工夫次第でもっとヘルシーに!時間帯別・外食の最適解。

忙しい日々の中で、やむをえず外食が増えることは多々ある。「せっかくのダイエットが台無しだ!」と嘆く前に、食事メニューの種類や品数を見直してみよう。ちょっとしたコツでカロリーを抑え、栄養バランスを保つことができる。今回は外食時に押さえておきたい+αのルールを、時間帯別にご紹介。

取材・文/井上健二 イラストレーション/2120 監修・栄養計算/河村玲子

初出『Tarzan』No.900・2025年4月3日発売

外食の正解
教えてくれた人

河村玲子(かわむら・れいこ)/メンタル&フィジカルサポートスーパーバイザー、管理栄養士。エクササイズと食、両面からなる心身へのアドバイスが好評。

カロリーを抑えつつ、栄養をきちんと摂る。

自炊はコスパ良し、カロリーも控えやすくてメリットだらけ。しかし多忙で手軽な外食のお世話になる日も多いのが現状だ。そこでサクッと外食する際に、押さえたいポイントを知っておこう。

「ちょっとしたコツを踏まえると外食でも太りにくく、ヘルシーに済ませることができます」(管理栄養士の河村玲子さん)

守りたい原則は全部で4つ。

カロリーは1食600〜700キロカロリー。これで1日2000キロカロリーとなり、日本人の平均的な摂取カロリーに収まる。

次にカロリー過多を怖がるあまり、おにぎり+緑茶といったプアな食事をしない。必要な栄養素を満たすため、タンパク源となる主菜を1品、ビタミン、ミネラル、食物繊維が摂れる副菜を2品揃える。タンパク質は1食20〜30gを確保し、筋肉減少を防ぎたい。

さらに、野菜は毎食欠かさず食べる。1日350g以上が目標だ。

以下、3食を外食でどう摂るかをケーススタディしてみよう。

外食の4大原則
  • 1食600〜700kcalを目安とする。
  • 主菜+副菜2品を揃える。
  • タンパク質を1食20〜30g確保する。
  • 野菜を必ず食べる。

【朝】マヨ少なめのサンドイッチが主役。

朝食抜きは愚か者がすること。朝食の摂取でバイオリズムが整い、日中の正常な代謝活動が約束される。朝は自宅にいるから本来自炊する絶好のチャンス。でも、それが難しいなら、自宅かオフィス近くのカフェチェーンへ。

食事は、主食+主菜+副菜がまとめて摂れるチキンサンド。

「卵やツナのサンドはマヨネーズが多くてカロリー過多に陥りやすい。チキンサンドは健康意識の高い人が支持するメニューだけに、マヨネーズ使用量は控えめで野菜が多い場合がほとんど」

飲み物はソイラテ。ラテは、牛乳より豆乳で作った方が低カロリーでタンパク質もしっかり摂れる。

それでもタンパク質と野菜が足りない。副菜を追加する気持ちで、低脂肪高タンパク質のギリシャヨーグルトと野菜ジュースをコンビニなどで購入して摂ろう。

朝食

●カフェラテよりソイラテ
ラテは最小のショートサイズをセレクト。好みや季節を脇に置くと、ホットよりもアイスの方がカロリーはかなり抑えられる。

●野菜ジュース
ジュースでは野菜の栄養が100%摂れないことは周知の事実。でも、外食では100点満点ではなくセカンドベストを狙う柔軟性も必要だ。

●チキンサンド
具材の主役はあくまでチキン(主菜)だが、断面を見てトマトやレタスなどの野菜(副菜)が多めのものを選ぶのが鉄則。

●ギリシャヨーグルト
最近では1個で20g近い良質なタンパク質を含む頼もしい商品も登場している。砂糖不使用のプレーンタイプを買うべし。

【昼】飯は小盛り。納豆卵でタンパク補給。

甘辛く煮た牛肉とタマネギを乗せた牛丼は、主食+主菜+副菜に因数分解できる。丼ご飯1杯(240g)は400キロカロリー。普通盛りだとその時点でカロリーオーバー確定。ご飯小盛りでオーダーできるお店に足を運びたい。

