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自体重トレとして「なわとび」をやる。選び方、跳び方の基本
森口明利さん
教えてくれた人
もりぐち・あきとし/京都大学で縄跳びのサークルに入り、縄跳びの楽しさを知る。民間企業に就職するもプロに転向。縄跳びの普及に力を注ぎつつ、自らの技を磨く毎日を送る。これまでに達成したギネス世界記録は、7重跳び1回、6重跳び連続4回、5重跳び連続26回。日本ジャンプロープ連合の理事も務める。
実は「縄跳び」は高強度な運動
縄跳びはかなり激しい運動。運動強度の指標にメッツという単位がある。ランは約8メッツ、縄跳びは約12メッツ。厚生労働省はメタボリックシンドローム予防のために週に「23メッツ×時間」行うことを提唱する。縄跳びは2時間も跳べば24メッツ。2時間を7日で消化していけば縄跳びは毎日20分弱でクリア。
では、技を組み合わせて連続で跳ぶ、初・中・上級のメニューを紹介する。ひとつの技を16回跳んだら、次の技へ。繫いでいって初級は4種、中・上級は5種の技を行う。これを1セットとして時間内に決められたセット数ができたら上へと移る。
「音楽に合わせても楽しいですよ」(森口さん)
初級
まずは、前跳び、ケンパー跳び、駆け足跳び、振り足跳びをひとつひとつ練習していく。そして、できるようになったら全部を繫いでやってみよう。苦手な技はゆっくり、引っかかったらそこから続ける。音楽に合わせたり、タイムアタックをして楽しんだり。16回×4種類を、5セット3分以内で成功したら中級に進もう。
① 前跳び(16回)
カラダの後ろに置いた縄を前へと回転させ、縄が床につくときにジャンプして越える。縄は手首ではなく、脇を開けて腕をムチのようにしならせ、肩から回すのがポイント。足は踵を浮かせて、拇趾球で真上に蹴り上げる。
② ケンパー跳び(16回)
まず片足で前跳びをする。これが“ケン”。次に両足をやや開いて着地してジャンプ。これが“パー”。さらに逆の足でケン。開いてパー。バランスに気をつけながら跳ぼう。パーで足を開いたときに、ひっかからないよう注意。
③ 駆け足跳び(16回)
その場で駆け足をするように、左右交互に片足で跳ぶ。前跳びと同じように上体はリラックスさせる。そして、ジャンプするというより、縄を跨ぐように跳んでいくと上手くいく。リズミカルに、右、左と繰り返そう。
④ 振り足跳び
その場で駆け足をするように、左右交互に片足で跳ぶ。前跳びと同じように上体はリラックスさせる。そして、ジャンプするというより、縄を跨ぐように跳んでいくと上手くいく。リズミカルに、右、左と繰り返そう。
中級
こちらの記事(自体重トレとして「なわとび」をやる。選び方、跳び方の基本)でも紹介した技を集めて組み合わせたのが、中級のメニュー。腕の動きが加わるので難しいが、クリアすることができれば、縄跳びの基本の技術ができたことになる。4セット3分以内に跳べるようにしよう。
① 前跳び(16回)
カラダの後ろに置いた縄を前へと回転させ、縄が床につくときにジャンプして越える。縄は手首ではなく、脇を開けて腕をムチのようにしならせ、肩から回すのがポイント。足は踵を浮かせて、拇趾球で真上に蹴り上げる。
② 交差跳び(16回)
カラダの後ろに置いた縄を回転させ、頭の前に来た時に腕を交差させて縄を跳び、その後は交差したまま続ける。ヘソの前で腕を重ねるのがポイント。手首ではなく、腕全体で縄を回す。連続で跳ぶ前に交差させる練習もしよう。
③ サイドスイング(16回)
まず両手を右の体側の外へ出し、カラダの横で後方から縄を回す。縄が頭上に来たら、腕を左体側の外へと動かし、縄が左側の床につくと同時にジャンプ。左右繰り返す。ポイントは縄を垂直に回すようにすること。
④ 綾跳び(16回)
前跳びと交差跳びを交互に繰り返す。これがなかなか難しいのだ。最初は交差に入る、交差から元に戻るという動きをゆっくりと行い、複雑な動きを覚えることが大切。そして、慣れてきたら、リズムよく跳んでいこう。
⑤ 前跳び&二重跳び(16回)
まず前跳びを3回。ひゅんっ、ひゅんっ、ひゅんっと跳ぼう。そして4回目は、ひゅんひゅん、と2重跳び。これらを4回繰り返して、計16回だ。2重跳びから前跳びへのスピードの減速が続けるためのポイント。
上級
このメニューが4セット3分以内でできるようになれば、すべての基本技をマスターしたことになる。まずはサイドクロスとサイドオープンをひとつずつ練習する。そして、できるようになったら全部を繫いでいけばよい。2か月ぐらいでできるようになったらアナタは才能アリだ。
① 前跳び(16回)
カラダの後ろに置いた縄を前へと回転させ、縄が床につくときにジャンプして越える。縄は手首ではなく、脇を開けて腕をムチのようにしならせ、肩から回すのがポイント。足は踵を浮かせて、拇趾球で真上に蹴り上げる。
② 綾跳び(16回)
カラダの後ろに置いた縄を前へと回転させ、縄が床につくときにジャンプして越える。縄は手首ではなく、脇を開けて腕をムチのようにしならせ、肩から回すのがポイント。足は踵を浮かせて、拇趾球で真上に蹴り上げる。
③ サイドクロス(16回)
カラダの左側でサイドスイングをして、縄を後方から回し、左腕を右腕の上で交差させ、交差跳び。右腕を右へと動かし、右側でサイドスイング、右腕を左腕に交差させて、交差跳び。サイド+交差跳びで1回とする。
④ サイドオープン(16回)
カラダの左側でサイドスイングをして、縄を後方から回し、右腕を右へと開いて、前跳びを行う。すぐに左腕を右へ動かし、右側でサイドスイング。左腕を左に開いて、前跳びへと移る。サイド+前跳びで1回とする。
2重跳び(16回)
締めは連続で2重跳びを16回。心拍数が上がるががんばろう。5種類の技を繫いで4周3分以内でできるようになれば、下半身は強化されるし、心肺機能も高まっていく。もっと難しい技にも、挑戦していってもらいたい。
プロの道具
7重跳びの世界記録は、森口さんの運動能力の高さを示す証し。が、それに加えてギアもスゴイ。縄はタングステンという硬くて重い素材で作られている。0.85mmという細さで空気抵抗が少ない。重量は21g。縄とグリップとの連結部はボールベアリングを使用。指で弾くと摩擦がないようにクルクルと回転し続ける。
シューズは日本のメーカー、アキレスの《HYPERJUMPER》。衝撃吸収と反発弾性という正反対の性質を持ったソールが特徴のシューズだ。ギアまでも自分で追求した結果、誰も成しえなかった偉業を達成した。そして今、彼は8重跳びに挑戦中なのだ。