
体験した人/石野田輝旭さん
インテリアデザイン事務所『FLOOAT, Inc.』所属。インテリアやアウトドアの領域を中心に、ブランドPRや企画制作などを幅広く手がける。関わった雑誌・書籍に、インディペンデントデザインジャーナル『Ilmm』、『TRAIL LEARNING – 未知を拓く冒険「歩く」』などがある。
虎ノ門ヒルズ駅直結のステーションタワー5階にある、会員制総合ウェルビーイング施設〈CARAPPO 虎ノ門ヒルズ〉。ここは、毎日を忙しなく過ごすビジネスパーソンや、慢性的なストレスを抱える人たちに、ひとときの“からっぽ”な時間を提供することで、心身をリフレッシュしてより良いパフォーマンスを発揮してもらいたい、という思いで作られた。
実際、日々膨大なタスクに追われたり、スマホやPCを肌身離さずに持ち歩く現代人にとって、心と身体を完全にリセットできる時間は、とても貴重と言えそうだ。
今回は、建築、インテリアや企業のブランディング・PRなどを担う石野田輝旭さんに、施設を体験してもらった。
石野田さんは普段、針葉樹を中心とする日本の木材を用いた家具ブランド『MAS』や、幡ヶ谷にあるアウトドアセレクトショップ『Nicetime Mountain Gallery』のPRを担当し、国内外に渡ってさまざまなフィールドへ出る機会が多い。直近では『みなとラボ』と『PAPERSKY』が共同で制作した書籍『TRAIL LEARNING – 未知を拓く冒険「歩く」』に編集としても参画し、活動の幅を広げている。

エレベーターを降りるとさっそくエントランス。「虎ノ門ヒルズの一部はサビーヌ・マルセリスが手がけた空間だと聞いたことがあったので、訪れられて嬉しいです」(石野田さん)
目次
広々とした更衣室で、まずはトレーニングの準備から。

天井が高く、開放感のある更衣室。
着替えたら、さっそくジムエリアへ。
廊下は全面ホワイトの洗練された空間に、ポップなピクトグラムがポイントでかわいらしい。また、十分な面積があるので、利用者で過度に混み合うということがないのも快適だ。
用意ができたら、トレーニングを開始。
ウェアに着替えてまず向かったのは、ジムエリア。所狭しと並ぶトレーニングマシンはどこか整然とした佇まいで、これだけの数があっても全く窮屈には感じない。空調の効きも程よく、澄んだ空気の中、外の景色も相まって清々しい気分でトレーニングに励めそうだ。
なんといっても魅力的なのは、この一面ガラス張りになった窓からの眺め。再開発が進む虎ノ門エリアを一望しながら行うトレーニングの爽快感は、他では味わえない魅力。陽の光が心地よい日中はもちろん、夜の時間帯は夜景も美しい。
石野田さんの普段の運動はランニングが多く、ジムでトレーニングの機会はあまり多くないそう。実際、「家でやっていると、どうしてもフッキンか腕立てくらいしかやらないですね」とのこと。せっかくなので、さまざまなマシンを試してみてもらうことに。

高級ジムメーカー『テクノジム』社製のケーブルマシン。設定によって鍛える部位を自由に変えられる。

足、お腹、腕、背中を使って全身を鍛えるローイングマシン。有酸素運動にもなる。

お尻から太ももにかけての筋肉に効く、リニアレッグプレス。
短時間ではとても体験しきれないほどの充実したラインナップ。これだけの種類があれば、気軽に身体を動かしたい人から、本格的に鍛えたい人まで、自分に合った選び方ができそうだ。
「機械を使って、どこに効かせるための運動かを意識しながらやるのは、効率的でいいですね。あとはやっぱり、家だと気が散るけど、ここは運動するという目的が決まっているので、モードが切り替わり集中できます」
器具の使い方を熟知したトレーナーも常駐しているので、疑問があればすぐに解消できる。出入り口に用意された体組成計も、もちろん自由に使用してOK。筋トレや身体づくりは、見た目の変化もさることながら、やっぱり気になるのが数値の動き。正しく現状を把握すれば、より確実かつ効率的に、身体を鍛えることが可能に。
短時間で効率的に鍛える、HIITトレーニングエリア。
ジムエリアの中心に入れ子構造で設けられた部屋では、集団で行う「HIITプログラム」に参加することができる。
HIITとは、高強度の運動と短時間の休憩を交互にくり返すことで、短い時間でも高い効果を得られる効率的なトレーニング方法のこと。日々を忙しく送るビジネスパーソンには、効率に特化した運動はまさにうってつけ。
実際、施設利用者の中には、朝にこのプログラムだけを受け、シャワーを浴びてすぐに仕事へ向かう人もいるのだとか。
さっそく、石野田さんにも体験してもらった。
まずは、器具を使った運動から。部屋全体にハイテンポな洋楽が流れ、講師のはつらつとした掛け声がかかると、スタートの合図。それぞれ、トレーニングを支える器具を使いながら、参加者が一斉に動いていく。
HIITは短い時間でもしっかりと汗ばむほどの激しい運動。しかし、プログラム中は険しい表情を見せた参加者も、終われば途端に爽快感のある表情に。
「一人で激しい運動をするとなると周りの目も気になるけど、このHIITプログラムは集団で行うので、参加者同士で一体感を味わえますね」
トレーナーさんの明るいアシストもあり、ついつい、隣の人とハイタッチをしたくなるような楽しさがある。実際、利用者同士のコミュニケーションが一番生まれやすいのが、このHIITなのだとか。
今回初めて体験したという石野田さんも「足がプルプル(笑)ちょっとしかやっていないのに、ガッと汗をかけてすごく気持ちがいい」とさっそく効果を実感。

