満員電車でイライラ、プレゼン前で緊張…。日々のあるある不調に効く! 18の簡単リセット術

“不調”という名の悪魔は日々のふとした瞬間にも忍び寄る…。生活の根本的な見直しも大切ですが、その場でできるリセット術を駆使すれば、いつもより快適に毎日を過ごせます! ここでは“不調つづく”さんの24時間を追いかけながら、「こんなときは、こうすべし!」をケースワークでご紹介します。

取材・文/門上奈央 イラストレーション/おほしんたろう 取材協力/神崎貴子(さくら治療院院長)、坂詰真二(スポーツ&サイエンス)、白澤卓二(白澤抗加齢医学研究所所長)

(初出『Tarzan』No.757・2019年1月24日発売)

“不調つづく”さんの不調つづきな24時間がスタート!

寝起きに「だるい」と感じたらダンゴムシになる。

ちゃんと寝たはずがカラダがだるい。

「おかしいなぁ、せっかく寝たのに全身だるい」。

それは、就寝中に布団に押し当てられた部位に長時間体重がかかっていたことが、考えられる原因の一つ。節々の痛みを感じたら、両膝を胸に引き寄せて両腕でしっかり抱え込んだ“ダンゴムシ”のポーズで10秒キープ。仰向けで寝ている場合、特に肩甲骨まわりや尻に圧がかかりがち。こわばった筋肉をジンワリと緩めよう。二度寝にはご注意を。

寝起きのダルさを和らげるリセット術

両膝を胸に引き寄せて両腕でしっかり抱え込んだ“ダンゴムシ”のポーズで10秒キープ

酔い全般に効くツボ。実は腕の内側にあるんです。

というか、二日酔いだ。

「てか、酒クサ! そういや昨日部長と飲んだっけ…気分悪!」

二日酔いで目覚めたら、まず最初に十分な水分補給を。そのうえで実践すべきはツボ押し。腕まくりをして前腕を内に向けたら、手首から肘に向けて指3本分の位置にある「内関」は内臓機能と深く関係するツボで、二日酔いや乗り物酔いなどの吐き気を軽減してくれる。ともあれ、飲み過ぎ厳禁!

二日酔いを軽減してくれる「内関」

ツボの位置:前腕を内に向け、手首から肘に向けて指3本分

ツボの押し方:5秒かけて押し、5秒かけて緩める5〜10回繰り返す

脚トラブルは足裏のツボで解決。

朝ラン後の脚の疲労、後に残したくない。

「イヤ〜反省。少しは健康的なこと=朝ランしよう!」

その心意気は立派。だが、日中に疲れが残らないようにラン後のケアも抜かりなく。ここで覚えておきたいのが足裏のツボ「湧泉(ゆうせん)」。足の指先を丸めたときにシワがよる中心部にあり、両手の親指を重ねて強く押せば血流アップ。ランナーに多い足底腱膜炎の予防や痛み軽減になるので、ラン後のプッシュを習慣にしよう。ただし、不調つづくさんのマネはNG。走行中はランに集中しよう!

ランナーに多い足底腱膜炎の予防や痛み軽減になる「湧泉」

ツボの位置:足の指先を丸めたときにシワがよる中心部分

ツボの押し方:両手の親指を重ねて強く押す

ストレッチ×おやつ昆布で「足攣り」にオサラバ!

靴下履いてる最中に足が攣った。

「さぁ、着替え着替え。足を上げて…イテテー!」

足が攣っているとき、足底腱膜は筋痙攣を起こした状態。ひとまずどこかに座って、足先の血流が良くなる速効性の高いストレッチを。また体内のミネラル不足も足が攣る原因の一つ。普段から昆布などの海藻類を過不足なく摂るべし。

足が攣ったときのリセット術

攣っている足の爪先を手で持ち、手前に引き寄せたら、爪先を向こう側に押し込む。この動きを反復して行う。

日頃の運動不足の祟りだ。ツボ押しでその場をしのげ!

電車に乗り遅れまいと走ったら息切れ。

「げ、遅刻、遅刻! ダッシュしてなんとか間に合ったけど、息ができません…」

なんてときは、乗車待ちの列に並びながら胸の中央にある窪み付近の「膻中(だんちゅう)」を両手の中指を重ねて軽めにプッシュ。このツボは動悸の沈静化や不安感、ストレスの軽減にも作用する。

