
教えてくれた人
貴堂明世(きどう・あきよ)/管理栄養士。クオリーヴァ主宰。東京証券業健康保険組合にてメタボ予防の指導を担当。現在はフリーとして生活習慣病の食事指導、講演等を行う。
和食は1日1食。塩分摂取を減らす代わり工夫を!
塩分の摂りすぎは高血圧のほか、胃がんや認知症などの引き金。日本人は平均1日10g以上の塩分を摂るが、日本高血圧学会の目標は1日6g未満、世界保健機関(WHO)の推奨はそれより厳しく1日5g未満だ。より実現可能な目安として厚生労働省は男性7.5g未満、女性6.5g未満という大甘なハードルを設けている。
「味噌汁1杯、梅干し1個でそれぞれ塩分は2g近く、3食和食だと塩分過多です。和食は1日1食までに留め、出汁などの旨味、酢などの酸味、ハーブなどの香りを活用して薄味でも満足感が高まる工夫を」(貴堂明世さん)
塩分摂取量の現状と理想(1日、成人)
男性 | 女性 | |
現状 | 10.7g | 9.1g |
摂取目標量 | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
理想 | 6.0g未満 |
出典/『日本人の食事摂取基準(2025年版)』「令和5年国民健康・栄養調査」
すぐできる減塩のヒントは「調味料」にあり。
上記のほか、腎臓での塩分(ナトリウム)の排泄を促すカリウムを、野菜、海藻、果物などから積極的に摂り入れると、塩分過多が招く高血圧予防につながる。
未精製の穀物、豆類、焼き海苔で食物繊維を増やす。
日本人に多すぎるのが塩分なら、少なすぎるのは食物繊維。最低でも1日25〜29gの摂取が、さまざまな生活習慣病のリスク低減に役立つが、日本人の食物繊維摂取量は男性で19g、女性で17gほどに留まる。
ゆえに厚生労働省は、手に届く目標として男性22g以上、女性18g以上という控えめな数字を掲げる。野菜、きのこ、海藻といった食物繊維が多い食品をもっともっと食べよう。
「加えて玄米や全粒粉パンのような未精製の穀物、皮ごと食べる豆類、ナッツにも食物繊維は多い。より手軽なところでは焼き海苔も繊維たっぷりですから、朝食などに加えてみるといいでしょう」
食物繊維摂取量 (1日、成人)
男性 | 女性 | |
現状 | 19.2g | 17.3g |
摂取目標量 | 22g以上 | 18g以上 |
理想 | 最低25〜29g |
出典/『日本人の食事摂取基準(2025年版)』「令和5年国民健康・栄養調査」