【プロ直伝】週2の顔ツボルーティンで、悩み知らずの美顔へ!

シミやシワ、むくみやたるみなど、顔の悩みはさまざま。そんな時に試してほしいのが、顔のツボ押し。数多ある頭部のツボの中から、押すべき22個を、鍼灸のプロに教えてもらいました。

取材・文/井上健二 イラストレーション/タイマタカシ 監修/山﨑翼(明治国際医療大学鍼灸学部講師、鍼灸師、鍼灸学博士) 参考文献/『新版 経絡経穴概論 第2版』(医道の日本社)

初出『Tarzan』No.902・2025年5月8日発売

頭部の顔ツボ22選

セルフケアで美容鍼灸に近い効果を得る方法。

慢性的な不調や病気に長年用いられてきたのが、鍼灸。中国発祥ながら日本オリジナルのアレンジも加えられており、現在でも日々進化を続けている。

なかでも新分野として注目されるのが「美容鍼灸(コスメティック・アキュパンクチャー)」。顔を中心とした美容の世界に鍼灸を応用しようという試みだ。

「美容鍼灸では、現代の解剖学に基づいて顔面の表情筋や血管などにアプローチします。それにより血流の促進、メラニンの減少による色調の改善、シワが浅くなる、キメが整う、たるみにくくなるといった効果が科学的に明らかにされつつあります」(明治国際医療大学鍼灸学部の山﨑翼講師)。

そんな顔面への美容鍼灸を得意とするサロンはあるけれど、まずは自分でできる手軽なツボ押しからその実力を試してみよう。

「ピンポイントで刺激する鍼よりも、指でツボを押す方がカラダへの負担はマイルド。それでいて鍼とさほど変わらない美容の作用が期待できます」

ツボ押しによる血流量の変化。

ツボ押しによる血流量の変化

健常女性4人に、陽白、太陽、巨髎、下関、迎香、地倉、大迎を15分間指で押す。押さない日と血流を比べると、押した日の方が血流が促されている。

出典/『皮膚状態に及ぼす鍼の効果〜客観的評価と主観的評価による検証〜』山﨑 翼ら、から引用改変。

週2回、1か所30秒の顔ツボルーティン。

顔には多数のツボが集中しており、残らず刺激しようとすると日が暮れる。そこで、ことに美容に有効なツボ22か所を山﨑先生に選んでもらった。全部を隈なく押すことにより、シミ、シワ、くすみ、たるみといった顔面の悩みをまとめて解決してくれるのだ。

「週2回、“痛気持ちいい”程度の強さで1か所30秒押してください。左右にあるツボは、より気持ちいい方を念入りに刺激しましょう。入浴後など体温が高い状態で行うと一層効果的です」

厳選したとはいえ、22か所を一度に押すのは大変。なので目のまわり、口のまわり、両サイドの3大エリアに分け、1日1エリア限定でローテーションを組み、3大エリアを週2回ずつ行えるようにルーティン化してみよう(下表参照)。肌の新陳代謝は約28日周期だから、1か月続けて変化を確かめてほしい。

メニューの組み方。
  1. 目元、口元、両サイドの3パーツに分けて押す。
  2. それぞれを週2回ずつ押す。
  3. 左右にあるツボは、押してより気持ちいい方を念入りに押す。
  4. お風呂上がりなどカラダを温めて行うと効果的。
  5. 「痛気持ちいい」くらいのマイルドな刺激を心がける。
  6. 余裕があれば、顔以外のカラダのオプションツボを押す。
1週間プログラムの例。
目の
まわり
口の
まわり

サイド
目の
まわり
口の
まわり

サイド
OFF

目のまわりのツボ8選。

目の病気に対処するために、目のまわりにはたくさんのツボがある。そのツボのなかから、美容にも効くものを8つセレクトしてみた。

押す際は、誤って目を傷つけないように瞼を閉じてから行うこと。この辺りは顔でもとくに皮膚が薄くて繊細な場所なので、あくまでソフトタッチで刺激するように心掛けたい。

目のまわりツボ

●魚腰(ぎょよう)

まっすぐ見たときの瞳の中央の真上で、眉毛の中央。

●攅竹(さんちく

睛明の真上で眉頭のやや下方の凹み。

●印堂(いんどう

両眉頭の中央。

●睛明(せいめい

目を閉じ、目頭の内側やや上方の凹み。

●陽白(ようはく

眉毛の中央から親指横幅1本分上方。

●糸竹空(しちくくう)

眉尻の下の凹み。

●瞳子髎(どうしりょう

目尻から親指横幅半分ほど外側の凹み。

●四白(しはく)

まっすぐ見たときの瞳の中央の真下で、頰骨下の凹み。

口のまわりのツボ7選。

口のまわり(鼻の近くや頰も含む)にも、目のまわりと同様に多くのツボがある。そこから選ばれたのは7つ。

周辺には、食べ物を嚙むための咀嚼筋や表情筋がいろいろある。いわゆる表情筋トレや美顔ローラーによるマッサージに励むのも悪くないが、指でツボを押せば顔に余計なストレスを与えずに行えるのが利点だ。

口周りツボ

●巨髎(こりょう)

まっすぐ見たときの瞳の中央の真下で、小鼻の下端からの平行線と交わる凹み。

●迎香(げいこう

左右の小鼻の外側にある凹み。

●顴髎(けんりょう)

目尻から下ろした垂線上で、頰骨下の凹み。

●地倉(ちそう)

口角のやや外側のほうれい線上。

●大迎(だいげい)

下顎角(エラ)から骨に沿って指を前方へ進め、動脈の拍動を感じるところ。

●夾承漿(きょうしょうしょう)

承漿から親指横幅分外側。

●承漿(しょうしょう)

顔の真ん中を通るライン上で、下唇と顎の中間の凹み。

両サイドのツボ7選。

頰、耳のまわり、そして頭部からも、7つのツボがエントリーしている。顔の真正面にあり、鏡を見ながらツボの位置が特定しやすい目のまわりや口のまわりと比べると、両サイドのツボには場所が多少わかりにくいものもあるかもしれない。押したときの感覚と気持ち良さを頼りにうまく探し当ててみよう。

両サイドツボ

●顖会(しんえ)

顔の真ん中を通るライン上で、前髪の生え際から、人差し指から薬指までの3指分上方。

●頭維(ずい)

髪の剃り込み部分の生え際から、親指の横幅2分の1分上方。

●角孫(かくそん)

耳たぶを前に折り曲げ、耳の上の角が頭に当たるところ。

●太陽(たいよう)

目尻と眉尻の中央から、親指の横幅分外側。

●下関(げかん)

耳の付け根の前方で、口を開閉するときに動く部分の凹み。

●頰車(きょうしゃ)

耳たぶ下と下顎角(エラ)を結ぶライン上の中央。噛み締めると緊張し、緩めると凹むところ。

●完骨(かんこつ)

耳の後ろの骨の出っ張り(乳様突起)の下にある凹み。