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入浴後に汗が引かない! お風呂上がりに最適の飲み物は? 入浴にまつわる12の疑問&悩みを解消します

入浴には、温熱、水圧、浮力という3大作用がある。このおかげでカラダのコンディショニング作りに大いに有効だ。

が、毎日の習慣でもあるだけに、こんなときどうする? これってどうなの? という疑問も尽きない。そこで3人の専門家に12の質問について伺った。悩みをスッキリ解消して、より気持ちのいい入浴でサッパリしよう!

1. 浴槽入浴が苦手。好きになる方法は?

浴槽入浴が苦手。好きになる方法は?

夏の元気を引き出す浴槽入浴の基本メニューは40度×10分か38度×20分。

でも、ランニングの最適なペースが一人ひとり違うように、基礎体温(以下、体温)には個人差があり、温度への感受性も人それぞれ。

「ぬるめは体温+2度、標準は+4度、熱めが+6度が目安。38度や40度といった基準は体温が36度と仮定したもの。まずは自分の体温と感覚に応じて、好きな温度と時間で入ってOKです」(お風呂のソムリエこと松永武さん)

時間がなくて入れないという人は、週末にトライアル。そこで浴槽入浴の御利益が体感できたら、平日もきっと試したくなるに違いない。

2. 汗臭さを防ぐ入浴法は?

朝から蒸し暑い日、通勤電車やエレベーターで自分が汗臭いと気づいて焦った体験はないだろうか。慌てて汗拭きシートを使っても、残念ながら抜本的な解決にはならない。

「汗臭さは、皮脂と汗と古い角質を皮膚の常在菌が分解して生じます。顔と頭以外では、とくに皮脂が多い背中が発生源になりやすいのです」(東京ガス都市生活研究所の藤村寛子さん)

汗臭さを防ぐ入浴法は?
シャワー浴で皮脂量が抑えられる。
朝9時前に41度のシャワーを1分浴びた場合と5分浴びた場合、浴びなかった場合の3つのケース別に背中の皮脂量を測定。朝のシャワー浴は16時まで皮脂を抑えた。シャワー浴は1分でも5分でも有意差はない。
資料提供/東京ガス

汗拭きシートで背中を拭くわけにはいかない。そこで役立つのが出勤前の朝シャワー。東京ガスの実験によると、朝41度のシャワーを1分間浴びるだけで背中の皮脂量が夕方まで抑えられたという。ボディソープなしでも余分な皮脂はお湯の水圧で自然に押し流される。朝の新習慣に。

3. 汗をかく夏は何回入浴してもOK?

汗っかきやオイリーな体質だと、夏の入浴は1回では足りないかも。むろん好きなだけ入っていいのだが、ボディソープとシャンプーを使うのは1日1回までに留めたい。

第一にいまどきのソープやシャンプーは洗浄力が強すぎで、皮膚のダメージになりやすい。そして皮膚や頭皮の皮脂を洗い流すと、丸1日経たないと元に戻らない。だから1日1回洗えば清潔に保てるし、皮脂は皮膚を覆って乾燥を防いでいるため、2回以上洗うと皮膚が乾燥しやすい。

洗いすぎると、乾燥から皮膚を守ろうと逆に皮脂の分泌が増える恐れも。お湯だけなら皮膚も頭皮も皮脂が完全に除かれる心配はなく、臭いの元となる過剰な皮脂はカットできる。

4. 冷やしシャンプーってホントに効果があるの?

冷やし中華の時期になると、一部の理髪店やヘアサロンで始まるのが、冷やしシャンプー。発祥は山形市。冷やしたシャンプーや氷などを使って髪と頭を丸洗いして、暑さを吹き飛ばそうという夏の風物詩だ。

冷やしシャンプーは単に爽快なだけでなくカラダに御利益もありそう。

冷やしシャンプーってホントに効果があるの?

