同じ麺類でも“血糖値スパイク”に注意|疲れにくい料理はどっち?
「血糖値スパイク」をテーマに、どちらが疲れない食べ方かをジャッジ。「かけうどん」と「トマトソーススパゲティ」、疲れない食事はどっちだ!
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 料理製作・取材協力/河村玲子
初出『Tarzan』No.797・2020年10月8日発売
GI値の低い食事で疲れにくい体質を作る。
ランチがトマトスパゲティと、かけうどんの2択だとしたら、疲れているあなたはどちらを食べるべきか。あっさりしたうどんの方が疲れにくい気もするけれど、実際はトマトスパを選ぶべき。その秘密を解く鍵は、血糖値にある。
糖質を含む食事をすると血糖値が上がり、血糖を細胞に取り込むためにインスリンというホルモンが分泌される。インスリンが筋肉などの細胞に血糖を導くと、血糖値は正常レベルまで下がる。
だが、吸収の良い糖質を一度に摂りすぎると、インスリンが出すぎて血糖値が急に上がり、その後急に下がる「血糖値スパイク」が起こる。驚いて出すぎたインスリンが血糖値を下げすぎるのだ。
血糖値スパイク後に一時的な低血糖に陥ると、疲労感や眠気、イライラなどが表れる。これは反応性低血糖と呼ばれている。
また血糖値スパイクが起きると、そのたびに血管内で危険な糖化と酸化が進む。毎日のように血糖値スパイクが生じると、血管はボロボロに。血管は全身に酸素や栄養素を運び、老廃物や疲労物質を除去する大切なインフラ。そのインフラがダメージを負うと、疲れが取れにくくなる。
麺類は全粒粉で具だくさんをチョイス。
前置きが長くなった。ならば、なぜかけうどんの方が、トマトスパより疲れやすいと言えるのか。
「糖質が多い同じ麺類でも、うどんとスパゲティでは血糖値の上がりやすさが違います。血糖値の上がり具合はGI値という指標で見ますが、うどんは中GIで血糖値が上がりやすく、血糖値スパイクを起こしやすいのに、スパゲティは低GIで血糖値が上がりにくく、血糖値スパイクが生じにくい。だから、疲れたくないなら、スパゲティを選んだ方がいいのです」(管理栄養士の河村玲子さん)
ただ、スパゲティはデュラム小麦で作られた本格的な乾麺に限る。デュラム小麦の硬質な小麦粉と水だけで作られる乾麺は、消化吸収に時間がかかり、血糖値を上げにくい。未精製で食物繊維が多い全粒粉タイプだと、なお良し。柔らかく消化の良い手打ち麺では、うどんと同じように血糖値スパイクが起こりやすいから要注意。
食べ方や食べ合わせの工夫で、血糖値スパイクは回避できる。野菜から食べる「ベジファースト」が流行ったのは、食物繊維を含む野菜を先に食べると、血糖値の上昇を緩やかにできるから。スパゲティのソースに含まれるトマトとオリーブオイルは血糖値の上昇をセーブするから、その点でもトマトスパは疲れにくい。うどんも、肉うどんや月見うどんのように具材と一緒に食べると、ほぼ糖質のみのかけうどんより、血糖値スパイクが抑えられる。
結論
乾麺をトマトとオリーブオイルで和えたトマトスパが血糖値スパイクを回避して勝利!