・アンド・ストップ」を伴う運動においては重心を低く保つことで、静止および等速運動による慣性への抵抗が容易になるのだ。
取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.843・2022年10月6日発売