「武術太極拳は神秘的!愛が深まるばかり」山本千尋(俳優)

幼少期に出会った武術太極拳に始まり、現在ではボクシングへ。剣士や暗殺者、忍者など強く美しいキャラクター演じてきた俳優・山本千尋さんが「アスリートの心」を持ち続ける理由とは? 話を伺うと、戦う経験がいかに演技へ活かされているかが分かった。

取材・文/間宮寧子 撮影/伊藤徹也 スタイリスト/岡本純子 ヘア&メイク/中島愛貴

初出『Tarzan』No.899・2025年3月19日発売

唯一無二で神秘的。今もなお武術太極拳の虜です。

剣士や暗殺者、忍者など強く美しいキャラクターを演じてきた俳優・山本千尋さん。

幼少期から中国武術を元にしたスポーツである武術太極拳を習い、世界ジュニア武術選手権大会「槍術」部門で2度優勝。JOCジュニアオリンピックでは「長拳」「剣術」「槍術」の3種目で3連覇を果たすなど輝かしい記録を持つ。スクリーンで見せる華麗なアクションはまさに研鑽の賜物。

「円を描くような滑らかな動きを特徴とする武術で、大会では形を競います。どんなところが魅力かと考えた時に、思い出すのが“剣は鳳凰の如く、槍は龍の如く舞いなさい”という恩師の言葉。目には見えない存在に喩えられるスポーツは、他にはない気がするんです。競技でありながら美しく神秘的な感情を人に与えられるところが奥深い。引退してからも武術太極拳への愛は深まるばかりで、今日の撮影も楽しみでした」

驚くことに、3年前にはプロボクサーのテストに合格し、ライセンスも取得している。

「コロナ禍にやりがいを見つけたくて始めたボクシングが、今では一番の趣味になりました。以前はアクションに挑む時に力が入りすぎていたのですが、ボクシングを始めてからは力を抜けるようになりました。殺陣やアクションもまだ学ぶことが多く、一生かけて向き合っていくつもりです。いつまでもアスリートの心を持ち続けながら精進したいです」

山本千尋(やまもと・ちひろ)/1996年生まれ。第3回ジャパンアクションアワード「ベストアクション女優賞」受賞。映画『キングダム2 遥かなる大地へ』『アンダーニンジャ』などに出演。ヒロインを演じる時代劇ドラマ『はぐれ鴉』(TOS)が今夏放送。