そもそも甘味料ってどんなもの?
甘味料や人工甘味料と聞くと、いかにもカラダに悪そうなイメージを持つ人も少なくないはず。しかし食べ物に甘みをつけるうえで甘味料の存在は欠かすことはできず、実は砂糖も甘味料の一種である。
甘味料は大きく糖質系と非糖質系に分類され、糖質系にはブドウ糖や果糖、オリゴ糖などが含まれている。一方、非糖質系はステビアなどの天然甘味料と、化学的に合成して作られる人工甘味料に分けられる。また、糖質系でもエリスリトールなどの糖アルコールを人工甘味料と定義する見方もある。
砂糖の甘さを1とした場合、糖質系甘味料は果糖の1.2を除いて0.2〜1.0と穏やかだが、非糖質系甘味料のそれは数十〜数万もあって、わずかな量で甘みをつけられるメリットがある。なかでも人工甘味料は砂糖と異なり血糖値を上げないため、甘みを楽しみながら食後高血糖を防げるのが最大の特徴だ。
またエリスリトールは糖アルコールの中で唯一血糖値に対する影響が理論的にゼロのため、市販のダイエット系甘味料に使われることが多い。
甘味料に含まれる糖質と糖類って何が違うの?
糖質と糖類、ほぼ同じものと捉えられがちだが、市販の甘味料の成分表示を見ると、糖質は多くても糖類がゼロというものがあり、「?」が浮かんだ人も多いはず。実は両者には大きな違いがある。
糖質は「炭水化物から食物繊維を除いたもの」の総称であり、糖類は「糖質からデンプンやオリゴ糖などの多糖類や、キシリトールやエリスリトールなどの糖アルコールなどを除いたもの」と定義されている。分かりやすく言うと砂糖や乳糖、ブドウ糖や果糖が糖類にあたるのだ。
つまり糖類はカロリー源となり、食後の血糖値を上昇させるリスクがあるということ。自身の健康を考えるなら糖類を多く含む食品に要注意。
血糖値が上がりにくい甘味料とは?
砂糖や糖質を含む食品を摂ると、消化管でブドウ糖などに分解、吸収されて血糖値が上昇。それとともにインスリンが分泌され、脂肪の蓄積が進んだり糖尿病を発症しやすくなるのは既にご存じの通り。
一方で、人工甘味料や天然甘味料といった非糖質系甘味料や、糖質系甘味料の中でもエリスリトールなどの糖アルコールにはブドウ糖や果糖が含まれないため、摂取しても血糖値は上昇せず、インスリンの分泌を促さない。即ち、これらを活用することで甘いものを楽しみつつ食後高血糖や肥満の予防が期待できるのだ。
実際、過去の実験において、ブドウ糖を投与したときは血糖値、インスリン値ともに上昇したものの、人工甘味料を投与したときはともに上昇が認められなかったという結果報告が多数上がっている。
腸内細菌に悪影響を及ぼすという噂は?
人工甘味料を摂り続けると、やがて腸内細菌叢(腸内フローラ)が変化し血糖値が正常よりも高い状態の耐糖能障害を引き起こす。そんな研究結果が報告され「実は人工甘味料はカラダに悪いのでは?」と専門家の間で議論が巻き起こったことがある。実際のところはどうなのだろう。
「マウスを対象に、サッカリンだけが例外的に血糖値を上げた実験にもかかわらず、人工甘味料すべてが血糖値を上げたと表現しており、信頼性に欠けます。そしてそのマウスに抗生物質を投与したら血糖値が正常化しています。
抗生物質で血糖値が改善する糖尿病など人の病気には存在せず、あくまで机上の空論ということになります。人工甘味料についての危険性を確定的に報告する論文は存在しないと言ってよいでしょう。現時点では、国が摂取を認めている人工甘味料を適量摂るのであれば、問題はないというのが私なりの見解です」(北里大学北里研究所病院の山田悟医師)
いろいろある中からどれを選ぶ? 摂る際の注意点は?
実際のところ、料理する際は市販の甘味料の中からどれをチョイスし、どの程度使えばいいのだろうか。
たとえば甘味料Aの場合、エリスリトールを中心にアセスルファムKなど複数の甘味料が含まれているが、使用量の目安は重量にして砂糖の4分の1。つまり25gで砂糖100gと同じ甘さが得られるというわけだ。
甘味料にはおいしさを求めて還元麦芽糖水飴を加えたものと加えていないものがあるが、いずれも食後高血糖の影響を懸念する必要はない。別の甘味料Bも原料はエリスリトール中心だが、こちらは還元麦芽糖水飴の添加はない。一方、砂糖と同じ甘さにするには同じ重量が必要となる。
このように、市販の甘味料を料理などで使う際はパッケージに書いてある各々の使用法を読み、それに準じて使用量を決めるのがおいしさのポイント。上手に砂糖と置き換え、甘みを享受しながら食後高血糖を予防しよう。