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ダイエットだけじゃない!代謝アップ22のメリットまとめ

代謝を上げるとよい22のコト

“代謝アップ”という言葉、なんだかカラダにいいことがありそうだ。でも、どんな御利益があるのか知らない人が多いのでは? 人が生きるために必要不可欠な代謝について、知っておきたい22のメリットをまとめた。奥深い代謝の世界を覗いてみよう。

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改めて知っておこう。そもそも代謝って?

代謝は、エネルギー代謝新陳代謝に分けて考えるとわかりやすい。 エネルギー代謝は、食事で摂った糖質、脂質、タンパク質などを活用し、一日の消費エネルギーを補うプロセスを言う。

基礎代謝、②活動代謝、③DIT(食事誘発性熱産生)の3つがある(詳細は下表参照)。 新陳代謝は、スマホアプリを自動更新するように、組織の分解と合成を繰り返し、更新し続ける仕組み。それで体内環境を一定に保つホメオスタシス(恒常性)が堅持できる。

エネルギー代謝と新陳代謝

【エネルギー代謝】

代謝の内訳グラフ

全体の約60%を占める基礎代謝は、呼吸や体温維持など生きるために欠かせない基礎的な活動で消費されるもの。約30%は家事や通勤や運動などで消費される活動代謝、約10%は栄養素の消化吸収に要するDITだ。

【新陳代謝】

新陳代謝の仕組み図

新陳代謝は、組織や栄養素を分解して細かくする「異化」と、新たに合成して大きくする「同化」からなる。異化と同化が釣り合っているからこそ、昨日と同じ今日の自分がいる。

① 痩せ体質になる

痩せ体質になる イラスト

20代はスリムだったのに、30歳を過ぎる頃から少しずつ贅肉がついて太ってきた…。そんな不満を抱える人は少なくないだろう。

こうした不満の背景にあるのが、代謝の低下。肥満と関わる代謝には、基礎代謝と活動代謝がある。基礎代謝は、生きるのに必要な基礎的エネルギー代謝。一日に使うカロリーの約60%を占める。活動代謝は、生活や運動などで使うエネルギー代謝。一日の消費カロリーの30%ほどに達する。

太るか、痩せるかを決めるのは、摂取カロリーと消費カロリーのバランス。摂取カロリーが不変でも、代謝が落ち消費カロリーが減れば、エネルギー収支は黒字化。黒字分は贅肉=体脂肪に変わり、太る。

逆に、基礎代謝や活動代謝が上げられたら、エネルギー収支が赤字化。無駄な体脂肪が分解されて痩せる。そのために求められるのは、やはり運動。筋肉がつくと基礎代謝は上がり、動けば動くほど活動代謝も増えて痩せ体質になる。

② 自律神経が整う

自律神経はエネルギー代謝と新陳代謝を調整し、体内環境を保つホメオスタシスを制御するシステム。活動モードに傾ける交感神経と、休息モードに傾ける副交感神経からなる。代謝が乱れると自律神経の負担は増えるが、代謝が正常化すると自律神経は負担が減ってラクになる。

③ 傷が早く治る

子どもの頃は転んで怪我をしても、案外早く治ったもの。ところが、大人になると、かすり傷でも治りが遅く、痕も残りやすい。歳とともに、新陳代謝免疫力が落ちるためだ。代謝を活性化して新陳代謝を促し、免疫力を向上させたら、傷はより早くキレイに治るだろう。

④ 若々しくなる

若々しくなる イラスト

同世代なのに、年齢より若く見えてトクするタイプもいれば、老けて見えて残念なタイプもいる。 その違いも、実は代謝にある。 見た目年齢を決めるのが、髪の毛。 肌も髪も元気でみずみずしく、張りがあれば、若々しく見える。反面、どちらもパサパサで張りがないと、年齢より老けて見られると覚悟した方がいい。

日頃のお手入れも大切だが、あわせて大事にしておきたいのは、代謝を上げておくこと。 肌も髪も、筋肉と同じようにタンパク質で作られており、定期的に入れ替わっている。

肌は、約1か月でそっくり入れ替わる。髪の寿命は数年と長めだが、1か月に1〜1.5cmのペースで絶え間なく伸びている。 この新陳代謝が滞ると古い組織が居座り、肌も髪も質が下がり、見かけも老ける。材料のタンパク質をしっかり摂り、代謝を促して、肌と髪から若返ろう。

