ダンベルを正しく安全に使う、8つのルール&マナー。
自体重トレと違って、重い器具を使うトレーニングには少なからずリスクが伴う。安全&効果的に取り組むための決め事を8つご紹介。
取材・文/井上健二 撮影/園山友基 スタイリスト/川合康太 ヘア&メイク/細江祥莉 取材協力/白戸拓也
初出『Tarzan』No.903・2025年5月22日発売

教えてくれた人
白戸拓也(しらと・たくや)/1963年、青森県生まれ。フージャース ウェルネス&スポーツ。元BODYPUMP/BODYCOMBATマスタートレーナー。法政大学卒業。大学卒業後、大手フィットネスクラブに入社。約30年在籍し、クラブマネージャーや教育担当などを歴任する一方、フィットネスの新たなトレンドを作るようなエクササイズプログラムを数多く開発。日本におけるレジェンドトレーナーの一人として一目置かれる存在。
目次
1.裸足ではなくシューズを履いて行う。
プッシュアップなどの自体重トレは裸足でも行える。ただ、ダンベルで鍛錬するなら、自宅でだって室内用のトレーニングシューズを履いて行うのが鉄則。
「万一ダンベルを落とした際、裸足だと大きなダメージを負いかねない。シューズを履いていれば被害は最小限に抑えられます」(パーソナルトレーナーの白戸拓也さん)。
足元は安定した方が正しいフォームを保ちやすいから、ソールはやや薄めでグリップ力高めのタイプがお薦め。
2.ダンベルを直接床に置かない。
ダンベルを買うなら、トレーニングエリアに敷くマットも一緒に購入しよう。ラバー製ジョイントマットがベストだが、手軽なヨガ・ピラティス用の厚めのマットでも代用できる。マットがあるとダンベルで床を傷つけるリスクが減らせる。
とくに退去時に原状回復が求められる賃貸物件では見逃せないメリット。加えて防音にも有効。ダンベルは優しくゆっくり床に置くべきだが、多少乱暴に置いてもマット上なら不快な騒音も出ない。
3.左右対称にグリップする。
バーベルは両手でテキトーに持つとバランスが崩れるから、誰しも左右対称にホールドするもの。それに対してダンベルは両手に1個ずつ握るし、シャフトはバーベルよりはるかに短い。ゆえにテキトーにグリップしてもアンバランスを感じにくいから、ダンベルを無造作に握るトレーニーは少なくないのだ。
「しかし、右も左もシャフトの真ん中を持たないとフォームが崩れたり、手首や肘などのストレスになったりする場合もあります」。
4.固定具はきっちり締める。
可変式で取り替え式だと、最適のウェイトでトレーニングするために種目ごとにプレートを差し替える必要がある。
いちばん効く重さで鍛えるには欠かせないプロセスだが、正直面倒に感じることもあるだろう。でも、プレートは毎回確実に固定しないとトレーニング中にプレートが落ちて部屋を傷つけたり、足を直撃して怪我をしたりするケースがある。プレート落下を防ぐカラー(ストッパー)は緩みがないようしっかり締めるべし。
5.転がらないようにする。
ダンベルプレートの多くは円形だから、床上だと何かの拍子に転がりやすい。不注意で蹴飛ばしたりすると、壁に衝突して穴を開けたり、窓ガラスを割ったりすることも。
専用ラックにセットできたら最高なれど、自宅にラックを設置するとスペースを取るし、コストもかかる。転がらないようにクッション上などを定位置に。六角形のヘキサゴンダンベルや、土台と一体化して収納できるアジャスタブルダンベルなら転がる心配はない。
6.椅子やベンチに置かない。
椅子やベンチにダンベルを乗せるのは絶対NG。40〜50cmの高さからダンベルが転がり落ちて足に当たると、靴を履いていても怪我を負うこともあり得る。面倒でも毎回床かラックに戻すように。
加えて床にマットを敷いたとしても、ジムのフロアほどの衝撃吸収性は望めない。それゆえ椅子やベンチから落ちた衝撃でダンベルが破損したり、床が損傷したり、ガチャンと音を立てて階下の迷惑になったりすることも考えられるのだ。
7.手首を痛めないようにする。
ダンベルのシャフトの握り方には、必ず守りたい2つのポイントがある。
1つ目のポイントは、親指をシャフトに回す「サムアラウンドグリップ」で握ること。これなら重めのダンベルだって確実にホールドできる。
2つ目のポイントは、手首を反らす「背屈」や曲げる「掌屈」をしないこと。いずれも手首を痛める恐れがある。手首は曲げずにニュートラルにして、ダンベルのシャフトをつねに前腕の延長線上でキープするように心がけて。
8.自体重でダンベルを扱う基礎筋力を養う。
ダンベルトレで何より大事なのはフォームを正確に保つこと。それには最低限の筋力がいる。元気潑剌の20〜30代なら問題なさそうだが、40代以降で運動不足だとフォームの維持に必要な筋力が足りないこともある。
「押す、引く、しゃがむ、立つといった動きが間違いなくできるのが条件。不安なら、プッシュアップ、フッキン、スクワットといった自体重トレで基礎筋力を上げてからダンベルトレに移行しても遅くはないでしょう」。