物干し竿をウェイト代わりに! 重量挙げ選手・松本潮霞さんの「おこもり太り」対策

取材・文/黒田創 撮影/北尾渉 イラストレーション/森拓馬

(初出『Tarzan』No.792・2020年7月22日発売)

重量挙げ選手・松本潮霞さん

【体重】68.5kg(4月)→ 64.5kg(6月)

松本潮霞さん
まつもと・なみか/1992年生まれ。女子63kg級。ALSOK所属。2014~16年に全日本女子選手権3連覇を果たす。リオ五輪では9位。東京五輪では2大会連続出場と初の入賞を狙う。

松本さんのおこもりスケジュール

松本さんのおこもりスケジュール
まるで合宿所生活のような早寝早起きスケジュール。栄養を考えて食事を作り、トレーニング時間をしっかり確保。トップ選手は自己管理も徹底しています。

ジムがダメでも竿があるじゃない。

4月、多くのアスリートが「おうちトレーニング」動画をアップするなか、左右に洗濯物をかけた物干し竿を肩に乗せ、スクワットをする光景をSNSとYouTubeにアップしたのが重量挙げの松本潮霞(なみか)選手。

「誰もそんなことやらないよね、という感じで皆さんがクスッと笑えるトレーニングをと思ったんです」

でも本人はいたって真剣だ。洗濯物は前後左右に揺れるし、洗濯後で水気を含んだユニフォームは重く、バランスを意識する必要がある。

背中と体幹の筋肉の重要性を感じましたね。今まではひたすら重いウエイトを挙げることばかり重視してきたのですが、もう少し全体のバランスを考えて鍛えなきゃ、と」

物干し竿トレーニング
左右にぶら下がる洗濯物と真剣な表情が何ともシュール。しかしやってみると難しかった、と松本さん。「ウエイトは当然ながら固定されている。でも洗濯物は動いちゃうし意外に重い。皆さんもやってみてください!」。

自体重コントロールの大切さを実感。

緊急事態宣言を受け、練習場が閉鎖されると聞いた松本さんは練習器具を自宅に持ち込んだ。しかしそこはマンション。いつものように持ち上げたウエイトを叩きつけるわけにはいかないので、置く際は床にそーっと。ここでもカラダの使い方を改めて考えさせられた。

「普段一緒に練習する学生さんと、私たちは自体重を操るのを軽視してたね、ってZооmで話しました。以来動画を見ながら自体重トレーニングの勉強会。ファンクショナルトレーニングやダンスなど、いろんなジャンルに目を向けられるようになったのは大きな収穫でした!」

おこもり生活用に懸垂バーも購入。

おこもり生活用に懸垂バーも購入

300kgの荷重に耐えられる懸垂用バーを自宅に装着。「懸垂って究極の自体重トレーニングじゃないですか。やるたびに奥が深いなあって感じます」。

ファンクショナルトレーニングに初挑戦。

ファンクショナルトレーニングに初挑戦

 

「今までやろうとも思わなかった」というシングルレッグスクワットも日課に。前後左右に傾かないよう、全身でバランスをとる。調整力が問われるのだ。

カルシウムや鉄、 抗酸化作用を持つ食材もしっかり摂る。

松本さんの食事

松本さんのある日の朝食はタラ、タコ、小松菜、ニンジン、ズッキーニ、ネギ、ゴマ入りのチャーハンと豆乳、茹で卵。朝は炭水化物多め、昼と夜は品数多めで低脂質食。これで筋肉量を落とさず4kgの減量に成功。