⑤ 理想体型に近づける

理想体型に近づける イラスト

代謝の鍵を握るのは、筋肉。エネルギー代謝の60%前後を占める基礎代謝のうち、筋肉は20%ほどを担っている。 新陳代謝も活発であり、平均すると3か月ほどで全身の筋肉は完全に入れ替わるという。

筋肉の分解が合成を上回ると、筋肉は減り、基礎代謝が落ちる。 逆に、合成が分解をオーバーすれば、筋肉はみるみる大きくなり、基礎代謝も底上げされる。

代謝を上げるには、筋肉の合成が分解を超えるようにすべき。筋トレなどで筋肉に刺激を与えて、材料となるタンパク質を摂れば、筋肥大が起こり基礎代謝は上がる。すると、前述のように贅肉が取れて痩せやすくなる。あわせて筋トレで好きなところに筋肉を盛れば、理想ボディに最速で近づけるのだ。

⑥ 内臓の調子が良くなる

筋肉以外で代謝を左右するのが内臓。基礎代謝の約20%肝臓約9%心臓約8%腎臓が担う。この3つで基礎代謝全体の3分の1以上だ。ゆえに代謝を上げるには、内臓メンテが不可欠。内臓ケアで代謝が改善すれば、カラダの内側から全身のコンディションが整う。

⑦ 疲れにくくなる

疲れにくくなる イラスト

スマホもEVも電気で動くが、ヒトの動力源はATPという化学物質。代謝も、ATPの分解で生じるエネルギーで賄われている。 ATPの貯蔵量は数百g程度。これでは足りないから、毎日体重とほぼ同じ重さのATPを作る。

この大切なATPを作るのが、細胞内のミトコンドリア。1個の細胞に100個から2000個も含まれており、休みなくATPを合成する。食事で摂った糖質脂質の大半は、ミトコンドリアでATPを作るために使われているのだ。

運動不足だと、ミトコンドリアの機能が落ちたり、数が減ったりして、ATPの産生力がダウン。エネルギー不足で疲れやすくなる。 運動などで刺激するとミトコンドリアの性能が上がり、数も増えるから、ATPの供給量が増えて疲れにくい

糖質の摂りすぎによる糖化、紫外線などによる酸化は、ミトコンドリアにダメージを与えて代謝を下げてしまうから、要注意。

⑧ メンタルが安定してやる気が出る

フィジカルとメンタルは一枚のコインの表裏のようなもの。代謝が落ちると元気がなくなり、やる気も低下する。代謝が上がりフィジカルが元気になれば「やればできる」という自己肯定感(セルフエスティーム)が高まり、メンタルの調子もうなぎ上り。やる気も向上する。

⑨ 冷えが改善される

カラダの熱を作るのは筋肉。その熱をカラダの隅々まで運ぶのは血液だ。筋肉が落ちて代謝が下がり、血液循環が滞ると、手足などの末端から冷える。筋肉が盛んに発熱して、血液が順調に巡ると、末端まで熱が伝わるようになり、冷えの悩みはいつの間にか解消される。

⑩ メタボのリスクが減らせる

メタボリックシンドロームとは、お腹に内臓脂肪が溜まりすぎた内臓脂肪型肥満があり、高血圧高血糖脂質異常症を2つ以上併発した状態。内臓脂肪からはメタボを促す悪玉物質が出るが、代謝が上がると内臓脂肪から真っ先に分解されるので、メタボリスクは下がる

⑪ ぐっすりよく眠れる

ぐっすりよく眠れる イラスト

日々のコンディションを快適に保つには、快眠が不可欠。 その眠りにも、代謝は深く絡む。 ヒトには、暗くなったら眠るという仕組み以外に、活動して疲れたら眠って回復するというメカニズムが備わる。

在宅勤務やデスクワークが増えると、室内でじっと過ごす時間が延び、歩数も減って活動量が激減する。活動量=代謝が減ると、睡眠の必要性が下がり、思ったように眠れなくなる。

