
紫外線のピークは5月から。ウェルビーイングな対策術とは!?
爽やかな日差しと心地よい風に誘われるように、スポーツもレジャーもいっそう楽しめる季節がやってきた。それと同時に、紫外線指数もぐんぐんと上昇中。対策が重要とは知っているけれど、実際のところ、紫外線とはどんなもので、どのような影響があるのか(実はメリットもある?)。 医学博士の日比野佐和子先生を訪ね、外でのアクティビティを思いっきり楽しむ前に、基本のキから教えていただきました。
文/佐々木 彩 編集/黒木許子 撮影/河野翔大 スタイリスト/渡邊 薫 ヘア&メイク/外山友香(mod's hair) モデル/Kris イラストレーション/田渕正敏
目次
紫外線には種類がある? 波長の長さで異なる肌への影響とは。
—紫外線とは、そもそもどういうものなのでしょうか?
「太陽から出ている光には分布があって、その中で目に見える光を可視光線と呼びます。波長によって色として認識できるわけですが、赤、橙、黄、緑、青、紫の順に波長は短くなっていて、“紫の外側”にある紫外線(=Ultra Violet )はさらに短くなります。紫外線には、UVA波と、UVB波、UVC波(※UVC波は大気層で吸収され地表には届かない)があり、波長が短いほど地表に届きにくいのですが、届いた時の影響は短いほど深刻です。紫外線の中で波長が一番長いのはUVA波で、地表に到達しますし、ガラス窓も透過して降り注いでいます。目で見えるわけではないので分かりにくいですが、室内にいても紫外線リスクにさらされている理由はここにあります」
—紫外線を浴びると、どのような影響がありますか?
「しみ、そばかす、しわ、たるみなど肌の見た目が変化する、いわゆる“光老化”が引き起こされます」
肝心なのは目。肌の老化だけじゃない、紫外線による健康被害…?
—肌の見た目以外に健康面に影響はありますか?
「紫外線により細胞のDNAが損傷されると、皮膚がんになる可能性があります。人が元々持っているメラニンの量が関係していて、白人に比べると日本人はメラニン量が多いので皮膚がんになる可能性は低いと言えます。ただ、肌質で白い方はそうでない人に比べると3倍も皮膚がんになりやすいといわれています。
もう一つは目への影響です。紫外線角膜炎と呼ばれる目の表層の炎症のほか、屋外スポーツに励むアスリートに発症することがある、白目の脇から細胞が線維状に増殖してしまう翼状片という症状があります。これは、白目にある三角形の結膜が、角膜の鼻側に侵入することで起こり、紫外線が影響しています。結膜下の組織の異常増殖なので、悪性のものではありませんが、増殖した細胞が瞳孔まで覆い被さると、視力障害に至るケースも。また、紫外線を浴び続けることにより、白内障の発症にもつながってしまいます。そのため、紫外線対策をするときは、肌だけではなく、目を保護することが欠かせません」
目も怖いが、やはり気になるのは肌への影響。“光老化”って?
—”光老化”というのは、どのような現象なのでしょうか?
「長く紫外線を浴びたことによって引き起こされる肌の老化現象のことです。近年では、肌老化の原因の80%が紫外線による光老化から起こるものとされ、単純な加齢による老化よりも圧倒的な影響を持つと考えられています。紫外線を長い時間浴びることによって、皮膚の組織の中で活性酸素が生まれ、細胞レベルで炎症が起きます。それがしみ、しわ、たるみの原因となっていきますし、浴びすぎると最終的に皮膚がんを招くこともあります。浴びた”総量”が影響するので、日頃からしっかりと紫外線対策をすることが有効です」
—光老化はUVA波とUVB波でどんな違いがあるのでしょうか?
「UVA波は、肌の深いところ、真皮層まで到達するので、真皮のコラーゲンが減少し肌の弾力性低下の要因になります。また、DNAレベルで損傷が起きると、皮膚がんへとつながる可能性もあります。UVB波は、到達するのは表皮まで。表皮の浅い層にはメラノサイトという色素細胞があり、これがメラニン色素を作ります。そもそもメラニンは皮膚がんの予防役として肌へのダメージをカバーするために働いてくれているのですが、メラニン色素が表皮基底層に沈殿し不規則に分布し増加すると、しみとなって表出してくるわけです」
—日焼けすると赤くなる人や黒くなる人など違いがありますが、元々の肌色によるものですか?
「スキンタイプによって、肌が黒くなる、いわゆるサンタンになりやすいか、肌が真っ赤になって水膨れができるサンバーンになりやすいかが異なってきます。日本人の肌は、日焼けですぐ赤くなるタイプ、少し赤くなった後に黒くなるタイプ、そしてかなり黒くなるタイプの3つに分けることができます。赤くもなるし黒くもなる人は、サンタンとサンバーンの両方を引き起こしています」
デメリットだけではない? 紫外線と、うまく付き合うには。
—紫外線の量は一日を通じて変化がありますか?
「日中、太陽が最も高く昇っている時間帯が光線量も多いです。10時〜14時ぐらいですね。そして、季節によっても紫外線量は変わるのですが、4月ごろから増えてきて、5月ごろにはUVA波の量が多くなり、そこから真夏の8月まではUVA波、UVB波共に、一年で最も量が多い時期になります。また、場所によっても異なり、赤道近くの地域は太陽の光が地表に届く角度が大きいため、紫外線が強いといわれています」
—紫外線は極力浴びるべきではなさそうですが、殺菌効果など少なからずメリットもあるのでしょうか?
「はい、それもあるんです。骨の成長に欠かせないビタミンD3は、紫外線を浴びることで生成されます。そのために毎日15分程度両手分ぐらいの面積を紫外線に当てることが重要だといわれています。ガラス越しだと、透過するUVAは届きますが、UVBが届かないので、屋外に出て日光に当たることが必要です。手でもいいし足でもいいので、駅や近くのコンビニまでなど、日焼け止めを塗らずに短い距離を歩いて、日常の中で工夫できるといいと思います」
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