「怒りっぽいと早死にする」説は、ウソではなかった|怒りの病気学
取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/小山 健 取材協力/村上正人(国際医療福祉大学教授、山王病院心療内科部長)、坂田隆夫(日産厚生会玉川病院循環器科副部長)
(初出『Tarzan』No.720・2017年6月8日発売)
ヒトが持つ喜怒哀楽のうち、最も感情を表に出しにくい「怒」。
なりふり構わず怒りをぶちまけようものなら、「あの人アブナイかも」などと思われて、人間関係を損なう可能性さえある。ゆえに普段は無意識に抑圧されることが多く、その我慢がストレスとなりカラダに悪影響を及ぼすことになる。
怒りを感じると脳内では、自律神経の司令塔である視床下部に刺激が入り交感神経が高まる。脈拍が速くなり、血管が収縮し、血圧が上がり、筋肉が痙攣を起こす。カラダが興奮状態になるのだ。
「これらは急性の怒りによる症状で、一時的にカッとなったとしても時間が経てばすぐに収まるのでそれほど問題ではありません」と解説するのは、山王病院の村上正人先生。
“怒っても30分”と心がけるべし
「しかし、数か月〜年単位で慢性的に怒りが持続すると厄介。常に交感神経が過緊張の状態、車でいえばスピードを出しっぱなしの状態なので、エネルギーも使うし当然消耗もする。循環器系に過剰な負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことがあります。急性の怒りも蓄積すると慢性になることがあるので、注意しましょう」
“怒りっぽい人は早死にしやすい”という説は、あながち間違っていないようだ。
「ズルズル怒らないことが病気を防ぐコツ。怒りを感じたらすぐに別の感情に置き換える、場所を移動する、嫌な人の前からいなくなるなど、気持ちを切り替えることが大切。カラダを動かしてストレスを発散させるのもいいですね。“怒っても30分”と頭に入れておきましょう」