事実、代謝が高く、体重当たりの酸素摂取量が多い動物ほど、睡眠時間は長くなる。ヒトでも、筋肉量が多くて基礎代謝が高いと、眠りの要求度が高まり、睡眠時間は延びる。日中盛んに活動して代謝を上げるとリカバリーの必然性が高まり、ぐっすり眠れるのだ。

⑫ 便秘や下痢に悩まされない

便秘や下痢など腸の悩みを抱える人は多い。原因はさまざまだが、代謝低下も一因。腸粘膜の細胞は新陳代謝が活発。数日で入れ替わる。ウンチの5〜10%は、日々剝がれ落ちる腸粘膜細胞なのだ。このターンオーバーがスムーズなら腸の機能が上がり、便通は良くなるはずだ。

⑬ リバウンドが防げる

頑張ってダイエットしても、リバウンドで減量前の体重を超えることも多い。理由は基礎代謝の低下。食事制限のみで痩せ、タンパク質摂取も足りないと筋肉が削れて基礎代謝がダウン。食事量を戻すと、その分太りやすくなる。基礎代謝を保って減量すればリバウンド知らず。

⑭ 腸内環境が良くなる

腸内環境が良くなる イラスト

代謝アップの基本のキは、胃腸で消化吸収を滞りなく進めること。いくら栄養素とカロリーを摂っても、消化管の働きが落ちていて、消化吸収が満足に行われないと、代謝アップは絵に描いた餅。

三食バランス良く食べる、ゆっくり咀嚼する、暴飲暴食を避けるといったベーシックな心掛けにより、消化管は健全化。代謝もV字回復してくれる。

消化管の状態が良くなれば、それと同時に腸内環境も良くなる。 腸内には40兆個ほどの腸内細菌が棲んでおり、消化管で吸収されなかった食物繊維を発酵させる。これも代謝だ。

この“もう一つの代謝”で、腸内細菌が作り出すのが短鎖脂肪酸。体内に吸収された短鎖脂肪酸には代謝を上げる作用があり、代謝はどんどん良くなる。

⑮ トレーニング効果が高まる

代謝が低いままだと、トレーニングに励んでも望んだような成果は出ない。運動量と体格に見合ったカロリーを摂り、筋肉の材料となるタンパク質、筋合成を助ける糖質、タンパク質や糖質を代謝するビタミンB群などを補って代謝を高めると、トレーニング効果も爆上がり

⑯ 免疫力が上がる

免疫力が上がる イラスト

昔は「病気になったら精がつくものを食べろ」と言ったもの。栄養&カロリー不足で代謝が落ち、免疫力が低い人も多かった時代。栄養やカロリーを補うと代謝が上がり、免疫力も高まって病気が治りやすいと知っていたのだろう。

最近、代謝と免疫の関わりは、細胞レベルで明らかになってきた。 細胞には、mTORという代謝センサーが備わっている。mTORは、細胞外の栄養やエネルギー代謝の状況を感知。それに応じて細胞の成長や増殖、代謝を制御するほか、免疫細胞の分化や機能もコントロールしているらしいのだ。

昔と違い、現代で問題なのは、糖質や動物性脂質の摂りすぎなどで慢性的な炎症が生じ、代謝のメカニズムが狂ってしまうこと。すると免疫力が低下。肥満や糖尿病などの引き金にもなる。栄養とカロリーを過不足なく摂り、炎症を抑えて代謝を適正化することが、免疫力を高める一つの道なのである。

⑰ 食べ物が美味しく感じられる

空腹は最高のソース」とは、古代ギリシャの哲学者ソクラテスの金言。代謝が高ければ、摂ったカロリーが効率的に代謝されるので次の食事までにちゃんとお腹が空く。すると“最高のソース”で食事が美味しくなり満足度がUP。適量で箸が置けるので、過食も避けられる。

