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行動パターンを解明してダイエットにつなげる「痩せる行動経済学」シリーズ。実は今回のシリーズでナビゲーターを務めている経済学者の古川雅一さんは、脳を騙すことで10kgのダイエットに成功した過去を持ちます。一体どのような方法を用いたのでしょうか。
古川雅一さんがダイエットをはじめる際に取り組んだのが次の3つ。
ダイエットのために食事制限は欠かせない。しかし、ただ闇雲に制限すればいいというわけではないのだ。
「自分が普段好んで食べている物をカロリーと満足度の軸でポジショニングしていくんです。そうすると、カロリーが低くて満足度が高い食べ物、カロリーが高くて満足度の低い食べ物などがわかってきます」(経済学者の古川雅一さん)
自分の好物の傾向がわかったら、次はカロリーが高くて満足度の高い食べ物へのアクセスを悪くしていく。
「ポイントは意識から遠ざけていくこと。いくらダイエットを頑張ろうと思っていても、好物が冷蔵庫に入っていたら食べるのを我慢するのは難しいですよね。
でも、それが10分歩かないと手に入らない場所にあったら、“好きなものを食べること”と“10分歩くこと”を天秤にかけることになるので、面倒くさいというマイナス感情が沸き起こって食べたい気持ちを抑えることができます」
そして、カロリーが低くて満足度が高い食べ物を手の届く範囲に揃えていくと、それだけでカロリー制限をかけることができる。
とはいえ、古川さんがダイエットをはじめて1か月は、精神的に辛い状況が続いたという。どうやって切り抜けたのだろうか。
「私は、『夜の決められた時間以降にご飯を食べてはいけない』というルールを設けていたのですが、それでも我慢できないことがありました。
そこで『ルールを破ってしまったときはフィットネスクラブに行って1km泳ぐ』というペナルティを追加で課すことにしたんです。食べてしまったら最後。深夜だろうと絶対に泳ぐようにしました」
古川さんが10kgのダイエット成功にかかった期間は約半年。どのようにしてモチベーションを継続させたのだろうか。
「人は飽きる生き物。最初はちょっと痩せるだけで嬉しいですが、慣れてくるとそこまで大きな感動を味わえなくなっていきます。そこで大切なのがご褒美の設定です。1kg痩せていくごとにグレードを上げていくと、痩せることへの価値を高められます」(古川さん)
ダイエット成功への道は長く険しい。もし途中で負の感情が芽生えたときは、これまでの「痩せる行動経済学」シリーズで紹介した数々の方法をぜひ試してみてほしい。
取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/平井利和