達成者に聞く!フルマラソンでサブ3を突破する練習メニュー。

マラソンランナーの憧れといえば、3時間以内に完走する「サブ3」。「達成を目指すための練習では、距離やペースの管理が大切」と語るのは、ランニングインフルエンサーであり、サブ3の記録をもつ志村美希さん。自身が実践する1週間の練習メニューと、心構えを聞いてみた。

取材・文・編集/石井 良 撮影/大内カオリ 監修/齊藤太郎

初出『Tarzan』No.897・2025年2月20日発売

志村
Profile

志村美希(しむら・みき)/ランニングインフルエンサー。日本体育大学卒。陸上競技800mでインターハイ、全日本選手権など数多くの全国大会に出場・入賞の経験あり。現在はSNSを通じてランニングの魅力を伝える活動を行う。フルマラソンのタイムは2時間47分48秒。

レースペースでの練習は意外と必要ないんです。

800mの選手として活躍してきた志村さん。そのため長距離は苦手で、ジョグは40分が限界だったとか。まず取り組んだのは長距離に慣れること。休憩を挟んでもいいから、一日の合計距離を少しずつ延ばしていったという。

スピードを意識したのは、距離を走れるカラダができてから。10kmを全力で走ったときのペースを基準としたインターバル(火曜日のメニュー)を中心に、土曜日には長距離を、他の日は回復を意識したジョグを繰り返した。

「ついレースペースでの長距離練習をしたくなりますが、カラダにも負荷が大きいですし、無理にする必要はありません。インターバルなど他の練習をしっかりこなせていれば、当日は意外と走れてしまうもの。ペースにとらわれすぎず、土台をしっかりと作ることがサブ3達成には大切です」

練習メニュー
速めのジョグ10km(レースペースの+30秒)短くてもOK。前日休んでいるのでカラダを起こすイメージ。
インターバル 2000m×4本(10kmを全力で走ったときのペース)
休息
ペース走10kmレースペース+10秒
ゆるめのジョグ時間も距離も気にせず走る。
距離走20km(5min/1km以内)レースペース+15秒(レース直前1か月)
休息orジョグ(気持ちよく走れる距離)

初大会の後悔ポイント。

レース直前に35km走を実施。

「長距離への苦手意識と準備期間が4か月と短かったことで焦ってしまい、レース2週間前に35km走をやってしまいました」。回復には2週間を要し、大会直前まで筋肉痛があったという。「本当は最低でも4週間前にやっておくべきだった」と、後悔しているのだとか。

気が緩んでしまい、大会当日の朝にケガ。

初フルの当日朝、その日着るウェアなどをベッドに並べて撮影していたときのこと。「足を踏み外してスーツケースの金属部分に着地。足裏から大出血してしまいました。少しの気の緩みから努力が水の泡になってしまうことがあるので、ゴールまで気を抜いたらいけませんね」。

サブ3を目指す人へアドバイス。

最初の10kmはアップのつもりで! 

「スタート前にアップできれば理想的ですが、大きい大会ほど時間を取るのが難しいもの。そんなときは、開始10kmまではアップと考えて、リラックスしてスタートしましょう」。そうすれば、周りのペースに釣られて速く走ってしまっても、落ち着きを取り戻せるはずだ。