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〈ナイキ〉のランニングシューズ3足を履き比べ! シューズトライアル体験レポート
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誰しも走り始めれば、壁にぶつかるもの。“ランの壁”を乗り越える方法を、東京オリンピックに出場した新谷仁美も指導する横田コーチに聞いた。今回は早めに対処したい「痛みや違和感」について。
横田真人さん
よこた・まさと/男子800m元日本記録保持者。2012年のロンドン・オリンピックに出場。現在は陸上クラブであるTWOLAPS TRACK CLUBを主宰、新谷仁美、卜部蘭などを指導。
痛みや違和感を覚えたとき、そこには原因が必ずある。それを早く摘み取ることで、快適に、そして楽しみながら、走り続けることができるのだ。
A. 肩周辺の筋肉が緊張しているから。腕の重さを感じよう!
走るときはリラックスするのが大事。だが、わかっているのについつい力が入る。とくに肩に力が入ると、その周辺の筋肉が緊張して凝りに繫がり、胸郭も狭まって呼吸もつらくなる。そんな人は肘を意識する。
詳しく言えば、腕の重さが肘から地面に向かってかかっているように意識。そして、振り子のように腕振りをする。そうすれば、肘の重さに引っ張られるようにして肩は下がるのである。
A. 足裏の外だけで接地しているから。これが危ないのだ。
このような痛みは、カラダが左右に振れる、つまり外側に倒れる動作で起きることが多い。たとえば、足裏の外側だけを使って接地を繰り返す。
当然、踏み込んだ足の外へと体重がかかる。その結果、過度な負担となり、太腿の外側が重くなったり、熱を帯びたりする。だから、足裏を地面と平行にして接地したい。
一般の舗装された道は、排水のため外側に向け低くなっているので、体重が外にかかりやすいからより注意が必要だ。
A. 膝をまっすぐ前に出せていないから。
膝の構造を考えてみたい。この関節は前後に動かすようにできてはいるが、足関節や股関節のように左右に回すことはできない。この構造に反した動きを繰り返すと、痛みやケガに繫がる。
膝が痛くなる人は、走っているときに爪先と同じ方向へ膝が出ているか確認してほしい。ほとんどが、内側に入っているか、外側に開いてしまっているはず。膝を痛めると回復には時間がかかる。まっすぐ前に出せるようにしよう。
A. ランナーには多い。蹴りすぎが原因だ。
こんな張りを感じる人は、気をつけたい。ランナーに多い障害、シンスプリントに陥ってしまう可能性があるのだ。大きな原因の一つが蹴る動き。地面を強く蹴ると、ふくらはぎや足裏にある筋肉が緊張して硬くなり、脛の内側がそれらに引っ張られるようにして伸びる。それが、張りや痛みに繫がる。
走るときは蹴らなくていい。足を地面に置く意識で。足が後方に来たとき、足裏全部が見えるようでは蹴りすぎ。少し足を下げよう。
取材・文/鈴木一朗 撮影/山本嵩
初出『Tarzan』No.820・2021年10月7日発売