初心に帰って「なわとび」試してみない?
「縄跳びは大人でも十分に楽しんでもらえると思うんですよね」と語るのは、森口明利さん。7重跳びという世界記録の保持者である。一度のジャンプで、足下に7回縄を通すという驚異的な技を平然とこなす御仁である。ここでは彼の指導のもと、楽しく縄跳びを習っていきたい。
森口明利さん
教えてくれた人
もりぐち・あきとし/京都大学で縄跳びのサークルに入り、縄跳びの楽しさを知る。民間企業に就職するもプロに転向。縄跳びの普及に力を注ぎつつ、自らの技を磨く毎日を送る。これまでに達成したギネス世界記録は、7重跳び1回、6重跳び連続4回、5重跳び連続26回。日本ジャンプロープ連合の理事も務める。
もちろん、縄跳びは面白いだけじゃない。
「連続で跳んでいると心拍数が上がりますから、いい有酸素運動になります。それに、下半身の筋力トレーニングになるし、骨も強くなる」(森口さん)
骨は縦方向の衝撃で強くなる。ジャンプで骨密度は高まる。また、歳を重ねると、最初に下半身が弱くなっていく。縄跳びはそれに歯止めをかける、自体重トレーニングになる。
「ひとつの技ができれば、それだけで大きな達成感を得られます。また、縄跳びの技は何十万とあるので、永遠に楽しむことができるんです」(森口さん)
まずは基本技を覚え、最終的には技を連続して繫いでいく。カラダに効くし夢中になること間違いなしだ。
まずは縄を選ぼう、調整しよう
「今、縄を持っているなら、それを使えばいいのですが、もし買うのなら、アドバイスを」と、森口さん。縄は伸びにくいモノがいい。跳んでいて長さが変わってしまうと、難しい技ができにくくなる。フリースタイル用と呼ばれる縄がベストだろう。そして、自分のカラダに合わせて長さを調整するのも大事だ。
「グリップの握り方も最初に覚えておきましょう。親指をグリップと同じ方向にして、自然に軽く握るようにする。ここから始めましょう」(森口さん)
縄の種類
縄の長さ
グリップと握り方
基本を思い出す3種目
「縄跳びの基本技は3つです。この3つの組み合わせによって、いろんな複雑な技へと発展させていくわけです。最初にコレを覚えていきましょう」(森口さん)
その3つが、前跳び、交差跳び、サイドスイングだ。前跳びは、いわゆる1重跳び。交差跳びは腕を交差させて跳ぶ。サイドスイングはカラダの横でロープを回す。どれも、子供のころにやっていたはずだ。それぞれ、目標とする回数と時間を記した。たとえば前跳びなら、10秒で25回跳べたらひとまず合格だ。
「コツさえつかめば誰でもできるようになります。そして、ここから縄跳びの世界が広がっていくのです」(森口さん)
前跳び(目標10秒25回)
カラダの後ろに置いた縄を前へと回転させ、縄が床につくときにジャンプして越える。縄は手首ではなく、脇を開けて腕をムチのようにしならせ、肩から回すのがポイント。足は踵を浮かせて、拇趾球で真上に蹴り上げる。
交差跳び(目標10秒18回)
カラダの後ろに置いた縄を回転させ、頭の前に来た時に腕を交差させて縄を跳び、その後は交差したまま続ける。ヘソの前で腕を重ねるのがポイント。手首ではなく、腕全体で縄を回す。連続で跳ぶ前に交差させる練習もしよう。
サイドスイング
まず両手を右の体側の外へ出し、カラダの横で後方から縄を回す。縄が頭上に来たら、腕を左体側の外へと動かし、縄が左側の床につくと同時にジャンプ。左右繰り返す。ポイントは縄を垂直に回すようにすること。
2重跳び、3重跳びに挑戦!
「大人の力ならば、2重跳びは必ずできます」と森口さんは断言する。2重跳びでは、1回のジャンプで足下に2回縄を通過させる。成功させるには、まずは2重跳びでの縄のスピードを覚えたい。
子供のころは、2回目でひっかかることが多かったが、大人は速く回しすぎることが原因で連続して跳べないことが多いようだ。覚えたら、次は跳ぶタイミング。縄を使わずに練習する。そして、最後に実践ということになる。
① リズムを取る
回すリズムを覚えたい。片手で左右両方のグリップを握り、前跳びのタイミングでひゅん、ひゅんっ、ひゅんっと3回回す。そして4回目は倍速でひゅんひゅんっ。これが2重跳びのリズムだ。前跳びよりも腕の動きはダイナミックになる。何度か繰り返そう。
② 腿を叩いてタイミングを取る
次は縄を回すことと、ジャンプのタイミングを合わせる。ジャンプして、ぱんっと手のひらで腿を叩く。跳ぶ、ぱんっを3回行う。これが前跳びのタイミング。4回目は跳んで、ぱんぱんっと2回叩く。このタイミングで縄を回せれば、2重跳びはできる。
③ いざ実践!
この跳び方はNG!
「前跳びを10秒で25回。これをクリアできていれば難しくありません。そして、2重跳びが連続で20回できるようになれば3重跳びにも移行していけます。2重跳びと3重跳びの違いは、跳ぶ高さです。3重跳びができるとカッコイイですよ」(森口さん)