塩分カットの救世主は「旨味・酸味・香り」だった!

塩分の摂りすぎは高血圧のほか、胃がんや認知症などの引き金。とはいえ、ただ塩味を抜くだけでは味気ない食事に嫌気がさしてしまう。減塩のコツを掴み、満足度の高い食事に見直しを。

取材・文/井上健二 撮影/中島慶子 監修/貴堂明世

初出『Tarzan』No.900・2025年4月3日発売

旨味、酸味、香りで塩分カット
教えてくれた人

貴堂明世(きどう・あきよ)/管理栄養士。クオリーヴァ主宰。東京証券業健康保険組合にてメタボ予防の指導を担当。現在はフリーとして生活習慣病の食事指導、講演等を行う。

和食は1日1食。塩分摂取を減らす代わり工夫を!

塩分の摂りすぎは高血圧のほか、胃がんや認知症などの引き金。日本人は平均1日10g以上の塩分を摂るが、日本高血圧学会の目標は1日6g未満、世界保健機関(WHO)の推奨はそれより厳しく1日5g未満だ。より実現可能な目安として厚生労働省は男性7.5g未満、女性6.5g未満という大甘なハードルを設けている。

「味噌汁1杯、梅干し1個でそれぞれ塩分は2g近く、3食和食だと塩分過多です。和食は1日1食までに留め、出汁などの旨味、酢などの酸味、ハーブなどの香りを活用して薄味でも満足感が高まる工夫を」(貴堂明世さん)

塩分摂取量の現状と理想(1日、成人)
男性 女性
現状 10.7g 9.1g
摂取目標量 7.5g未満 6.5g未満
理想 6.0g未満

出典/『日本人の食事摂取基準(2025年版)』「令和5年国民健康・栄養調査」

すぐできる減塩のヒントは「調味料」にあり。

すぐできる減塩の6つのコツ

上記のほか、腎臓での塩分(ナトリウム)の排泄を促すカリウムを、野菜、海藻、果物などから積極的に摂り入れると、塩分過多が招く高血圧予防につながる。

未精製の穀物、豆類、焼き海苔で食物繊維を増やす。

日本人に多すぎるのが塩分なら、少なすぎるのは食物繊維。最低でも1日25〜29gの摂取が、さまざまな生活習慣病のリスク低減に役立つが、日本人の食物繊維摂取量は男性で19g、女性で17gほどに留まる。

ゆえに厚生労働省は、手に届く目標として男性22g以上、女性18g以上という控えめな数字を掲げる。野菜、きのこ、海藻といった食物繊維が多い食品をもっともっと食べよう。

「加えて玄米や全粒粉パンのような未精製の穀物、皮ごと食べる豆類、ナッツにも食物繊維は多い。より手軽なところでは焼き海苔も繊維たっぷりですから、朝食などに加えてみるといいでしょう」

食物繊維摂取量 (1日、成人)

男性 女性
現状 19.2g 17.3g
摂取目標量 22g以上 18g以上
理想 最低25〜29g

出典/『日本人の食事摂取基準(2025年版)』「令和5年国民健康・栄養調査」