O脚=ガニ股の改善方法は?
トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第10回は「O脚=ガニ股」のケア方法について。
取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/<a href="/tags/kunihide_saito/">齊藤邦秀</a>(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.817・2021年8月26日発売
O脚の判断基準とは?
膝が外に開いたいわゆる“ガニ股”状態を、その見た目から「O脚」と呼ぶ。
O脚の判断基準は正式にあり、
- 左右の踵と爪先、内くるぶしを揃えた状態で、
- 両膝間の距離である大腿内側顆間距離(だいたいないそくかかんきょり)が
- 2横指以上離れ、両膝が外側に開いている(これを内反という)
という状態を指す。ちなみに数え方に用いられている横指とは、指の幅や太さをもとにした長さ。1横指はおよそ1.5cmで、2横指は2〜3cmほどのことをいう。
O脚になる原因とは
2歳までの乳幼児のほとんどは軽いO脚であり、これは成長とともに自然に改善するが、成長期以降になると再びO脚になることがある。
原因は、立ち方や歩き方、座り方の癖、不良姿勢、運動不足といった日常動作による生理的な変化。また、骨の発育や形成不全、スポーツなどによる怪我、靱帯の損傷などが原因で起こることもある。
O脚は痛みを伴わないことがほとんどだが、放置すると見た目のバランスが崩れるだけでなく、膝が外へずれようとする力が加わり膝関節の内側が潰れてしまう恐れがある。
とくに気をつけたいのが、片膝のみ内反しているケース。
この場合は変形性膝関節症の疑いが高く、悪化すると手術が必要なこともある。変形性膝関節症は、立ち上がる瞬間などの動作開始時に膝が痛む初期症状から始まり、階段の下りや正座の困難、水が溜まる、安静時の痛みや腫れと徐々に悪化していく。
高齢者になるほど罹患率は高くなるが、なかには40代から発症する人もいる。変形性膝関節症になると自然に治ることはないため、医療機関で早期受診することが望ましい。そこまで至らない生理的なO脚については、ストレッチや筋トレによるセルフケアで悪化を防ぐのが得策だ。
セルフチェック&ケアの方法
ケアに入る前に、まずは姿勢評価から。
自分でチェックする場合は、
- 鏡の前で両足を腰幅に開いて立ち、
- 左右の爪先をそれぞれ15度ほど外に開く。
- その状態でゆっくりと膝を曲げる。
膝が正面を向いたままであれば異常なし。自然と膝が外に開く場合はO脚である可能性が高い。さらに、横から見た骨盤の傾きも併せてチェック。
骨盤が後傾気味の人は、股関節を外に開く力が加わり、大腿骨が外向きに回転してO脚になりやすい。このとき硬化している筋肉は梨状筋や中臀筋といった臀筋群。反対に弱化している筋肉は太腿の内側に当たる内転筋群となる。
コンディショニングのルールに則り、まずは硬化した筋肉を緩め、そのうえで弱化した筋肉を鍛えていく。
下のエクササイズは一例。ストレッチは外に開きやすい膝を内側へ入れる「ペタンコ座り」と併せて、お尻まわりのストレッチ、ボールの上に座ってコロコロと動かし、深い部分をほぐすケアも同時に取り入れるとよい。
エクササイズ例
復習クイズ!
答え:約3cm