体力レベルやその日のコンディションに合わせて、ウエイトを調節できる。

平日は朝の7時台から夜は20時台まで、1日7回開催。専門の講師が担当。
集中して身体を動かした後は、メディテーション(瞑想)へ。
続いて訪れたのは、メディテーションプログラム。静かな時間の中で自己と向き合うことで、本来の自分自身を取り戻すことができるという。
こちらもHIITと同様にグループで行われるが、やわらかい照明に包まれた空間は、適度な距離感で、不思議と周りに人がいることは気にならない。
腰から身体をひねったり、腕を伸ばしたり。講師の掛け声にあわせて、深呼吸をしながら姿勢を整えていく参加者たち。
仕事の通知から束の間の距離を置き、自分の内側だけに意識を向ける時間は贅沢そのもの。穏やかなBGMと講師の声かけに誘われ、あっという間にリラックスした状態へ。
「普段自分の呼吸に集中することってあまりないので、あらためて意識を向けるのは不思議な感覚です。でも、繰り返し呼吸して落ち着くと、身体がどう反応しているか気づくことができる。バランスはどうなっているのか、姿勢が悪いな、とか。こんなに意識することは普段ないので、よい体験になりました」
メディテーションは習慣化することで、感情や雑念に振り回されず、自らのパフォーマンスを最大化することにも繋がっていくのだそう。
石野田さんのように、流動的で多忙な日々を送りながらも、日々新たなアイデアやアウトプットが求められる人こそ、その価値を実感することができるかもしれない。
ひと通り心身を整えたら、最後はサウナでリフレッシュ。
〈CARAPPO 虎ノ門ヒルズ〉では、浴室内にサウナと“トトノイルーム”をそれぞれ2種類ずつ完備。その日の気分に合わせて、あるいは一度に両方を楽しむことももちろん可能。

「MUサウナ」は落ち着いた黒のトーンが基調。集中して自分自身と向き合う時間に。

「KUサウナ」は丸みのある対面型の設計で、人と人のつながりを表現している。
サウナについては、「初めは会社のサウナ好きの同僚に連れられて行くようになりました」という石野田さん。今では、出張先のホテルはサウナがあることを条件にして選ぶほど自身も気に入っているという。
サウナでの過ごし方については、「みんなでガヤガヤ話すというよりは、自分のペースでサウナを満喫することの方が多いです。けど、フィンランドではちょっとした仕事のミーティングにもサウナを使うと聞いたことがあります」と話す。
「汗をかいてすっきりすると気持ちもポジティブになるので、建設的な話ができるようになるのも良いですね」

本物の苔を使用したオブジェで、自然を身近に感じられる。

水が滴り、水音と水面の反射を楽しむことができる機械を設置。
「光の当て方や入り方など、空間全体の光量がほどよい。そういうところまでちゃんと設計されているのも素敵です」と、インテリアデザインの会社で働く石野田さんならではの感想も。
別室に設けられた「プライベートサウナ」も、他にはない魅力。ここではシャワールーム、洗面台、サウナ、トトノイスペースが1つになり、全て自分ひとりで使用できる。
周りを気にせずにサウナに集中できるのはもちろん、全てが数歩以内にあるので、あまり時間がないという時にもピッタリ。HIIT後にプライベートサウナで整って、そのまま身支度をして次の予定へ、という使い方も効率を最重視する人には良いかもしれない。
「プライベートサウナ」は、会員は3,960円/70分、4,950円/90分の追加料金で利用できるほか、会員でない人も、5,500円/90分で利用が可能。(各種アメニティ・タオル類完備)まずはここから試してみるのも良いかもしれない。
一連のトレーニングが終わったら、さっぱりと汗を流して、次のスケジュールへ向かいたい。
シャワーエリアにはそれぞれ仕切りが設けられていたり、マットが使用できたりと、ここでも細かい気遣いがありがたい。

衛生面が気になる人にも嬉しいマット。

天井から差し込むライティングが美しい。都会のビルの中とは思えない清々しさ。
洗面台の各種アメニティも、充実のラインナップ。
ドライヤーは〈Refa〉を使用できるほか、ハンドソープやシャンプー・リンス類はもちろん、スキンケアアイテムまで用意があるので、手ぶらで行っても大丈夫。

男性更衣室にも全席にドライヤーを完備。

清掃が行き届いた清潔な水回り。
これで3つの要素、トレーニング・サウナ・メディテーション(瞑想)の体験が終了 。
トレーニングの前後に利用できるラウンジは、デスクに電源も完備。利用前にメールを返したり、トレーニング後には、心身ともに丸ごとリフレッシュした状態で、浮かんできたアイデアをまとめることもできる。
世界中で活躍するデザイナーを取材するインディペンデントマガジン『Ilmm』の制作にも携わるなど、本業のかたわらでの活動も活発な石野田さん。
1日のスケジュールを尋ねると「撮影の立ち合いがある日は朝が早いし、そうなると、集中して何か考える時間が取れるのは夜だったり」と、日々忙しい様子。
「美味しいお酒を少しでも長く飲めるように(笑)1週間で飲んだ回数×キロメートルは走るようにしています。でもこうしたジムでの運動も大切だと、あらためて実感しました」と、朗らかな様子で体験を振り返った。
自分に合ったペースで生活に運動を組み込むことは、なかなか容易ではないけれど、アクセスの良さや、プログラムの楽しさ、サウナの心地よさなど、何かひとつでも自分にとってポジティブに感じられるメリットがあれば、案外楽しく続けられるかもしれない。
〈CARAPPO 虎ノ門ヒルズ〉で心と身体をリセットして、開放感とともに新たな発想に出会えたら、一層豊かでウェルビーイングな毎日を送れそうだ。
