【棚橋弘至・連載】第14回:太い腕の季節・夏到来! 逸材が選ぶおすすめ腕トレ
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第14回のテーマは「腕を太くする」ためのトレーニング方法。
気温が上がってきたら腕を出す季節
5月に入り、気温もぐんぐん上がってきました。もう日中は半袖じゃないと汗ばんでくるくらいです。朝夕は、若干気温が下がるときがあるので、薄手のアウターは持っていきたいところですが、そろそろ出せるところは出していきましょう!
…え? 何を出すのかって?
それはもう、この季節!この風土!この街!に出して行きたいのは…「腕」ですね。細かく言うと「二頭筋」「三頭筋」「前腕筋(細いのをすべてまとめた総称として)」ですね。
『ターザン』本誌の方の過去連載で「腕」をテーマに書いた記憶もありますが、やはりこのタイミングでもう一度、「腕」の魅力と効果、そして、トレーニング法をお伝えしようと思います。それが私、「筋肉ソムリエ」としての皆さんへのレコメンドなのであります。
上腕二頭筋=筋肉のフロントマンだけど…
さて、早速、腕筋について語っていきたいわけですが、腕の筋肉のポジションを理解しておかなければなりません。
僕らアラフォー、アラフィフが子供の頃、アニメに「ポパイ」が放送されていました。簡単に説明すると普段は弱い主人公のポパイがほうれん草を食べると、パワーアップして筋肉ムキムキになるというお話。今になって思うと「ほうれん草」ではなくて「プロテイン」の方が良い気がしますが、子供達の野菜嫌いを直す目的もあったのではないかと。
さておき、このパワーアップしたポパイが特に筋肥大するのが、二頭筋でした。膝を曲げてグッと力を入れると、巨大な二頭筋がバーンと出てきます。ここからも分かる様に「二頭筋」とは筋肉のフロントマン。つまりは筋肉界と現世を繋ぐ役目があるということです。1番簡単に筋肉アピールもできますしね。
となると、二頭筋から鍛えて行くべきなのか?ということになりますが、腕を太くしたいなら「三頭筋」から鍛えろ!というのが、筋肉界の常識でもあります。これを理解するためには、腕筋の構造をまず知らなければなりません。
名称からも分かるように二頭筋は2本の筋で、三頭筋は3本の筋で構成されています。単純に考えると、3本ある筋肉を鍛えた方が、効率よくデカくなれるということなのです。
質量でいうと僕の感覚では、二頭筋3割、三頭筋7割くらいで、腕は構成されているように感じます。新日本プロレスの選手で、腕が太いと言われている選手を見てみると、小島さん、本間さん、YOHなど全員三頭筋が異常に発達していることが分かります。
太い腕を作るトレーニング方法
では、どうしたら太い腕が作れるのか?具体的なトレーニング内容を紹介していきましょう。
まずは二頭筋。挑戦してほしい種目は「インクラインダンベルカール」です。ベンチ台を45度くらいに設定してやります。この種目の良いところはボトムポジションでフルストレッチできるところです。最大伸展と最大収縮。これを繰り返すことによって二頭筋の筋線維を破壊する事ができます。
あと僕の経験からすると、ヘビーウエイトの「バーベルカール」ですね。ちょっと重いかな?と思うくらいの重量を設定して、反動を使いトップポジションまで持ち上げ、ゆっくりネガティブで効かせながら降ろします。この降ろすときに「ブチッ!ブチッ!」と筋線維が切れる音がエアで聞こえてくるようなイメージでやってみてください。
続いて三頭筋。三頭筋のトレーニング種目は、本当にたくさんあるので、悩みましたが「1人でもできる」という要素をプラスして考えると「ケーブルプレスダウン」になりました。
ケーブルプレスダウンはストレートバーだけでなく、ロープでもできますが、オススメはストレートバーです。簡単に始められる点と1人でもピンを差し替えるだけで、簡単にドロップセットができて、追い込み易い種目だからです。
ドロップセット(法)とは…?
ウェイトトレーニングで追い込むための手法。1セット目の限界に来たら、すぐに負荷を少し落としてさらに限界まで続け、いつもより深くオールアウト(力をすべて出し切った状態)する。最終セットで1〜2段階ドロップするのが定石。
しかし、三頭筋は3本の筋からできていて、この種目だけだと、1番長い外側の長頭への効果が薄いので、もうひと種目。オススメは「ライイングバーベルエクステンション(スカルクラッシャー)」。
ポイントとしてはトップポジションからネガティブで降ろした後に、プルオーバーの要領でさらに頭上の方へ降ろしていきます。このとき、長頭に強烈なストレッチがかかります。ぜひ、挑戦してみてください。
あと、腕の筋肉は他の筋肉に比べると小さいので、インターバルを短めにすると、さらに強烈なパンプが感じられると思います。
前腕はリストカールをチマチマと
二頭筋、三頭筋のトレーニング種目を2種類ずつ紹介しましたが、コレをベースに、あと2種目くらいプラスして、トータル4種目合計12〜15セットくらいやると、充実した腕トレになると思います。あと、たまに二頭筋、三頭筋を同時に鍛えるオルターネイトセット(拮抗筋を同時にトレーニング)をやってみると、今まで感じなかった腕全体への強烈なパンプが感じられるはずです。
残すは前腕ですが、これはもうマメにリストカールをチマチマやって下さい(笑)。グローやストラップなどのトレーニング補助器具をあえて使わないことで、前腕を鍛えることもできるので、たまにはノーストラップもありですね。
と、ながながと書いてきてしまいましたが、不思議と書いているうちに腕トレがしたくなって来ました。皆さんも読みながら、自然と自分の二頭筋、三頭筋に意識がいったのではないでしょうか? これがとても大事!
さぁ、ジムへ! 極太の腕を作りに行きましょう! この夏は街に、太い腕の男達が溢れているのが目に浮かびます。
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。