ちゃんとできてる? フォームが重要な「正しく座る」「正しく立ち上がる」
肩こり・腰痛などのカラダの不調の遠因に、普段何気なく行なっている「座る」という動作の積み重ねがある。なかなか学ぶ機会のない、骨盤を立てる正しい座り方、そこからの正しい立ち上がり方、をしっかりと習得しておこう。
取材・文/石飛カノ 撮影/角戸菜摘 スタイリスト/ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/天野誠吾
初出『Tarzan』No.824・2021年12月16日発売
目次
肩こり・腰痛改善の基礎、「正しい座り方」をマスターしよう
伊藤和磨さん
教えてくれた人
いとう・かずま/代表を務める〈恵比寿・腰痛改善スタジオMaro’s〉には腰痛に悩む人々が全国から訪れる。著書に『アゴを引けば身体が変わる』(光文社)など。www.maros.jp
深く座るのも脚を組むのも脚を揃えるのもNG。すべては背骨に負荷をかける、歪んだ骨盤ポジションになってしまうから。ならば、正しい座り方とはいかに?
「坐骨ではなく“坐骨枝”という平らな部分で座ると骨盤は立ちます。そのためには股関節を後ろに引き込む“ヒンジ”という動きで坐骨枝をゆっくり座面に置くことがポイント。座面の奥に“座る”というより座面の端に“腰かける”イメージです」(伊藤さん)
下の写真がその正しい座り方。座るまでのフォームが命。長時間座るときは定期的に立ち上がり、再び同様のフォームで座り直す。で、正しい座り方から立ち上がると、正しい立ち姿勢に自然にシフト。やってみると分かるが、腰が超ラクちん。
これが「正しく座る」のフォーム
「正しく座る」のために|鼠蹊部に手を当てヒンジの練習
畳文化の日本人はヒンジの動きが苦手。イメージを掴めないときは、ビートたけしの「コマネチ!」のポジションから股関節を手で押し込む練習を。
これが「正しく立ち上がる」のフォーム
座るときの逆動作で立ち上がる。ただし、立つときは座っている時点から視線を斜め上に向けて背骨を丸めないことが最重要ポイント。立ち上がったらそれが正しい立ち姿勢に。
より「快適に座る」3つのメソッド
① 長時間デスクワーカーに必須のストレッチ
腰痛の原因のひとつは股関節を屈曲させる筋肉が縮んでしまうこと。その代表的な筋肉が背骨と太腿を繫ぐ腸腰筋だ。
「膝を引き上げる腸腰筋が短縮すると腰が丸まってしまい、腰椎周辺の筋肉や靱帯が引っ張られて痛みが生じます。そこで、長時間のデスクワークでは1時間に一度、定期的に腸腰筋ストレッチを取り入れることがおすすめです」(伊藤さん)
わざわざ立ち上がらなくてもできるストレッチで縮んだ腸腰筋をじんわり伸ばし、リフレッシュ。
座ったまま腸腰筋を伸ばす
② 小さな工夫で脚組み問題を解決!
イケナイと分かっていても、つい脚を組んでしまう。でも、ある意味これは仕方のないこと。
「右利きの人が右手を使うと勝手にカラダが左に回旋します。そのままではカラダが倒れてしまうので、右脚を上にして脚を組みます。さらに右利きの人の軸脚は左脚なのでそちらのお尻の筋肉が発達しています。右のお尻の高さが低いので脳がそれを補正しようと自然に右脚を組む人が多いのです」(伊藤さん)
仕方ないけど放ってはおけない。以下、2種類の矯正法で対策を。
③ 座り方の次は椅子選びに着手
正しい座り方の次に重要なのは椅子の選び方。ただし、人間工学に基づいた高価なチェアが必ずしも正解というわけではない。
「座面を極力高くするのが正解。膝より股関節が高い位置に来るというのが基本です。この位置を保つことで骨盤が立つ、“立腰”の姿勢になるからです」(伊藤さん)
可能なら椅子を選んでからデスクを選びたいもの。ちなみに、膝より股関節を高く設定するセオリーは床に座るときも同様だ。