今日からできる疲労予防。胃腸・肝臓・脳 8つのインナーケア
疲れないカラダ作りのためには、カラダの外側からのみならず内側から整えるインナーケアを取り入れたい。不調を実感しやすい胃腸、沈黙の臓器と言われる肝臓、デスクワークやストレスなどで日々疲労が蓄積している脳にいたるまで、日常にちょっとした工夫を加えるだけで、疲労は軽減できる。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 イラストレーション/イオクサツキ 編集/阿部優子 撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売
教えてくれた人
中田航太郎先生(なかだ・こうたろう)/総合内科医。パーソナルドクターを提供する〈ウェルネス〉代表。「病気になる前に適切なリテラシーに基づき疾病リスクを軽減、健康な人生を送る世界」を目指す。
目次
胃腸・肝臓・脳をいたわろう
インナーケアとは臓器のケア。そのなかでも不調を実感しやすい筆頭は、やっぱり胃腸。
「胃が重い、むかむかするといった症状が見られるときは、休めてあげることが第一です。胃を刺激するような冷たいものや熱すぎるもの、アルコール度数が高いお酒を避ける。また空腹時間を作ることでいい効果が出ることも分かっています。腸に関しては腸内細菌のバランスをとることが大事。具体的には善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂ることが基本になります」(中田さん)
なかなかSOSを出さない沈黙の臓器・肝臓のケアは普段から余計な仕事を増やさない、これに尽きる。
「タンパク質の合成や分解、有害物質の解毒、胆汁エキスの生成。肝臓は人体最大の化学工場です。その負担を減らせば肝臓の疲労予防に繫がります」
脳もまた臓器のひとつ。こちらの疲労対策のキーワードは“抗酸化”。
「デスクワークで長時間同じ姿勢を取る、精神的ストレス、激しい運動。こうした場面で使われる酸素の一部は活性酸素に変換され、脳の細胞を傷つけます。酸化ストレスの害をいかに防ぐかがポイントです」
① 主食をフルグレインにする
腸内の善玉菌のエサになる食物繊維を日常的に摂る。最も手っ取り早い方法は主食を玄米や全粒粉パン、オートミールなどのフルグレイン(未精製の穀物)にすること。そこに野菜、海藻、きのこをプラスすれば完璧。
② レッドミートは毎日食べない
レッドミートは“赤身肉”ではなく、牛、豚、羊、馬など哺乳類の食肉のこと。2015年、国際がん研究機関がそのレッドミートの発がん性を報告。絶対食べるなということではなく頻度を減らす意識で。選択肢があるなら鶏や魚を選びたい。
③ 日曜日に断食する
空腹時間を長くすることは疲れた胃腸を休めるだけでなく、糖代謝の改善にも繫がる。12〜16時間の空腹時間を設けるなど、その方法にはさまざまなものがある。週末に断食をするというのもひとつの手。
④ お酒を飲むときのつまみはオイルフリーに
脂っこい食事を摂ると、脂質の消化液である胆汁が大量に動員される。この胆汁を作り出すのも肝臓の仕事。でも飲酒の最中、肝臓はアルコール分解で手一杯。余計な仕事を増やさないために、つまみは青菜のおひたし、冷や奴などさっぱり系で。
⑤ サプリメント補給は必要最低限にする
健康のためにサプリメントを5〜6種類飲んでいます。これもまた、肝臓の負担を増やすことに。医学的に根拠のあるサプリメントはビタミンD、フィッシュオイル、葉酸などごくわずか。サプリはできるだけ必要最低限に。
⑥ 会社で朝一番にTODOリストを作る
脳のリソースの多くはデフォルトモードネットワーク(DMN)というぼーっとした状態で使われる。マルチタスクであれもこれも同時に行うときにはこのモードになりやすい。TO DOリストを作ってひとつずつの仕事に集中。
⑦ 食事中はスマホを切る
食事をしながらスマホ画面をガンガンスワイプ。これもまた脳にムダなエネルギーを使わせるDMN活発化状態だ。せめて食事中はデジタルデトックスをして目の前の食べ物に集中。脳もカラダもひと息つける。
⑧ 鶏肉はももではなく胸肉を食べる
長時間のデスクワークによる精神的・身体的なストレスで脳の神経細胞は酸化する。その結果、どっと疲れる。予防策のひとつは予め抗酸化物質を摂り入れること。鶏肉の胸肉に含まれるイミダペプチドは強力な抗酸化物質。唐揚げはももより胸で。