感触も音もクセになる! 筋肉痛必至の手裏剣ゲーム
世界初の手裏剣投げアーケードゲームが開発された。その名も〈ニンジャトレーナー〉。日本古来の忍者が用いていたとされる手裏剣をダーツに見立てた競技である。このゲームを開発した《ダーツライブ》の杉森裕司さんに、〈ニンジャトレーナー〉の魅力を教えてもらった。
取材・文/菅野茂雄 写真/内田紘倫
目次
勢いよく手裏剣を投げる面白さ
ダーツのような的に向かって手裏剣を投げつける〈ニンジャトレーナー〉をご存知だろうか。アミューズメントマシンとして開発された体験型ゲームで、的に刺さった手裏剣の得点を競う。1人でも複数人でも楽しめる。
筆者の出会いは秋葉原。立ち寄ったゲームセンターに設置されており、手裏剣を投げる目新しさに惹かれてプレイしてみた。買い切りのラバー製の手裏剣が3枚セットで600円(マシン搭載の専用自販機で購入)1人につき1プレイが100円。
投げた手裏剣が刺さる音と感触が心地よく、興味本位のつもりが4プレイもしてしまった。しっかりと勢いを乗せないとうまく刺さってくれないので、小手先だけでなく腕全体を使って投げる必要がある。翌日は、久々にボーリングをしたときのような筋肉痛が、上腕二頭筋にきていた。
伊賀流忍者博物館名誉館長が監修
ありそうでなかった〈ニンジャトレーナー〉はどのような経緯で生まれたのか、ゲームを開発した《ダーツライブ》の杉森裕司さんにお話を伺った。
杉森裕司さん
教えてくれた人
すぎもり・ゆうじ/ダーツマシンの開発・販売とソフトダーツの対戦ネットワークを運営する企業ダーツライブのプロダクト本部本部長。ニンジャトレーナーを含め数々のダーツゲームの開発に携わる。
「元々は、ダーツのノウハウを活かしながらインバウンド向けに何か面白い遊びを作れないか? というのが企画のスタート地点でした。手裏剣というアイデアを採用し、偶然にも日本忍者協議会とのパイプがありましたので、日本忍者協議会顧問で甲賀伴党二十一代目宗師家・伊賀流忍者博物館名誉館長の川上仁一氏にご協力をいただきました」(杉森さん)
2019年12月にロケーションテストを行ない、翌年の2020年9月1日(くノ一の日)に〈ニンジャトレーナーアーケード〉として全国展開がスタートした。世の中的にはコロナ禍だった時期だが、SNSでも話題になった。
「中でも一番高評価をいただいているのが、手裏剣の刺さり心地です。私たちが最もこだわった部分でありかつ苦労した部分ですね。本物の手裏剣にできるだけ近い形で、危険性のない手裏剣であるために選んだのがラバー製です。
指でも曲げられる柔軟性を持ち、落としても壊れない素材なので長く使えます。一方で、手裏剣を刺す側の的は、何度でも刺せるように剣山のようなプラスチック製を採用しています。この組み合わせが、“手裏剣が気持ちよく刺さる”秘密ですね」
ただ投げるだけじゃない4種目のゲーム
〈ニンジャトレーナーアーケード〉は、4種目のゲームが用意されている。前述の通り、ゲーム前に3枚1組の手裏剣を購入してプレイする。手裏剣が刺さった位置に応じて自動的に判定されて点数計算が行われ、モニター演出や効果音が入る。1〜4人でプレイできるので仲間と盛り上がること間違いなしだ。
「一番シンプルなのが、手裏剣術の基本種目で中心のマスを狙う①「集中芯打」です。真ん中の高得点のマスを狙います。
手裏剣をある程度狙ったところに刺せるようになったら②「目標撃破」にチャレンジを。こちらは、指定された赤、青、白のエリアのマスを3投で撃ち抜くゲームで、手裏剣の打ち分け技術が試されます」
さらに難易度が高いのが、③「縦横無尽」。縦横無尽では動くマスを狙うので、高度な技術が必要だ。
① 集中芯打
② 目標撃破
③ 縦横無尽
最後は、2人プレイ専用の④「陣地奪取」
「互いに陣地を取り合う種目で、オセロのように縦横斜めに相手のマスを挟み自分のマスにしたり、相手のマスに当てて白マスに戻します。①〜③は、1人でも遊べますが、最大4人まで対戦して楽しめます」
④ 陣地奪取
高得点を狙うなら投げ方をマスターしよう
高得点を狙うには、安定感のある投げ方をマスターするのが必須だ。同じフォームで狙った場所にコントロールできるように練習しよう。
「まず、持ち方ですが、手裏剣の刃の一枚を親指と人差し指で掴みます。基本的には、野球のボールを投げるように右利きなら左足を前にした状態から腕をふります。手首のスナップを効かせて、的に真っ直ぐ投げるイメージです」
投げやすければ、投げる方の手の足を出すダーツ投げでも問題はない。
「コツとしては、手裏剣に回転がかかるようにスナップを利かせて投げると、手裏剣が綺麗に縦回転して真っ直ぐ飛び、力強くビシッと刺さりますよ」
自宅で思う存分投げられる「家庭用」も
〈ニンジャトレーナーアーケード〉は、文字通りゲームセンターやカラオケ店などで遊ぶアーケード版マシンだが、実は、家庭用もある。
大きな違いはマスの数で〈ニンジャトレーナーアーケード〉の5×5の25マスに対して、3×3の9マスに設定されている。
「家庭用の〈ニンジャトレーナー〉もとても人気ですね。的本体と手裏剣3枚がセットになっています。前途したとおり、ラバー性の手裏剣なので、間違って家具や壁を傷つけたりする心配がないんです。自宅でコツコツ練習したい人には特にお薦めです」
スポーツとしての普及を目指して
現在は、主にゲームセンターなどに設置されていてゲームの一種としてプレイされている〈ニンジャトレーナーアーケード〉。開発元の《ダーツライブ》では、さらなる普及を目指している。
「本来であれば、2020年東京オリンピック・パラリンピックでインバウンド需要が高まり、その波に上手く乗れることを想定していました。残念ながらコロナ禍でその願いは叶いませんでしたが、一方で家庭用〈ニンジャトレーナー〉が話題になり、特に外国の方に人気ですね。
パンデミックがゆるやかに終焉に近づけば、〈ニンジャトレーナーアーケード〉の公式大会も頻繁に開催することが可能になります。いつかはダーツ並みの人気スポーツなってくれることを望んでいます」