動悸の沈静化や不安感、ストレスの軽減にも作用する「膻中」

ツボの位置:左右乳頭を結んだ線の真ん中

ツボの押し方:両手の中指を重ねて軽めにプッシュ

やり場のない負の感情をなだめるのは手の温かさ。

朝の満員電車でイライラ。

「乗れたはいいけど、このザマかい(怒)」

押し寿司状態にイライラが爆発しそうになったら、吊り革を持つのと反対の手を腹に当てて腹式呼吸で落ち着こう。繰り返すうちに緊張状態で冷たくなった手が徐々に温かみを増し、気持ちが落ち着きを取り戻すのを実感するはずだ。

イライラのリセット術

鼻から5秒ほどかけて息を吸い込み、10秒ほどかけて口から息を吐く。呼吸の長さはあくまで「気持ちいい」と感じる程度で行うのがポイント。

※「辛い」と感じるハードさでは交感神経が刺激されて逆効果。

あいさつで まわりもじぶんも やる気モード(字余り)

会社に到着するも、仕事モードに切り替わらない。

「ふう、会社に着いた…」

満員電車を攻略した達成感で一日の業務を終えた気分、では困ってしまう。スイッチをONにする簡単な方法は、ズバリあいさつ。なんとなくボーッとしてしまうのは副交感神経が優位なためだが、腹の底から大きな声を繰り返し出すことで交感神経を刺激=仕事モードに。さらに素晴らしいことに、あいさつした相手の交感神経も刺激。ポジティブの伝播、文字通りウィンウィン。

目が疲れたら外の景色を眺める。

集中して作業に臨むあまり目がシバシバ。

「気づけば90分経過。目、疲れたなあ…」

目の前のモニター(近距離のもの)を見るときに酷使しがちな目の周りの眼輪筋を休ませることが一番。作業を一時中断し、窓の外など遠くの景色をぼんやり眺めよう。こうした時間を60〜90分に一度でいいから定期的に確保すべし。また、緊張状態にある眼輪筋を軽く指でマッサージするのもおすすめ。

眼球疲労のリセット術

人差し指をこめかみに置き、中指でまぶたの周りの骨に沿って押す。3周分マッサージするだけでも目がシャキっとする。

※くれぐれも眼球を押さないように。

何も口に入れなくても、ツボで「グ〜」は収まる。

空腹に耐え会議。お腹が鳴りそう。

「会議中にもかかわらず、その後のランチを思うと、ついお腹が鳴りそうに…!」

間一髪のシーンですかさず押すべきツボがある。手の甲側、親指と人差し指の骨の分かれ目のやや人差し指側にある「合谷(ごうこく)」だ。胃腸の動きが活発化するためにお腹が「グ〜」と鳴るのだが、消化器に通ずる経絡上に位置する合谷には、その動きを緩和する作用があるという。鳴りそうな予感がしたら即座にギュッと強めにプッシュ!

お腹が「グ〜」と鳴るのを防ぐ「合谷」

ツボの位置:手の甲側、親指と人差し指の骨の分かれ目のやや人差し指側

ツボの押し方:強めに押す

浅くなった呼吸を太極拳で心もちスローに。

外で営業。大事なプレゼン前に緊張。

「今日こそ取引先を口説き落とす!」

気合が入りすぎて妙なテンションになってきたら、太極拳の基本となる腹式呼吸で心を整えたい。ただ、つづくさんのように全力でやるのは興奮するのでアウト。

緊張をほぐすリセット術(座ったまま実践する場合)

  1. 椅子に両脚を揃えて座り、肩に力を入れずに両手を両脇に自然に下ろす。
  2. 手の甲を上にして、鼻から息を吸いつつ4秒ほどかけて両手を前へ上げる。
  3. 肩の高さまで上がれば、口から息を吐きつつ両手を自然に下ろす。

※これを3〜5回繰り返す。

帰路、お笑い動画を楽しみ、感情の昂りをおだやかに。

営業帰り。興奮した気持ちを切り替える。

「契約取ったオレ、デキる男」

浮足立った気分を落ち着けるには、帰路はメールチェックを控え、ごほうびに好きな芸人の動画を観賞するのもアリ。笑うことで脳内の快楽ホルモン「エンドルフィン」が増加。幸福感だけでなく爽快感を感じやすくなり、興奮状態からスッキリした気持ちに切り替わる。またエンドルフィンの分泌量は一人より複数人でいるときの方が増えるので、同行した職場仲間と仲良く観るのも一案。

オフィスで悪目立ちしないダブルストレッチで効率UP。

デスクに戻り、ひと息。タイピングで腕は疲れたし、足もだるい。

「デスクに戻りメールチェックすること30分、腕と足がズーンと重い」

デスクワークによる腕の疲れは、PC作業の姿勢により前腕の伸筋群に負荷がかかるせい。腕を前方に伸ばし、手の甲を反対の手で手前に引けば前腕伸筋群のストレッチに。伸ばした手を机や太腿に固定すると、より伸ばしやすくなる。足のむくみは血流悪化が大きな原因。こちらもあわせてどうぞ。