「脳細胞は暑さに弱いので、脳を養う動脈を優先的に冷やす選択的脳冷却という仕組みがある。冷やしシャンプーで頭と首すじを冷やすと脳内の温度が下がりやすく、熱中症のリスクが下がります」(東京都市大学の早坂信哉教授)

選択的脳冷却では脳の動脈が皮膚で冷めた静脈血が流れる静脈とすれ違う際、放熱して温度を下げる。冷やしシャンプーはそれを助けるのだ。

5. お風呂上がりの引かない汗をどうする?

お風呂上がりの引かない汗をどうする?

浴槽入浴後にタオルドライをしても汗がなかなか引かないタイプは、ハッカ油風呂を試そう。ハッカ(和ハッカ)はペパーミントよりメントールの含有量が多くて清涼感抜群。

「ハッカ油は浴槽に1滴で十分。皮膚の冷受容体でメントール刺激を受け取ると、脳が冷たいと勘違いして汗は引きます」(藤村さん)

お風呂上がりには、汗を吸収して湯冷めを防いで保温するバスローブを。タオル代わりにもなるイージーケアな進化形バスローブがお薦めだ。

入浴後はエアコンを利かせたくなるが、それだと浴槽入浴で深部体温を上げた意味がなくなる。エアコンは28度程度とやや高めにして、扇風機の微風でクールダウンしたい。

6. お風呂上がりに最適の飲み物とは?

お風呂で汗を流すと体重は軽くなるが、これは水分が抜けただけ。抜けた水分は即補わないと脱水で調子を崩す。湯上がりに冷えたビールは極楽だが、お酒には利尿作用があるので水分補給にはならない。

お風呂上がりに最適な飲み物は、日本の夏の定番的飲み物である麦茶。「ノンカフェインだから利尿作用がなく、発汗で失ったミネラルの補給にもなります」(松永さん)

就寝前に深部体温を一旦上げて入眠を促すなら、冷えすぎた飲み物で深部体温を急激に冷ますのはNG。麦茶もできるだけ常温で飲みたい。お風呂での脱水を防ぐために、入る前に麦茶を飲むのもよい。入る前も入った後もコップ1〜2杯が目安。

7. バスマットが乾きにくくて困る。

バスマットの洗濯に悩むなら、この際珪藻土マットに買い替えよう。

珪藻土は、太古の藻類の殻の化石が堆積したもの。無数の穴が開いており、湿気を素早く吸い取ってくれる。値段も近頃うんと下がってきた。

「バスルームから出た最初の一歩をしるすのはバスマット。入浴の仕上げだから大事です。珪藻土だとつねに乾燥していてひんやりした肌触りで、真夏にぴったり」(松永さん)

使うたびに表面の水気をタオルで軽く拭き取れば、あとは月1回陰干しするだけ。洗濯は不要だ。皮脂汚れが目立ってきたら、100均でも買える紙ヤスリ(目の細かいもの。付属する商品もある)で表面を薄く削ってやると、新品のように蘇る。

8. バスルームを清潔に保つには?

バスルームを清潔に保つには?

快適なバスタイムのためにもお風呂は清潔に保ちたい。どうするか。

第一のポイントは余計なモノを置かないこと。モノであふれていると汚れが溜まりやすく、掃除も徹底しにくい。ボディソープやシャンプーはカゴに収めて入る際に持ち込み、出るときに持ち出そう。

夏に手を焼くのがカビの繁殖。カビは温度20〜30度、湿度70%以上の環境を好み、人の皮脂や垢などを栄養としてすくすくと育つ。

「夏は普段より換気扇を長めに回して湿気を取り、頻繁に掃除して栄養源を断ちましょう」(藤村さん)

夏は出がけに水シャワーを浴びせて浴室を冷ましたくなるが、水はお湯より蒸発しにくく湿気がこもるのでNGだ。

9. 夏に最適のバスタオルとケア法は?

夏に最適のバスタオルとケア法は?

