悩み別に改善!「お腹が弱い」のための6つのTips

お腹が弱くて、下痢になりがち。そんな“腸弱さん”はどのように腸を整えたらいい? 自分のカラダと向き合っている方々の対処法も参考になるはずです。

取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 取材協力/高野正太(大腸肛門病センター高野病院院長) 編集/阿部優子

初出『Tarzan』No.817・2021年8月26日発売

悩み① 揚げ物

揚げ物を食べた翌日はなぜか必ず下痢をしてしまいます。偶然でしょうか。

下痢の原因のひとつは、腸の蠕動運動が必要以上に促され、便の中の水分を吸収し切れないこと。この蠕動運動の亢進に繫がるファクターが、揚げ物などに多く含まれている油脂類だ。

「便秘の治療のひとつにオリーブオイルを飲むという方法があります。油脂には腸を動かす作用があるので、摂り過ぎると下痢になる場合もあると思います」と、大腸肛門病センター高野病院院長の高野正太先生。

摂る量が多ければ多いほど下痢のリスクは大。揚げ物のほか、大量の油で調理された外食の炒め物、カルビやホルモンなど焼き肉も食べ過ぎには要注意だ。

よって明日はどうしても体調を崩せないという場合、対処法はいたってシンプル。摂取量をコントロールすればいい。さらに、

「選択肢があるなら食材や調理法を選んで、揚げ物より煮物や蒸し物などを摂るようにしましょう」(高野正太先生)

悩み② 辛い食べ物

辛いものが好きなのにお腹を下してしまうのが悲しいです。

辛味の正体の代表格は、なんといっても唐辛子に含まれるカプサイシン。胃を適度に刺激して消化液を分泌させ、食欲を増進させるというメリットもあるが、度を越すと腸の粘膜が過剰に刺激され、下痢を引き起こすことも。

しかも辛味は舌で味わう甘味や酸味、旨味などのいわゆる「五味」ではなく、刺激としてカラダに伝わる。より強い刺激を求めて激辛を追求し、下痢の症状が慢性化するなんてことも考えられる。

「とくに唐辛子は油とセットで調理されることが多いので、下痢体質の人にとってはダブルパンチ。辛いものを食べるなら、せめて油っこくない調理法のものを選びましょう」(高野正太先生)

悩み③ 水分の摂り方

下痢体質に水分の摂り方に悩んでいます。適切な水分補給法はありますか?

冷たいものをグビグビッと飲んだ直後にお腹ゴロゴロの繰り返し。そもそも問題なのは冷たいものの一気飲み。

「冷水を飲むというのは便秘の改善法のひとつです。腸の蠕動運動を促す作用があるので、下痢体質の人は基本的に冷たい水を飲むのは避けた方がいいでしょう。また、コーヒーのカフェインは腸の蠕動運動を亢進し、アルコールは腸での便の水分吸収を阻害します。これらも摂り過ぎは禁物です」(高野正太先生)

水分補給は常温、ペットボトルのお茶はノンカフェイン、コーヒーを飲むならデカフェ、アルコールは適量(日本酒なら1合、ワインならグラス2杯)を厳守。

悩み④ お腹の冷え

下痢の原因のひとつはやっぱりお腹を冷やすことですよね。腹巻きとかした方がいいんでしょうか?

よく患者さんにはプールなどに長く入らないようにとは言っていますが、医学的にそれで下痢の予防になるかどうかは証明されていません。腹巻きも同様です。ただ、お腹が冷えると腸の働きが過敏になることは確かです」(高野正太先生)

食生活のコントロールをしたうえで、下痢体質の改善に役立つと思うのなら腹巻きを試してみるのもひとつの手。ちなみに、男性が愛してやまないサウナの後の水風呂も下痢体質の人は避けた方が無難。

「体温を急激に上げ下げするのは、腸だけでなくいろんな意味でカラダに負担がかかります。下痢をしやすい人は夏場の水シャワーもやめておきましょう」(高野正太先生)

悩み⑤ ストレス

仕事でストレスがかかると必ずお腹が痛くなります。プレゼン前は毎回下痢をします。何か対策はありますか?

ストレスによる下痢は最近よく耳にする脳腸相関と関わりが深い。脳が緊張や不安を感じるとその情報が腸に伝わり下痢などの症状を起こすというもの。逆に腸の不調が脳に伝わりストレスをもたらすこともある。こうした症状が長期にわたって続くと、「過敏性腸症候群」と診断される可能性も。

「ストレスがかかると下痢をするという場合は、カラダを動かしながらリラックスする時間を設けることが一番のおすすめです。運動するにしてもランニングは腸にとって刺激が強すぎるので、20〜30分のんびり散歩をする方が効果的。

プレゼン前にできることとしては腹式呼吸やお腹を捻るツイスト運動。どちらも腸を適度に刺激し、腸管の運動を過活動でもなく、不足気味でもないちょうどいい状態にもっていくことができます」(高野正太先生)

腹式呼吸のポイントはお腹が背中にくっつくイメージで息を吐き、お腹を前方に突き出すイメージで息を吸うこと。お試しあれ。

悩み⑥ 下痢止め薬

電車でお腹がゴロゴロするたびに下痢止め薬を飲んでます。このまま服用を続けても大丈夫でしょうか。

通勤途中の突然のお腹ゴロゴロは確かに辛い。即効作用のある下痢止め薬が手放せない気持ちは分かる。

「ただ、そうした薬を常用してお腹の調子をコントロールするのはあまりおすすめできません。日常生活に支障をきたすような困ったときだけ活用するようにしましょう。まずは下痢の根本的な原因を調べることが基本です。腸内環境を整える整腸薬を取り入れながら、食生活や生活習慣の見直しを」(高野正太先生)

下痢止め薬はあくまでお守り代わり。気長に整腸薬を飲み続けて食事を見直していけば、いつしか手放せる日が来るかも。