腕の疲れをとるリセット術

腕を前方に伸ばし、手の甲を反対の手で手前に引く。
※片手ずつ10秒×3セット。

足首の疲れをとるリセット術

  1. 靴を脱いで靴の向きを逆にする。
  2. 爪先部分を踵で踏むようにして足を乗せる。

あえて別階のトイレに行ってみる。

作業に集中できない。

「今日は定時で上がれるだろうか」

日が暮れ始めて、気もそぞろ。集中力不足の原因の一つは脳の疲労。気分転換に別フロアのトイレまで行ってみよう。歩行中は脳の血流が増えるために集中力も高まる。それはウォーキング中にアイデアがひらめくという人が少なくない理由かもしれない。運動強度が高すぎると集中力アップの妨げになるのでウォーキングが最適。余裕があれば、会社を外周してリフレッシュしよう。

焼き鳥屋で一杯やりましょう。

退社。ハードワークで疲労困憊。

「まさかの19時退社、やりぃ!」

外で食事して帰るなら、焼き鳥屋でねぎまを。ネギの白い部分には疲労回復に役立つ硫化アリルが豊富なうえ、鶏肉は活性酸素を除去して乳酸を中和するカルノシンを摂れる。つまり、ねぎまは疲労回復に持ってこいだ。また適量の飲酒はリラックス効果を得られる。腸内環境を整える乳酸菌が豊富なマッコリは1杯でも飲み応えあり。焼き鳥屋にあればぜひ。

暴食後の胃腸のダメージは膝付近のツボ押しで解消。

ねぎま食べ過ぎておなかパンパン。胃ムカムカ。

「ねぎまを無茶食いした結果、胸焼けが…」

まったくどうしようもない人だが、食べ過ぎによる消化器トラブル全般には「足三里(あしさんり)」というツボが効く。膝の皿の下の窪みから指4本分下にある骨の外側という込み入った位置ではあるが、ここを親指で強く押すと、胸焼けをはじめ、胃もたれや食べ過ぎによる下痢といった不調に作用。

また、へそから指3本分外にある「天枢(てんすう)」も消化不良にいいとされるツボ。中指を中心とする指3本で痛気持ちいい程度にプッシュしよう。

消化器トラブル全般をリセットする「足三里」

ツボの位置:膝の皿の下の窪みから指4本分下にある骨の外側

ツボの押し方:親指で強く押す

消化不良にいいとされる「天枢」

ツボの位置:へそから指3本分外

ツボの押し方:中指を中心とする指3本で痛気持ちいい程度に押す

頭の重みを支えていた首を腕の重みでじっくり伸ばす。

電車でうとうと。寝違えて首痛い。

「帰路の電車。席に座り中吊り広告を見るうちに寝落ちしたらしく、首が重い」

背もたれが低い電車のシートは首が固定できず、重い頭を首が支えるため局所的な負荷がかかる。そんなときは、頭の重みを支えていた首を腕の重みでじっくり伸ばそう。これは、ソファでうたた寝したときにも活用できるリセット術だ。

 

首のこわばりをとるリセット術

後頭部に組んだ手を当てて両脇を締めたら、腕の重みを利用してこわばっていた首の後ろ側をじっくり伸ばす。

※シートの背もたれに寄り掛かり背中をつけたまま行うのがポイント。

明日を憂う時間があるなら風呂でLet’s ひとカラ♪

帰宅するも、明日の仕事に鬱々。

「はぁ、明日も仕事かあ」

帰宅しても気が休まらないなんて損。気分を切り替えるには、風呂に入るのが一番。朝ランや筋トレをした日は36〜37℃の湯で全身浴をしてしっかりリカバリーを。また入浴中に十八番を熱唱すればコンディショニング玄人。歌うと血流促進や自律神経の正常化などの恩恵が多々あるし、何より気晴らしになる。“ととのった”ってこういうこと!

寝転んだままの〜びのび。ふと気づけば夢の中。

早めに床に就くも、寝つきが悪い。

「日付が変わる前に寝るぞ」

いつも意気込むのに、なぜか眠れない。そんなときは、寝転んだままの状態で脱力系ストレッチ。一日の疲れが溜まりやすく、大きな筋肉が集まる下半身を集中的に伸ばそう。就寝前なので心地よさを最優先して、軽く弱く伸ばすことが心地いい入眠に繫がる。

入眠前のリセット術

片膝を胸にぐっと近づけて腕で抱きかかえる。

カラダを支える臀筋などが伸びてリラックス効果も絶大

“不調つづく”さんの24時間はこれにて終了。お疲れ様でした!