健康診断で予測できる、糖尿病・動脈硬化の「2大兆候」
生活習慣病の主役ともいえる糖尿病と動脈硬化。少しでも病気のリスクを減らすために、普段の生活から意識付けしていこう。
取材・文/黒田創 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/石坂裕子(三井記念病院総合健診センター長)
初出『Tarzan』No.784・2020年3月26日発売
前回の記事で、三井記念病院総合健診センター長・石坂裕子先生に、素人でも把握しやすく、かつさまざまな疾患の元凶が潜んでいる検査項目をピックアップしてもらったところで、この記事では、結果から生活習慣病の兆候を読み取る方法を。
といっても、正しく診断を下すのは石坂先生をはじめとする医師の皆さん。われわれ素人にできることと言ったら、あくまでこれらの検査項目から何となく兆候を読み取り、今までの生活を振り返り、今後の改善に役立てること。それを念頭に置いて読んでいただきたい。
「体重・腹囲」「尿糖・血糖・HbA1c」が高い人へ。
ここで挙げるのは生活習慣病の主役ともいえる糖尿病と動脈硬化。
これらの疾患はさまざまな要因が絡み合っており、その兆候もいろんな検査項目に表れがち。おおよそで構わないので頭に入れておき、該当項目をチェックするようになれば、普段の生活においてもしっかり意識づけできるというもの。
少しでも病気のリスクを減らすのはあなたの心がけ次第。その第一歩が健診結果の読み取りなのだ。
まずは「糖尿病」に要注意!
「仕事で帰りは遅いし、ストレスでコンビニでお菓子を買い込んで、テレビを見ながら、ビールをガブガブかっくらう。俺、まだまだ若いし、運動なんて、いらないっしょ?」という習慣は、若い頃はよくても続けているといつしか肥満体型に。日本人の糖尿病の多くはこれが原因。
糖尿病は体内の糖の消費に対して供給過剰が長く続くことで罹る。そうした状態になると細胞はインスリンの働きに抵抗して血糖を取り込まず、血糖値が上昇。次第にインスリンの分泌ができなくなり糖尿病へ。
健診結果で目安になるのは血糖値とHbA1c、体重やBMI、腹囲もチェック項目となる。
BMIが27以上になると糖尿病の発病率が高まるとされる。また疑わしい場合は尿糖の有無も見ておきたい。ちなみに空腹時血糖が100mg/dl、HbA1cが5.5%以上と基準値を超えている人の多くは随時血糖値が200mg/dlを超える糖尿病型、または140mg/dl以上の境界型という報告もある。
糖尿病リスクが高い人は、まずは食事面から意識を変え、今までのような糖質や脂肪の多い食事を避けること。
また内臓脂肪からはインスリンを効きづらくする物質が出ることから、運動で内臓脂肪を減らしたいところ。内臓脂肪には有酸素運動が効果的だ。
その生活は「動脈硬化」を招いている。
「タバコは1日1箱、ラーメンの食べ歩きが趣味でして。運動ですか?うまい店に遠征するときに駅から歩くぐらいですかね」
こんな生活をしていたら動脈硬化を心配した方がいい。血圧を上げる喫煙習慣や、高カロリー&高脂肪の食事、運動不足などが原因の脂質異常症、さらにはストレス。
動脈硬化は血管の内側にコレステロールなどが付着して血管が狭く、硬くなり、血液の流れが悪くなる状態。血管が硬くなると傷つきやすくなり、一度傷つくと、修復のために脂肪細胞が集まりまた厚くなり血管をふさぐ。これが進むと脳梗塞などを引き起こす。
動脈硬化は高血圧、脂質異常症、肥満などから発症するため、健診結果でもこれらに関する項目をチェックすること。
中性脂肪やコレステロール、血圧や体重測定、腹囲、糖代謝。また尿酸値が高いと動脈硬化の危険因子となるため、この値も見ておきたい。
基本的な対処法としては、食べ過ぎやバランスの悪い食事を改善していくことがポイント。野菜や青魚、根菜類や味噌汁、豆腐や納豆などの大豆食品など、食物繊維やDHAをたっぷり摂れる健康食にシフトチェンジしていこう。運動は有酸素運動がおすすめ。ウォーキングや軽めのジョグから始めたい。