習志野青龍窟さん
教えてくれた人
ならしの・せいりゅうくつ/忍道家。幼少期から各種武道や格闘技を学び、大学で東洋的身体論を研究。忍者団体所属時は海外公演や映画での忍術指導を担当。現在は忍術・武術参究者として山修行等を実践する。
呼吸法を駆使すれば、気配も消せる
「忍者はどんな場面でも呼吸を整えておくことで任務をやり遂げ、敵から身を隠すことを可能にしてきました。
鼻と口で静かに呼吸するのがベースとなり、危険な状況でも気を整え、冷静に判断を下すことが可能となる“息長”、カラダに取り込む酸素の量を増やし、持久力を高める“二重息吹”など、いくつかの方法を組み合わせて、呼吸のバリエーションを増やしていくのです。
敵から隠れる場合も、呼吸法を駆使することで気配を完璧に消せるのです」(習志野青龍窟さん)
呼吸を操ることでメンタルを整え、俊敏に動き、自らの足で長距離を移動する。忍者とその心技体の維持に、これらの呼吸法の獲得は欠かせなかったのだろう。
「鼻で吸い、口で吐くのが基本ですが、逆でやる場合もあります。普段何気なく行っている呼吸を、わざと乱すことで意識を向けるようにする。これも忍者にとっては呼吸法の練習のひとつ。現代でも応用できる場面は多いです」
忍者の基本の呼吸
長く鼻で息を吸い続け、長く口で吐く。これが忍者の基本呼吸となる。頭を前後左右に動かしたりするのは厳禁。微動だにせず、音も立てないのがポイントだ。すべては気配を消し、敵に気づかれないため。
息長(おきなが)
5秒鼻から息を吸い、5秒息を止め、5秒で鼻から吐く。精神安定効果がある。額に濡れティッシュを貼り、動かないように練習しよう。
印
忍者のポーズで知られる印。気を静め、精神力を高める目的で行うが、呼吸を意識すると、より崇高な意識へと辿り着きやすくなる。
二重息吹
「吸う、吐く、吐く、吸う、吐く、吸う、吸う、吐く」のリズムで呼吸を繰り返して動く。走る際などに酸素摂取量が増え、集中して長距離を移動できる。ランナーにもおすすめ。
隠れる
敵から身を守る術のひとつ。写真はウズラ隠れ。呼吸を駆使して微動だにしないようにすると、岩のように気配を消すことが可能。他に樹木と同化する観音隠れなどもある。