五月病に効く、Tarzan Webが選ぶ「心が軽くなる書籍」5選。

Tarzan Web編集部が、気になるウェルネストピックを毎週紹介している連載『Weekly Watch List』。そこでこれまで紹介した書籍の中から、5月に読みたい、自分をいたわるための5作品をピックアップ。

文/岡島みのり リサーチ/林暖茄

ゴールデンウィークが終わり、すっかり戻ってきた多忙な日常に、なんだか憂鬱な気分になることも。雨の日が続き、梅雨の気配も感じる今、週末は家でゆっくりコーヒーを淹れて、読書に没頭してみるのもまたウェルビーイングな時間の使い方だ。自分の心をいたわるヒントになる書籍を、Tarzan Web編集部が5冊ご紹介。

物語の言葉から、自分をいたわるヒントをもらう。『養生する言葉』

文芸誌『群像』の人気連載『養生する言葉』をまとめたエッセイ集。著者である文学研究者・岩川ありさが、自身のトラウマに向き合う過程で出会った、人生に寄り添ってくれる「物語の中の言葉」について綴る内容だ。大江健三郎やハン・ガン、津村記久子、文月悠光、漫画『ブルーロック』、漫画『君と宇宙を歩くために』など、一度は読んだことのある物語も、これまでとは違った読み方に出会えるかもしれない。

いつもと違う視点で東京を歩いてみたなら。
『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』

日本の社会学や都市論研究で中心的な役割を果たす吉見俊哉が、浅草、秋葉原、神田川、王子など東京北部を中心に、7日間かけて都心を巡る書籍『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』。街に残る過去の痕跡を手がかりに、東京が再び豊かな時間を取り戻すための都市構想を考える。すっかりあたたかくなり散歩がはかどるこの季節、いつもの歩き慣れた街並みも、新たな視点を持って出かけてみれば、足取りが軽くなるはず。

自炊で生活の基盤を整える。『ユリイカ』2025年3月号 特集=自炊

雑誌『ユリイカ』最新号のテーマは「自炊」。生活の基盤となる「自炊」について、対談・エッセイ・評論などさまざまな切り口から、その理論と実践の様態を批評的に捉え直す特集。平野紗季子、くどうれいん、小原晩らをはじめとする、食のテーマにゆかりのある寄稿者の面々にも期待が募る。節約、健康、ひいては自身のメンタルケアにまでも及ぶその行為について、あらためて思索を深めるきっかけにしてみてはどうだろう。

モヤモヤ悩むより、まずは頭の中を整理。『思考の整理学』

毎日たくさんのタスクに追われていると、つい頭の中がこんがらがってきてしまうのは仕方のないこと。ならば一度あらためて、自身の内面を見つめ直すきっかけを作ってみるのはどうだろう。外山滋比古の『思考の整理学』は、東大や京大の生協でも40年のロングセラーを誇る、思考法にまつわるヒントが詰まった書籍。頭の中を整理し、新たなアイデアを生み出すための、脳内やフィジカルの意識的な使い方をここで学ぼう。

自分の人生の歩き方を考えてみる。『歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術』

「自分の人生を、主導権をもって歩き続けるとはどんなことか? 」。ノルウェーを代表する作家、トマス・エスペダルが2006年に発表した小説は、この問いをテーマに物語を紡いでいる。トマス自身がこれまでにふれた作家や音楽家、思想家の言葉を引用しながら思索を深めていく、哲学紀行とも言える一冊。読み進めていくと、文章は自伝、フィクション、詩、エッセイを交互に行き来していく。まるで自由に散歩をしているかのような不思議な文章に、きっと引き込まれるはず。