【おさらい】メンタルを保つ4つの基本的なホルモン
人間関係や仕事、恋愛、子育て。現代人は、日々何かしらの精神的なストレスを受けている。自暴自棄にならず、気持ちを落ち着かせ、時には慰め、ハッピーな精神状態を保てるのは、脳内から分泌されるホルモンのおかげ。メンタルに関わるホルモンはいくつかあるが、まずは基本の4つについて知っておこう。
取材・文/黒田 創 イラストレーション/村林タカノブ 取材協力/坪井貴司(東京大学大学院総合文化研究科教授)、本間龍介(スクエアクリニック副院長)
初出『Tarzan』No.782・2020年2月22日発売
メンタルに関わる4つのホルモン
1. 【セロトニン】感情をコントロールし、心のバランスを整える。
セロトニンは感情をコントロールし、心のバランスを整えてくれるホルモン。これがきちんと分泌されると、アドレナリンやドーパミンが暴走するのを抑え、常に心を平静に保つことができる。
肉や魚、卵や乳製品、大豆食品に含まれるタンパク質は、セロトニンの原料となるトリプトファンがたくさん含まれている。また、太陽の光をたっぷり浴びたり、ウォーキングなど一定のリズム運動を定期的に行うことでセロトニンの分泌量は増えるという。セロトニンは心のバランスを整えてくれるホルモンだ。
2. 【アドレナリン】緊張や興奮、不安や恐怖で分泌。
アドレナリンは恐怖や不安を感じたり、興奮や緊張状態になって交感神経系が優位になると副腎の副腎髄質から分泌されるホルモンで、血圧を上昇させたり心拍数を増加させる。大勢の前にプレゼンで登壇した時など、ドキドキするのはこのためだ。アドレナリンが分泌されると痛みや疲れを感じにくくなったり、普段以上に力が出たりする。
競馬やパチンコなどのギャンブルにハマった時、スポーツの応援、筋トレをガシガシやった時や、コーヒーなどのカフェインを摂った時。アドレナリンが出る場面は実に多い。そして最たるものが「恋」。人に恋した時のドキドキはまさにアドレナリンによるもの。その一方で、過剰分泌は攻撃的な性格になるデメリットも。
3. 【ドーパミン】何かに夢中な時に出まくります。
ドーパミンは何か嬉しいことや良いことが起きると脳内で分泌され、快感を得られるホルモン。これが出ると私たちは意欲的になり、もっと嬉しいこと、楽しいことをしたくなる。また目標を達成し、そのご褒美が与えられた時にも分泌される。
好きな芸能人やミュージシャンなどの映像を見るともうそれだけで嬉しい。その時、あなたの脳内はドーパミンが出まくっている状態だ。あと、恋人と付き合い始めの恋愛がすべてに優先する状態も同様。その一方で、対象に対する依存性が高くなりすぎるのがドーパミンの欠点。他の大事なことを放り出すようになったら危険だ。
4. 【オキシトシン】積極的なスキンシップが効果的。
冒頭のセロトニンと同じく、心を落ち着かせるホルモンがオキシトシン。信頼できる相手や恋人、ペットとの肌の触れ合いで分泌されるオキシトシン。不安な気持ちを落ち着かせたり、他人への信頼を回復させたり、さまざまな精神的ストレス解消にもつながる大事なホルモンだ。
また、映画に感動して涙したり、家族団らんの時間を楽しんだり、気の置けない友達と食事したり語り合った時にも出る。