分厚いバスタオルは一度使うと乾きにくく雑菌の繁殖が気になる。面倒でも毎日洗うべきか悩むところだ。

高密度で丈夫ないわゆるホテル仕様なら毎日ガシガシ洗って乾燥機にかけてもヘタりにくいが、ゴワゴワで肌には決して優しくない。

「肌に優しく吸水力が高いのは、糸が細く軽くてふわふわのもの。繊細なので洗うときは洗濯ネットに入れ、乾燥機を使わずに外干しで乾かします。紫外線に当てると劣化するので陰干しがベスト」(松永さん)

ケアが煩わしいならバスタオルを使わないという究極の選択もある。

「フェイスタオル1枚で全身拭けて、バスマット代わりにもなる。洗濯もラクで早く乾きます」(早坂先生)

10. 水風呂ってアリなの?

水風呂ってアリなの?

夏こそ味わいたいお風呂の醍醐味といえるのが、水風呂。運動や屋外での活動で火照ったカラダを涼やかに冷やしてくれる。夜だと眠りに悪影響を与えかねないので、外気温が高い午後のうちに試そう。

「僕には17度くらいの水風呂が快適ですが、それは経験者だから。お風呂は登山と同じで段階的にカラダを慣らすべき。一足飛びに冷たい水風呂に入るのは、初心者がエベレストを狙うようなもの。ヒートショックが心配です」(松永さん)

まずは低山に登るつもりで、体温よりやや低い32〜34度からスタート。慣れてきたら徐々に水温を下げる。どの温度帯でも決して我慢しないで、あくまで気持ちよさを追求したい。

11. 入浴中に肌トラブルは解決できる?

何を試しても解決しない肌トラブルの背景には、シャワーの水質が関わっている可能性も。飲み水は浄水器を通すのに、シャワーは無頓着に水道水をそのまま浴びる人が大半。でも、その水道水が肌や髪のダメージの源かもしれない。浄化機能付きのシャワーヘッドに替えよう。

手始めに試したいのは、殺菌目的で含まれる塩素を除去するタイプ。塩素は肌も髪も荒らしやすい。

水道水に含まれるカルシウムなどの硬水成分を取り除き、軟水にしてくれるものもある。余分なミネラルを除去した軟水シャワーは肌にも髪にも優しい。水垢の原因となるミネラル分が少ないので鏡がピカピカに保たれるというオマケ付き。

12. 夏の冷房冷えをなんとかしたい。

外は蒸し暑く、室内は冷え冷えだと温度変化に対応しきれず、体調を崩しやすい。自律神経による体温調節機能が乱れると、冷房で手足が冷える夏の冷え性を招きかねない。

その解消に一役買うのがミストサウナ。東京ガスが自称・冷え性の20〜30代女性8人にミストサウナ浴を2週間続けてもらったら、冷えからの回復が早まったという結果が出た。

ミストサウナ浴を行う8人とシャワー浴を行う8人に分けて比較したデータ
ミストサウナ浴で冷えからの回復が早まる。
自称冷え性の20〜30代女性16人を、ミストサウナ浴を行う8人とシャワー浴を行う8人に分けて2週間連浴した結果。冷水を浴びた後の足の甲の皮膚温回復を見たところ、ミストサウナ浴を連浴したグループの方が冷えからの回復が早いと判明。
出典/東京ガスと産業技術総合研究所との共同研究

「ミストサウナはカラダを暑さに慣らす暑熱馴化に役立ち、体温調節機能が高まって冷えからの回復が促されたと考えられます」(藤村さん)

ミストサウナはサウナ施設の他、備え付けられたジムやマンションもチラホラ。今からでもミストサウナ浴を実行し、夏冷え予防をしよう。

取材・文/井上健二 イラストレーション/安ケ平正哉 取材協力/早坂信哉(東京都市大学人間科学部教授)、藤村寛子(東京ガス都市生活研究所)、松永武(バスリエ代表)

(初出『Tarzan』No.770・2019年8月8日発売)

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