
現代のカウボーイは、《ジープ コンパス》を愛馬とす。
「若い頃にロックバンド〈T・レックス〉の『ジープスター』という曲に夢中になった時期がありまして。以来、ジープに乗るのが夢でした」と話すのは、ロックTシャツに、〈ステットソン〉のカウボーイハット姿が板に付いた美容師の後藤克宏さん。
ハンドルを握るのは、T・レックスと同じ時代のクラシックジープかと思いきや、意外や意外2020年式の《コンパス》である。
「いや、実はこのクルマは2代目なんです。念願叶って初めてジープのハンドルを握ったのは、4年前。アメリカ西海岸でヘアデザインの武者修行中に、向こうでの足が必要になって《チェロキー》を手に入れたんです。もうそれこそジープスターになった気分で、アメリカを自由に走り回っていましたね。ところがある時、宿泊したホテルのバレーパーキングに預けたら、そのホテルマンが操作ミスしたのか、調子が悪くなってしまって……。元気のよかった僕のジープはそのままお釈迦に」
傷心の別れ。日本に戻ってきても、ジープのことが忘れられぬままクルマとは無縁の生活を続けてはいたが、子供が産まれるタイミングでまたもやジープとの毎日が戻ってくることになった。でも、後藤さんが選んだのは、あの時のチェロキーではなく、写真のコンパスだった。
「もちろんチェロキー再び! という気持ちは強かったんですが、子供が大きくなった時に、2020年代はこんな時代だった、ということを伝えるならば、こっちでしょ! と思い立ちまして。“ジープ”という冠詞は一緒だけど、何もかも勝手が違うニューモデルにしてみたんです。でも、いざ乗ってみたら、ハンドルは懐かしの重ステで(笑)。デジタルデバイスみたいなルックスなのに、アメリカの荒野を駆け抜けたワイルドな魂は、しっかり受け継がれているんだなぁと。俄然ハンドルを握るのが楽しくなりました」
そんな後藤さんは相棒とどこに行くかといえば、牧場、馬事公苑、乗馬クラブと、専ら馬がいる場所。今日はずっと気になっていた御殿場の〈ヴィルタス ライディングクラブ〉にやってきた。アメリカ開拓時代から移動の足として市民生活を支えてきたアメリカン クォーター ホースに跨がって、カウボーイさながらに富士の荒野を外乗。
「馬ってクルマみたいなものですよね。先ほどインストラクターの方に教えてもらったんですが、昔のカウボーイたちは、自分の馬に惜しみない愛情を注いだとか。それを聞いて、コンパス愛がさらに芽生えました。もっと愛でてやろうと思います」
JEEP COMPASS
- 全長4,400×全幅1,810×全高1,640mm
- エンジン=2,359cc、直列4気筒 16バルブ
- 乗車定員=5名
- 燃費=11.5km/ℓ(WLTCモード)
Owner
後藤克宏(美容師)
1988年、岐阜県生まれ。美容専門学校を卒業後、表参道の〈ティーシェル〉に入社。現在はショップマネージャーを務め、MEGUMIさんや青山テルマさんを担当している。

Information
〈VIRTUS RIDING CLUB〉
場所は、富士山の麓。最高のビューを備えた会員制乗馬クラブ。歴史は古く、ブリティッシュライディングとウェスタンライディングを楽しめる。初めての人でもトレッキングしながら学べる、後藤さんが体験したプログラム平日10,450円〜、土・日・祝11,550円〜、予約制。
住所:静岡県御殿場市柴怒田961|地図
TEL:0550-70-6522
営:9:00〜17:00
休:火