牛丼(並)のタンパク質量は16〜18gに留まる。生卵か温泉卵、納豆か冷や奴を付け足してタンパク質を増量する。野菜が足りないから、野菜サラダもプラスしておきたい。牛丼1杯には2g以上の塩分が入っている。ここは味噌汁や豚汁は我慢してほしい。

昼 牛丼編

●牛丼(ご飯小盛り)
牛丼に限らず、丼ものは主食+主菜+副菜をオールインしたもの。主菜と副菜に比べて、主食のご飯が多すぎるので少なめにセーブ。

●生卵or温玉
どちらも1個でタンパク質が6〜7g程度入っている。醬油をかけると塩分が心配。牛丼にオンして混ぜて食べちゃおう。

●納豆
納豆1カップでタンパク質7g前後を含む。食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラルもリッチ。

【昼】バーガーの野菜とサラダを副菜に。

メインはダブルチーズバーガー一択。牛丼と同じく主食、主菜、副菜をサンドしたもの。タンパク質は25g以上摂れる。シンプルなハンバーガーはより低カロリーなれど、タンパク質が13〜15g程度しか入っていないのが難点。

ランチセットのサイド(副菜)では、定番のフライドポテトを避ける。糖質も脂質も多く高カロリーなうえに、塩分も多すぎるゆえだ。サイドは野菜不足がカバーできるサラダを選択。飲み物で余分なカロリーを摂りたくない。無糖ドリンクを選ぼう。

昼 ハンバーガー屋編

●ウーロン茶
無糖ならウーロン茶以外にも、コーヒーや紅茶、ゼロ系コーラでもOK。むろんコーヒーはブラック、紅茶はストレートで飲む。

●ダブルチーズバーガー
パテ2枚+チーズ2枚でタンパク質充足。チェーン店によってはタマネギやピクルスといった野菜を無料で増量できるところもある。

【夜】アラカルトで品数を増やす。

コンビニ食=不健全というのは時代遅れの古びたレッテル。消費者の健康志向を敏感に捉え、コンビニ食は日々進化しており、内容が充実。工夫次第で偏りなく栄養が摂れるようになっている。

とはいえ、コンビニ弁当に手を出すのは早計。便利だが、糖質と脂質が多めで野菜少なめなので、アラカルトでバランスを取る。

基本は和食の一汁三菜が手本。主食はおにぎり。人気のツナマヨは脂質多め、具材は鮭で。主菜は唐揚げなどの揚げ物を避けて、焼き鳥とツナ缶を。サラダチキンは低カロリー高タンパク質だが、おにぎりにちょっと合わない。味噌汁を飲むなら減塩タイプで。

副菜は野菜系惣菜を2品。

「外食の付け合わせやサラダは、キャベツなど淡色野菜が大部分。より栄養価の高い緑黄色野菜の惣菜をチョイスしましょう」

ちなみに、近年コンビニでは肉や卵、野菜、果物、きのこなどの生鮮食品を取り扱うお店が増えている。早く帰宅できて時間と気持ちに余裕がある夜は、これらの生鮮食品を買い求め、自炊にもチャレンジしてみてほしい。

夜 コンビニ編

●ブロッコリーサラダとホウレンソウ胡麻和え
今回取り上げた場所で緑黄色野菜がいちばん摂りやすいのはコンビニ。このほか、ミニトマトやキャロットラペなどを選んでもいい。

●おにぎり(鮭)
ツナマヨは1個脂質10g以上で約260kcal。マヨなしの鮭なら1個脂質2g以下で約170kcal。タンパク質量はどちらも5g前後。

●ツナ缶
水煮がベストだが、オイル漬けしか見当たらない場合はオイルをしっかり切ってから使う。水煮があれば、イワシ缶でもよい。

●焼き鳥もも1本
揚げてない分、唐揚げよりもカロリーは抑えられる。1本約80kcalでタンパク質は10gほど。カロリーはタレも塩も大差なし。