⑱ 肩こりや腰痛が軽くなる

デスクワークなどで坐りっ放しだと、肩こりや腰痛が起こる。主因は筋肉の緊張で、血管が圧迫されて局所的な酸素&エネルギー不足に陥り、筋肉が緩みにくくなること。血流が促されて代謝が上がると、酸素&エネルギーの供給が増えて筋肉が緩み、肩こりも腰痛も軽くなる。

⑲ 適量のお酒が楽しめる

内臓で代謝の要となるのは、肝臓。そしてお酒のアルコールも肝臓で解毒される。脂肪肝を避けるなどして、肝臓がしっかり働けるようにすれば、アルコール代謝が活性化。お酒が自分のペースで楽しめる。ただし、飲み過ぎは肝臓のダメージとなり、代謝を下げるのでNG。

⑳ 階段がラクに上り下りできる

駅のエスカレーター前にできた長い行列に、迷わず並ぶようになったら、代謝の低下を疑った方がいい。加齢や運動不足で筋肉が減ると代謝が落ち、自らの体重が支えられなくなり、階段を避けたがる。足腰に筋肉をつけて代謝が上がると、長い階段もラクに上り下りできる。

㉑ 血液循環が良くなる

免疫力が上がる イラスト

血管は人体でもっとも重要なインフラ。血管が運ぶ血液が途絶えたら、電気もガスも水道も通じないのと同じ。細胞は生きられない。 血管の内側は、血管内皮細胞で裏打ちされる。この内皮細胞こそ、血管の機能を左右する。

たとえば、内皮細胞が出す一酸化窒素(NO)は血管を広げて血流を促進。また、運動刺激などで内皮細胞が発するシグナルにより毛細血管が増殖すると、血流はより盛んになる。 新陳代謝が滞ると、内皮細胞の働きがダウン。

新陳代謝を促すと内皮細胞は元気になり、血流も活発化。血液循環が良くなれば、代謝はさらに高まる。全身の隅々まで酸素と栄養素がデリバリーできるようになり、エネルギー代謝も新陳代謝も円滑になるからだ。

㉒ 汗がちゃんとかける

筋肉で消費されるエネルギーで運動に使われるのは2割ほど。約8割は熱に変わり、体温を上げる。体温を一定に保つために重要なのが、気化熱を奪って体温を下げる発汗。代謝がアクティブになると汗をかく能動汗腺が増え、心地よい汗がかけて上がりすぎた体温も下がる。

コラム:代謝を上げるコツはある?

代謝を上げるコツは、実はトレーニング効果を高めるコツと同じで運動栄養休養の3本柱。

まず運動。運動で活動代謝も基礎代謝も上がる。栄養では、カロリー過多だと体脂肪が溜まり代謝は落ちるが、カロリー不足でも代謝は下がる。過不足なく食べ、タンパク質をはじめとする栄養素を摂ろう。休養で大事なのは睡眠。睡眠中に代謝をきちんと下げると、その分だけ日中代謝は上げられる

代謝のバロメーターは血中のアルブミン値。アルブミンは肝臓が作るタンパク質で、栄養素や代謝物を運び、浸透圧を保つ。その値が低いのはタンパク質不足か肝機能の低下で、代謝ダウンのサインだ。アルブミン値は健康診断の血液検査でわかる。5.0g/dLを目指そう。

コラム:代謝アップ=善ではない?

良い円安と悪い円安があるように、代謝アップ=善とは言い切れない。悪い代謝アップの代表格は、ストレスによるもの。ストレス下では副腎皮質でコルチゾールというホルモンが余計に作られる。コルチゾールは糖質、脂質、タンパク質の代謝を促し、ストレスに対抗しようとする。

この反応が一時的ならウェルカムだが、ストレスが持続するとコルチゾールがダダ漏れになり、不眠症慢性的な疲労などが生じる。甲状腺ホルモンの異常で、代謝が上がりすぎるケースもある。

甲状腺ホルモンには、新陳代謝を促す作用がある。自己免疫疾患などでこのホルモンが出すぎると、疲れやすさ体重減少食欲亢進多汗暑がりといった困った症状が出てくる。

取材・文/井上健二 イラストレーション/クラーク志織 取材協力/栗原毅(栗原クリニック東京・日本橋院長)

初出『Tarzan』No.839・2022年8月10日発売

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